秋田勢として第1回大会以来の決勝進出を果たした金足農と吉田輝星。夏の頂点まであと1つ。 © photograph by Hideki Sugiyama 秋田勢として第1回大会以来の決勝進出を果たした金足農と吉田輝星。夏の頂点まであと1つ。

 ファーストがいない。

 2-1と1点リードで迎えた9回裏。金足農のエース吉田輝星は、日大三の7番・飯村昇大を高いバウンドのピッチャーゴロに打ち取る。

 難なく2アウト目を取ったかに思えたが、打球がやや一塁寄りだったため、一塁手・高橋佑輔も引っ張られて前に飛び出してきてしまう。そのため、吉田が一塁へ送球しようと思ったときには、一塁ベースはがら空きになっていた。

 記録は内野安打となったが、明らかに一塁手のミスだった。

 高橋はすかさず吉田に視線を送って謝ろうとしていたが、吉田はそれを拒否するかのようにすぐさまマウンドへと踵を返した。

「集中状態に入っていた方がいいと思ったので」

「近寄るな」と「気にするな」。

 吉田は、それまで味方がミスをすると、必ず小さく手を挙げ「気にするな」というサインを送ったり、両掌を下に向け「落ち着けよ」という仕草を見せていた。

 吉田が、そうした対応を見せるようになったのは、この夏からだという。捕手の菊地亮太は、顔をしかめながら話す。

「前はもっとひどかったです。謝ろうとしても『近寄るな』という感じで」

 ところが、この夏からチーム内で「切り替え」の意識を徹底し、他の選手の守備も向上したことで、吉田も少しずつ変わってきたのだという。

 一塁手の高橋がミスを犯したとき、あるいは「近寄るな」の吉田が顔をのぞかせたのかと思った。

 だが、フォローも忘れていなかった。直後、金足農業ベンチから伝令がやってきてマウンドに内野手が集まったときだ。高橋が振り返る。

「『なんでいつも(打球を捕りに)来ねえのに、こういうときだけ来んだよ』って笑ってました」

 やはり、いつもの吉田だった。

吉田1人だけが別世界にいるようで。

 この大会、吉田はどんなピンチに陥っても、ふてぶてしいぐらいに落ち着いている。

 8回裏、1アウトからこの日初めて連打を浴びて、ベンチから伝令役の選手がやってきたときもそうだった。

 ひとしきり笑った後、最後は、グラブで「もう帰れ」とやった。

「いつも(伝令に)こないやつがきたので、たぶん一発芸でもやるんだろうなと思ってたら、クソおもしろくなかったので(笑)。大阪弁で、おじさんのモノマネとかをしてました」

 9回裏、1アウトから走者を許したが、続く2人を外野フライに打ち取りゲームセット。ようやく手にした勝利だったが、吉田はまだ試合途中であるかのように淡々としていた。

「優勝することが目的なので。やっとここまでたどり着いたなという感じでした」

 両チームの選手がホームベースを挟んで整列を始めた。だが吉田は、最後の打者が置いていった銀色のバットを手に、誰に渡せばいいのかと右往左往していた。

「落ちてたので拾おうかな、と」

 球場全体が歓喜と絶望のコントラストにはっきりと色分けされる中、吉田1人だけが別世界にいるかのように落ち着いていた。

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吉田輝星が今大会最大のブレイク投手であることは間違いない。それだけに、末永く彼が野球を続ける姿が見たいのだ。

限度を超えた投球数、過密日程に疑問

過去に何度も見た光景だった。 表現としては“末恐ろしいピッチャー”だ。 秋田県大会からすべてのイニングを1人で投げぬいている金足農のエース・吉田輝星がまた、快投を見せた。 準決勝の日大三戦では、2点を先行すると、そのアドバンテージを最大限に生かすピッチングを展開。ピンチに陥ってもしっかりと間を取り、走者のスタートを一歩ずつ遅らせ、打者に対しては変化球を低めにコントロールして、ギアを上げたストレートで強力打線を黙らせた。 5試合連続完投勝利は見事というしかない。 限界を超えていてもおかしくない心身の状態でありながら、それでも快投をみせる。 しかし、吉田のような投手をみたのは過去に1度や2度ではない。 「投げないという選択肢はなかった」 2006年の斎藤佑樹(早稲田実)しかり、2008年の戸狩聡希(常葉菊川)、2010年の島袋洋奨(興南)、2013年の高橋光成(前橋育英)……。筆者が取材現場に立つ以前では、松坂大輔(横浜)、本橋雅央(天理)、大野倫(沖縄水産)などもいた。 彼らはどんな苦境であっても、最高のパフォーマンスを見せたものだった。 連投を重ねた後でもストレートは最速に近い球速をマークし、変化球は低めに決まった。甲子園という舞台を前にして、彼らは出場を避けることはしなかったし、どこからそんな力が湧き出てくるのか、というピッチングをした。 「投げないという選択肢は僕の中にはなかったです。なぜって、なんでこの日まで練習したのか。優勝するためにやって来たんですからね」 今から10数年前、そう語っていたのは天理の本橋さんだった。 甲子園という舞台では、そう思わざるを得ないというのが球児の心理だろう。 しかし……話を吉田に戻すと、投げすぎだ。 球数制限の障害は「不平等」。 彼が今大会で投じた投球数は700球を超えた。秋田大会を含めると、おそらく1000球を超えているはずだ。たった1カ月余りでのこの投球数は限度を超えている。と同時に、登板間隔も試合を勝ちあがるたびに、短くなっている。17、8歳の高校生に課していいものではないだろう。 球数制限などのルール化を推奨する声は多いが、日本高校野球連盟は二の足を踏んでいる。 その理由は「不平等」が生じるからだ。 日本高校野球連盟の竹中雅彦事務局長がタイブレークの導入を決めた際に、こんな話をしている。 「タイブレーク制度の導入は再試合の防止であって、投手の負担軽減のための次善策だと思っています。本腰を入れていくのであれば、投球回数制限、球数制限に踏み切ることが必要だなと思います。 ただ、甲子園に出てくるような潤沢な部員数を誇る学校は一握りしかない。9人をそろえるのに必死な学校が多いんですね。そこにスポットをあてるべきだと思います。そういったチームのことを考えると、すぐに導入するのは難しい」 確かに、球数制限は複数の投手を揃えることが難しい公立校には不利なのかもしれない。 私学のように何人もの部員を抱えるキャパを有していないし、たとえたくさんの部員を獲得することができても、それを鍛え上げるだけの環境が整っている学校は少ない。高野連の言い分には一理あるのだ。 しかし、では今の甲子園の日程は平等といえるのだろうか。 複数の投手を育てられない学校もある。 決勝戦に進出した大阪桐蔭や、日大三、近江などのように複数投手を用意して戦いに挑むチームは増えている。高野連も複数投手制を推奨しており、公立校でも複数の投手を育てるべきだという意見は分かるが、全チームにそれが現実的だろうか。 そもそも、高校野球の年間スケジュールが複数投手の育成を促す環境になっていない。 周知のように、高校野球の多くの大会はトーナメント制で行われている。一発勝負ではない大会もあることはあるが、勝ったり負けたりを繰り返しながら成長していく、という状況ではない。 負けられない試合が続けば、複数の投手を育てるのは容易ではない。 負けたら終わりでは、エースを下げづらい。 金足農を例にとると、三塁手の打川和輝が2番手の投手を務め、続くのは1年生投手だったが、甲子園を前に1年生投手は体調を崩し、ベンチ入りを断念せざるを得ない状況だという。3年生部員はたった10人しかいない。 そうなると、投手の負担を軽減する方法は、指導者の良識ある起用法か、日程しかない。 今大会の吉田は1試合140球を超す投球をしたケースが続いたが、試合展開上、継投が難しかったのも事実だろう。 地方大会から甲子園と、ずっと負けたら終わりのトーナメントを勝ち抜いてきたのだから「指揮官の良識」に訴えるのにも限界がある。 済美の山口直哉が星稜戦で184球を投げた試合は、大量失点していたこともあって交代させるべきだと思ったが、基本的に投手交代を決断するのは簡単ではない。 となると、考えるべきは日程しかないのだ。 「自分たちの戦ってきた形で挑みたい」 球数制限を導入できないなら、できることは試合の間隔を空けることしかない。 しかし、決勝戦は明日開催される。 明日の結果は分からない。しかし、勝敗がどちらに転ぼうとも、明らかなのは、金足農の吉田には多大なる負担がかかるということだ。大阪桐蔭にしても、吉田ほどではないにしろ全5試合に登板し、準決勝戦で完投した柿木蓮がおそらく連投するはずだ。彼にも負担はある。 「勝つために吉田を登板させたいということではないんです。自分たちの今まで戦ってきた形で勝負に挑みたい。その結果として吉田1人の登板になっているだけなんです。吉田が打たれてダメだと判断されたり、投げている姿がどうもおかしいとなれば、監督はすぐに交代させると思います」 金足農に帯同しているコーチの1人はそういっていた。 エース吉田で勝負に行って勝ってきた。その結果の登板過多というわけだ。 土曜日の開催なら中4日が空くのだが……。 過去の大投手たちも、どれほどの逆境でも投げてきた。 おそらく吉田も、柿木も、明日の決勝戦では泣き言を1つも言わずマウンドに立つだろう。それが高校球児の心理だからだ。 明日、決勝戦を開催するのは妥当なのか。 登板過多や過密日程で、被害を受けるのはいつも“末恐ろしいピッチャー”たちなのだ。 甲子園を本拠地とする阪神タイガースは、週末、ビジターの巨人戦に挑む。 土曜日の開催なら、中4日が空くのだが……。

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23歳でNPBに入ればFA権を得られるのは32歳。吉川峻平のメジャー直行という決断にも一理あるのだ。

ドラ1候補がまたメジャー直行、なぜ

今年の日本プロ野球(以下NPB)のドラフト上位候補で、社会人野球のパナソニックに所属する2年目の吉川峻平投手(23)がメジャーリーグに挑戦するという。日本の報道によると、すでにダイヤモンドバックスなどが獲得の意思を示しているそうだ。 YouTubeで映像を見る限り、スムーズな投球フォームから時速140キロ台の4シームファストボールを繰り出すことに加え、2シーム(もしくはシュート)のような軌道で速球を動かすこともできるようだし、カーブやチェンジアップの切れもコントロールもかなりいい。間違いなく、「逸材」である。 野茂英雄氏がメジャー・デビューを果たした1995年の1月24日生まれだというから、1994年7月5日生まれのエンゼルス・大谷翔平と同学年になる。野球日本代表「侍ジャパン」の公式サイトによると身長185センチ体重80キロと、メジャーリーガーの基準で考えれば「痩身」の部類に入る。 関西大北陽高や関西大卒業時にドラフトにかからなかった「遅咲き」が、これからどれぐらい才能を伸ばすのか、とても楽しみだ。 田澤純一は22歳でメジャー契約をした。 社会人野球からNPBを経ないでメジャーを目指した選手と言えば、現在エンゼルス傘下のAAA級マイナー、ソルトレイクでプレーする田澤純一投手を連想する方も多いだろう。 田澤は横浜商科大学高校から新日本石油ENEOSに入社し、一時は解雇寸前となったものの、その後の努力が実って都市対抗野球のMVPに該当する橋戸賞を獲得するなどして、社会人野球4年目でその頂点に昇りつめた。 田澤がNPBのドラフトを回避してレッドソックスと契約したのは、彼が22歳の時だった。当時のメジャーリーグには、大谷の契約時に話題になったような「25歳未満の外国人選手はマイナー契約しかできない」などという差別的なルールは存在しなかったので、3年総額300万ドル(約2億8000万円)のメジャー契約(40人枠に入る選手)を交わすことができた。 田澤は1年目の2009年からメジャー・キャンプに招待選手として参加した。オープン戦で好投し、傘下のマイナーAA級ポートランドで開幕投手を務めた。7月にはメジャー目前のAAA級ポータケットに昇格し、8月には故障者の代役でメジャーに初昇格した。 吉川は数年計画でメジャーに上がってほしい。 デビュー戦はメジャー屈指の「伝統の一戦」であるヤンキース戦だった。 延長14回に8番手で救援登板して松井秀喜氏を中飛に打ち取ったものの、メジャー通算696本塁打のアレックス・ロドリゲスにサヨナラ本塁打を打たれて敗戦投手となった。それでも田澤は同月のタイガース戦でメジャー初先発のチャンスを掴み、5回4安打3失点(自責1)でメジャー初勝利を挙げるなど、渡米1年目から存在感を示した。 23歳66日での先発勝利は今でも日本人メジャーリーガーの最年少記録である。 吉川は前述のルールによりマイナー契約しかできないが、大谷や田澤のように招待選手としてメジャー・キャンプに参加する可能性はある。ドラマチックな展開を求めれば「開幕メジャー」を目指して欲しいところだが、焦ることはない。田澤のように開幕をAA級で迎えたとしても、活躍次第でメジャーに上がるチャンスはあるし、AA級で1年を過ごしても「23歳の新人選手」としては早いぐらいだ。 たとえば噂になっているダイヤモンドバックスのマイナーAA級ジャクソンの投手陣の生年月日を見てみると、吉川より若い選手は全16人中2人しかいない(DL選手を除く)。その1階級下のハイA級ビサリアでも、全14投手中3人が吉川より若いだけ。「1年目からメジャーで活躍する」という気持ちは大事だが、そこはどっしり構えて取り組んで欲しい。 NPBが飛ばされることに抵抗もありそうだが。 NPBのドラフトを回避してメジャー球団と契約する選手がいることに抵抗のある人々にとって、これは危惧すべき事態なのかも知れないが、日本のアマチュア選手たちにとっては選択肢が増えるという意味で良いことだと思う。 「いきなりメジャーに行って通用するわけない」などというのは、ワールドシリーズで活躍して優勝した田澤の成功で説得力に欠ける。アマチュア選手の成功例が少ないことで、それを「リスク」と言うのなら、日本のトップアマチュア選手がNPBで必ずしも成功するとは限らないし、それもまた「リスク」だろう。 本当に危惧することがあるとすれば、それは一旦NPBに入団してしまえば、フリーエージェント権を取得して自分の意思で「メジャー挑戦」を含む自分の進路を決められるようになるまで9年もかかるということではないだろうか。 ポスティング移籍は7年で3人だけ。 カブスのダルビッシュ有投手やヤンキースの田中将大投手、そして大谷と25歳までに球団側から容認されてポスティング制度で「メジャー挑戦」を果たすケースもあるが、それもこの7年間でわずかに3人だけである。 「いつかはメジャーリーグでプレーしたい」と思っている日本のアマチュア選手たちが、そういう「選ばれた存在」になれるかどうかも分からないのに、NPBを選ぶことが「夢」への障壁になっている可能性はないだろうか。 かつて「田澤ルール」なるものを作ってアマチュア選手の海外流出に「圧力」をかけた人々が直視しなければならないのは、今の若者たちにとっては「メジャーリーグを目指す」ことが普通のことになりつつあるという事実だと思う。 16歳で「メジャー挑戦」を決意した結城海斗投手(ロイヤルズとマイナー契約)然り、23歳でNPBを経ないで「メジャー挑戦」を目指す吉川然り。 若者たちの意識はどんどん変わる。彼らを取り巻く状況もどんどん変わる。NPBのように古くて大きな組織が取り組まなくてはならないのは、彼らのような日本のアマチュア選手に対する「圧力」を強めることではなく、メジャーリーグで活躍する日本人を見て育った彼らが、本当に目指したくなるような魅力あるリーグを作ることではないだろうか――。

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MLB
クラブシーンでの実績は群を抜く吉田麻也だが、明確な「1位」を得るまでは納得することはないだろう。

吉田麻也が競い続ける「見えない影」

史上最高の○○は誰か? サッカーに限らず、スポーツファンはこの種の議論が大好きだ。 史上最高のピッチャーは? 史上最高のゴルファーは? 史上最強のボクサーは? 異なる時代に活躍したアスリートを比べること自体に無理があるとはわかっていても、ついつい比較してしまう。居酒屋でのトークは盛り上がるし、テレビの『○○総選挙』も、あーだこーだ言いながら1位の発表が気になっちゃう。 吉田麻也が「その影と競う」2人。 当事者であるアスリートにとっては、迷惑千万な話だろう。 「日本サッカー史上最高のセンターバックは誰か?」 このお題とともに、吉田麻也は、もう何年も中澤佑二、田中マルクス闘莉王の2人と比べられ続けてきた。南アフリカW杯で日本をベスト16に導いた2人が、偉大な先輩であることは吉田自身が誰よりも認識している。 ただし、南アフリカW杯を境に日本代表から離れた2人と、南アフリカW杯後から代表に定着した自分とでは、比較のしようがない。だから、「ずっと見えない影と競っているような感覚でした」。 それでも、インタビュー取材では必ずと言っていいほど、2人の先輩についての質問を受ける。そんなときは、こう答えるようになった。 「日本ではクラブでの実績よりも、代表での活躍のほうが評価される傾向にあると思います。僕は、まだ代表で結果を残していない。だからこそ、日本サッカー史上初めてW杯でベスト8に進んだセンターバックになりたいんです」 史上初のベスト8を目前にして。 7月2日、吉田は「史上初のベスト8に進んだセンターバック」になる絶好のチャンスを迎えた。ラウンド16のベルギー戦、52分を終えて2-0のリード。ところが、ご存知のとおり、ここから3ゴールを奪われ逆転負けを喫してしまう。 この要因について、吉田はNumber959号でのインタビューでこう語っている。 「2-0になったとき、正直、ヤバいと思いました。これまでの傾向からして、2点リードすると守りに入ってしまうから。日本は、チームとして相手をいなしながら時間を進める戦いが得意じゃない。 2006年ドイツ大会のオーストラリア戦でも、先制しながら終盤の8分間で3点を奪われています。W杯のような大きな大会で、2度も同じような逆転負けを経験している。これは、技術的なこと以上に、精神面が影響しているんじゃないかって思うんです。 今回ベスト16に進んだことで、来年1月のアジアカップは、期待された状況で戦うことになるはずです。期待された中で、結果を出す。僕らがそういう『勝者のメンタリティ』を身に付けるには、まずアジアカップを獲り返すしかないと思っています」 「僕は欲深い人間なので(笑)」 ベルギーには敗れたものの、吉田は「W杯でベスト16に進んだセンターバック」の1人となった。もしも今、『センターバック総選挙』を実施すれば、吉田が1位に輝く可能性も高い。 しかし、本人は首を横に振る。 「僕自身が認めていないんですよ。やっぱり、ベスト8に入らないと。同率1位じゃ、納得できないなって。僕は欲深い人間なので(笑)」 中澤、闘莉王とチームメイトとして戦うことができなかった吉田にとって、若手が台頭し、代表チーム内で競い合うことは、待ち望んでいる状況だ。 だから、'15年のアジアカップの頃から、“散歩隊”で昌子源や植田直通と一緒になるたびに、「海外挑戦」の意義を語り続けてきた。そしてこの夏、植田がベルギーのセルクル・ブルージュへと旅立った。 日本史上最高の称号は競争の先に。 「ナオミチはアジア予選の頃から代表に呼ばれ続けながら、なかなか試合に出られなくて。いろいろと思うところはあったはずです。Jリーグのレベルがどうとかの話じゃなくて、海外には行ってみなきゃわからないことがある。日頃からインテンシティの高い試合をこなして、ヨーロッパだけでなく、南米やアフリカの選手との対戦を“日常”にできるかが、国際大会では大きな差になりますから。だから、ナオミチには移籍に備えて『英語も勉強しろよ』って、言い続けていました」 8月12日、吉田にとってプレミアリーグでの7シーズン目が幕を開けた。今季もサウサンプトンはデンマーク代表DFヤニク・ベステルゴーアを獲得。レギュラー争いは、さらに激化した。 しかし、クロアチア代表のデヤン・ロブレン(現リバプール)や、ベルギー代表のトビー・アルデルバイレルト(現トッテナム)らと、毎年のようにポジションを争ってきた吉田が、臆することはない。 この熾烈な競争と日常の先に、W杯ベスト8と「日本サッカー史上最高のセンターバック」の称号があると信じている。

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スポーツ

ジョコ、史上初のマスターズ全制覇

【AFP=時事】テニス、ウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2018)は19日、男子シングルス決勝が行われ、大会第10シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が第2シードのロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)を6-4、6-4で下し、悲願のマスターズ1000(ATP World Tour Masters 1000)全制覇を達成した。 現行の制度が導入された1990年以降、九つあるマスターズ1000の全大会を制したのはジョコビッチが初めて。一方のフェデラーは、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)の前哨戦として米シンシナティ(Cincinnati)で行われる同大会で7度の優勝経験を誇っているが、決勝の舞台で初めて敗れた。 ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)覇者のジョコビッチは表彰式で「(ここでは)決勝で5回プレーしたが、その大半でこの偉大な男にやられてきた。ロジャー、ここで僕に1回勝たせてくれて感謝している」とジョークを飛ばすと、「夢がかなった。シンシナティで6度目の決勝にして、史上最高の選手を相手に勝てたのだから」と続けた。 一方のフェデラーは、第1セット第7ゲームでジョコビッチにブレークを許し、シンシナティでのサービスキープ連続記録も100で止まった。今大会ではキャリア通算99回目の優勝を目指していたが、最悪のタイミングでダブルフォールトを喫するなどし、ジョコビッチとの通算戦績も22勝24敗に落としている。 37歳のフェデラーは、相手のサービスゲームで自身のリターンが入らなかったことを嘆きながらも、「ノバクは偉大なチャンピオン。こうして歴史を打ち立てた。きょうは彼が勝利に値したし、自分の力不足だった」と対戦相手を称賛。「良い一週間になったし、こうして終われて満足している。今は休養が必要だ」と付け加え、視線を全米オープンへ向けている。 2016年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2016)以来となる両者の対戦は、ジョコビッチが第1セットを37分で奪うと、第2セットも先にブレークを許す展開から逆転し、最初のマッチポイントで試合に決着をつけた。ここ数シーズンは不振や故障に泣いていたが、来週開幕を迎える全米オープンには優勝候補として乗り込む。【翻訳編集】AFPBB News

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テニス
木村悠氏

山根氏騒動 元世界王者が核心を語る

日本ボクシング連盟の内紛劇は、山根明会長が辞任し、騒動は収束に向かいつつある。それにしても、山根氏はなぜ長年にわたり連盟を「私物化」できたのか。元世界王者が核心を突く。 アマチュアボクシングが注目されるのは、やはりオリンピックの時ぐらいで、日ごろはプロの陰に隠れて目立たない。プロ、アマ両方の経験を持つ筆者にとって、アマが今回ほどメディアに露出することがなかっただけにその異常さに驚いている。 そもそも、アマは限られた人たちで構成される非常に狭い「ムラ社会」だ。筆者はライトフライ級という一番軽い階級だったが、全国大会でも20人ぐらいで30人出場していれば多い方だ。 そのため、地方の予選をクリアして3回から4回ほど勝てば決勝に進むことができる。人数が少ないため社会人の全国大会は大体同じメンバーで決勝が争われる。全国大会で優勝または上位に進出すると全日本王者となり、全日本のメンバーに選出される。 各階級で3人ほど選ばれ、全部で25人前後のトップ選手がオリンピックの強化指定選手になる。選手の選出や海外遠征、合宿など、それらを取りまとめているのがボクシング連盟である。他のスポーツに比べてコアな社会だけに、連盟というより「会長」のさじ加減一つでどうにでもなる。 ...

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ニュース

大阪桐蔭追うスカウト陣、異例の行動

100回目の夏に、甲子園史上初の「2度目の春夏連覇」をかけて臨んでいる王者・大阪桐蔭が、浦和学院との準々決勝を11-2の大差で制し、順当に準決勝へ進出した。投打の二刀流・根尾昂(3年)をはじめ、攻走守の三拍子揃った外野手で4番打者・藤原恭大(3年)のドラフト1位候補に、今大会で151キロをマークした、こちらもドラフト上位候補のエース・柿木蓮(3年)らは、その高い評判にたがわぬ活躍を続けている。 その「タレント軍団」を追うプロのスカウトが、この夏、過去にあまり見られなかった“異例の行動”を見せている。それはいかに、大阪桐蔭の選手たちのレベルが高いのかという、1つの証明でもある。 プロのスカウト陣は通常、全出場校を甲子園で一度ずつ見る。つまり、1回戦と2回戦の途中まで、7~8日間にわたって甲子園に通い詰める。この時点で、各球団の高校生の評価は都道府県大会で敗退した選手たちを含めて、ほぼ終わっている。大舞台でいかに普段の力が出せるか、全国レベルの投手や打者に対して、どういうパフォーマンスができるのか。上位候補の選手に関しては、そうした最終チェックと、担当外のスカウトの目でも確認する「クロスチェック」の場にもなる。さらには1、2年生ら、来年以降の逸材に目星をつける意味合いが大きい。 ...

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