月9ドラマ「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系列)が面白い、と私の周りで盛り上がっています。「AI(人工知能)の本を書いている人として感想を聞かせて!」と勧めれられたので私も見始めました。
しかし、どうにも“コレジャナイ感”が拭えません。
ドラマでは、「AIを用いて未来に起こる凶悪犯罪を防ぐチーム」を中心に物語が展開します。「絶対零度」といえば、林ゆうきさんのミステリアスで荘厳な音楽を背景に、上戸彩さんが活躍するドラマとして2010~11年に放映されていたのを覚えています。今作はSeason3として、主人公を沢村一樹さんに変えて放映しています。
ドラマ内のAIは通称「ミハンシステム」と呼ばれ、経歴や職業だけでなく、金融機関の出入金記録、通信履歴、位置情報、ライフスタイルなどありとあらゆる個人情報を基に、過去15年分のさまざまな犯罪データと照らし合わせ、統計学的に近い将来、罪を犯す人物を割り出してくれます。
全てのデータを掌握し、危機を察知する。そういう意味では、ミハンシステムは米国CBSで放送されたテレビドラマ「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット」に登場する“マシン”に似ていなくもありません。
それにしても、ほんの数カ月前に「通信の秘密」問題で世間が騒然としたばかりなのに(関連記事)、フィクションとはいえこうもあっさり法律を真正面から破るドラマが放映されると、さらに「うそ臭さ」を感じるのですが、コレジャナイ感はそれだけが理由じゃありません。
本来活躍すべきAIがあまりにショボいのです。「犯罪の予測と予防」を目的とするAIとしては、はっきり言って子供だましです。
どの辺りにコレジャナイ感を抱くのか。今回はAIを活用した犯罪予測・予防の可能性とその危険性、実際に活躍しているシステムと合わせて説明します。
(※編集部注:以下、ドラマのネタバレがあります)
記事執筆時点(2018年8月13日)で第6話まで見終えましたが、第4話を除いてミハンシステムが危険人物と特定した理由は、人間が見ても「そりゃそうだ」と思ってしまうものばかりです。
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