今年で100回目を迎えた全国高校野球選手権大会もいよいよ決勝戦を残すのみとなった。
記念大会ということもあり、全国から史上最多の56校が甲子園球場に集まり、連日熱戦が繰り広げられた。
全試合がテレビ中継され、新聞各紙やスポーツニュースでの扱いも大きく、今や甲子園の選手権大会は夏の風物詩といってもいいだろう。
第100回大会を盛り上げるため、テレビでは過去の名場面を振り返る番組がいくつか放送された。
数え上げたらきりがないが、なかでも第51回大会決勝の三沢高校vs.松山商業、第80回大会の横浜高校vs.PL学園、そして第88回大会決勝の駒大苫小牧vs.早稲田実業の試合はとりわけ印象深いといえるのではないだろうか。
すべて延長戦であり、そのうちの2試合は1日で決着がつかず翌日に再試合となった。
エースピッチャーの奮闘ぶりはめざましく、三沢高校の太田幸司投手は2日間で384球、横浜高校の松坂大輔投手は250球、そして早稲田実業の斎藤佑樹投手は再試合を含め296球を一人で投げ抜いた。
もちろん、高校野球のすべてが記憶に残る名場面というわけではない。それでも日本人の多くは高校野球に惹きつけられる。その魅力はいったいどこにあるのだろうか。
あえて一言でいうなら「高校生らしさ」ではなかろうか。
負けたら終わりのトーナメント戦で見せる全力プレー、額から汗をしたたらせユニホームを真っ黒にして白球を追うひたむきさ、そして試合に敗れたときはあふれる涙をぬぐいながら甲子園の土をかき集めるけなげさ等々、プロ野球にはない若者の純真さに心打たれる人は多いだろう。
学校にあっても、野球部はその練習の頻度や時間の長さについて他の部活動と比べて群を抜いている。頭を丸刈りにし、厳しい練習に励む姿は修行僧を連想させる。このような高校生は他では見られまい。
この「特別天然記念物」ともいえる高校球児の姿こそが高校野球の人気を支えているのである。