私はNと申します。沖縄出身の41歳、フリーのウェブコンサルタントです。2年前に脱サラして、今フリーランスで仕事しています。家族は妻と子1人、秋にはもう1人生まれます。横浜市内の家賃14万円の賃貸マンションで生活しています。
第2子が生まれるのを機に、「保険の教科書」の出岡さんに保険をチェックしてもらいました。すると、自分では、私に万一があった時や働けなくなった時の備えがバッチリできていると思っていたのに、全くできていませんでした。このままでは、私に何かあった時に、家族の生活がめちゃくちゃになるところでした。
それどころか、妻は無駄な保険に3つも加入していて、そのせいで少なくとも50万円は無駄にしていたという有様でした。
その結果、私たちは、保険を全面的に見直すことにしました。
今回は、その見直しの内容をお伝えします。
私と同じフリーランスの方や、これから脱サラしてフリーランスになろうとしている方は、ぜひお読みになって、役立てていただけたらと思います。
1.私が入っている保険の中身と問題点
まず、私が入っている保険の内容と問題点についてお伝えします。詳しくは「脱サラした私が『今聞けて良かった!』と愕然としたN家のリスクと保険の話」をご覧ください。
私が入っている2つの生命保険は以下の2種類です。いずれも、2013年9月に結婚した際、友達から紹介してもらったA生命の営業マンからなんとなく加入したものです。
- 終身保険
- 収入保障保険
私のイメージは、「終身保険」は保険というより貯蓄、「収入保障保険」は私に万一があった場合の家族の生活費のための掛け捨ての保険だということくらいです。
出岡さんによれば、そのイメージは正しいそうです。そして、「終身保険」は貯蓄の役割があり利率もいいのでそのまま加入しておくようすすめられました。
問題は「収入保障保険」です。これは、私が65歳までの間、亡くなったら家族が毎月給料のようにお金が受け取れるものですが、以下の問題点があります。
- 保険料が割高
- 働けなくなった時の保障がなくて不安
特に、働けなくなった時の保障がないと聞いて、びっくりしました。
私は、この保険は亡くなった時に加え、働けない状態になった時も給料のようにお金が受け取れるものだと思っていました。なぜなら「死亡保険金」以外に「高度障害保険金」も受け取れるようになっていたからです。
しかし、「高度障害保険金」は、ただ働けなくなっただけでは足りず、働くのが一生絶望的になってしまったようなきわめて重い状態でないと受け取れないことが分かりました。しかも、この「高度障害保険金」はどの生命保険でもカバーしているそうです。
私は何の後ろ盾もないフリーランスです。会社員の時と違って、働けなくなったら即、収入の道が絶たれてしまいます。ところが、今の保険ではそういう保障が受けられないのです。
さらに、出岡さんによると、A生命の収入保障保険は保険料がかなり割高だそうです。
特に、平成30年4月から、ほとんどの生命保険会社が生命保険の保険料を引き下げたので、なおさら割高になってしまっているとのことでした。
2.フリーランスにとって必要な保険ベスト3
出岡さんによると、私のようなフリーランスに必要な保険には、ベスト3というのがあるそうです。
- 亡くなった場合に家族の生活費・子どもの学費等をカバーする保険
- 働けなくなった時に収入減をカバーする保険
- がん等の重大な病気になってしまった時の保険
ベスト1は、思った通り、私が亡くなってしまった場合に家族の生活費や子どもの学費をカバーする保険です。
我が家では妻が会社員として働いていますが、私が亡くなったら妻が2人の子どもを女手一つで働きながら育てなければならないことを思うと、足りない分はカバーしておかなければなりません。
ベスト2は、病気やけがで働けなくなった時のための保険です。
フリーランスだと、病気やケガで長期離脱したら即、収入ゼロになります。サラリーマンと違って給料をカバーしてもらうことができません。しかも、私が全く働けなくなった状態で生き続ければ、その分お金がかかります。なので、働けなくなった時の保障は特に厚くしておかなければなりません。
ベスト3は、がん・心臓・脳血管系の病気です。特にがんになった場合の保険です。これらの病気は治療が長引くため、健康保険が使えても治療費が膨れ上がってしまうからだそうです。
3.自宅で「ライフプランニング」というのをやってみた
私「分かりました!そのベスト3で、私に一番いい保険を紹介してください!」
出岡さん「承知しました。しからばまず奥様とおそろいで『ライフプランニング』というのをやらせてください。」
私「らいふぷらんにんぐ?」
初めて聞く言葉です。
出岡さん「そうです。ライフプランニングです。Nさんとご家族が、これから平均寿命まで生きるとしたらお金がどれくらい必要なのか計算するんです。それでNさんに万一があった時にいくら必要なのかが分かるので、保険を組み立てます。」
ということで、次の日曜日に自宅に来てもらうことになりました。
出岡さんは私の自宅にノートパソコン1つを持って現れました。
私の家族は妻(34歳)と息子(4歳)です。妻は妊娠しており、11月に女の子を出産する予定です。
息子をカブトムシで遊ばせておき、妻と2人でライフプランニングを受けました。
3.1.私が無事長生きした場合のシミュレーション:OK
まず、平均寿命まで家計がショートすることなく生活していけるかを検証します。今の貯蓄と、これからの収入と支出の見通しをそれぞれ確認していきます。
食費・水光熱費を始めとした生活費、子どもの教育費を始めとして、携帯代、こづかい、外食費、趣味のお金、レジャー、自動車の維持費等、ありとあらゆる出費を確認していきます。
特に重要なのは住まいです。今、私たちは賃貸マンションに住んでいますが、10年後くらいをめどに、妻の実家をリフォームして住もうかという話があります。そうなると、家賃は要りません。
子どもの教育費は、通わせる学校が公立か私立か、文系か理系か芸術系かによって大きく違ってきますし、習い事や塾に通わせる可能性もありますので、それも考えて計算します。
私も妻も、子どもの大学は、2人とも自宅通学できる理系の大学に通わせて専門性の高い仕事についてほしいと思っています。ただ、私立大学の理系だと学費が高めです。奨学金を使うことも考えなければなりません。
さらに、毎月かかるお金の他に、年1回の家族旅行や帰省の費用なども具体的に確認します。
この作業の中で、意外に家計のことを把握していないものだと痛感しました。たとえば、妻は昼食代が勤務先の社員食堂で1食400円で済んでいて家計が大いに助かっていたとか、初めて知りました。
結果、私と妻が共働きで、子ども2人を大学まで通わせ、平均寿命まで生きたとした場合、お金は足りるということになりました。
ライフプランニングを受けてみて、2つの意味で「もっと早くにやっておけば良かった」と痛感しました。
一つには、私はフリーランスの身なので、しっかりスキルを高めてしっかり稼いでいかなければという決心がさらに強くなったことです。
もう一つは、この記事の初めに、私が脱サラした直後に貯蓄が30万円を切ってしまった話をしましたが、実はその直後に、もっときわどいリスクがあったのです。
その時は残高が、ほんの1日だけですが、なんと500円になってしまいました。沖縄への帰省など、お金がかかるタイミングが重なってしまったためです。もちろんすぐ次の日に仕事の報酬が振り込まれるあてがあったので大丈夫でしたが、今思うと危ないところでした。
ライフプランニングの考え方が頭にあって、家計の収支をきちんと把握していれば、あんなギリギリの状態にはならなかったのではないかと思います。
3.2.私に万一があった場合のシミュレーション:ぎりぎり
次に、私に万一があった場合に、残された妻が一人で2人の子どもを育てることができるかのシミュレーションをしました。
家族は、私の収入が入らない代わりに、遺族年金を受け取ることができます。これと、妻の給料とで、やっていけるかを計算するのです。
その結果、「ぎりぎりやっていけそうかな」というものでした。しかし、これはあくまで単純計算した結果です。現実問題として、妻が1人で2人の子どもを育てながらフルに仕事を続けるのはどう考えても無理です。なので、生命保険はある程度、月10万円くらい受け取れるようにしたらどうかということでした。
4.私が選んだ3つの保険
そこで、出岡さんに相談して意見を求め、いろいろ検討した結果、私が選んだのは以下の3つの保険です。
1.亡くなった場合に家族の生活費・子どもの学費等をカバーする保険
→収入保障保険(B生命)
2.働けなくなった時に収入減をカバーする保険
→所得補償保険(C損保)
3.がん等の重大な病気になってしまった時の保険
→がん保険(D生命)
4.1.亡くなった場合に家族の生活費・子どもの学費等をカバーする保険
まず、私が亡くなってしまった場合に家族の生活費や子どもの学費をカバーする保険です。
B生命の収入保障保険です。
保険期間は65歳まで(24年間)、保険金額は月10万円に設定しました。
65歳にしたのは、ちょうどその頃、もうすぐ生まれる2人目の子どもが大学を卒業することになるからです。
10万円というのは、これと妻の収入と私の遺族年金と合わせれば、子ども2人を育てていけるだろうということで決めました。
この保険は、私がこの世を去った場合だけでなく、障害者手帳を受け取ったり要介護状態になったりして働けなくなってしまった場合も、65歳まで毎月10万円が受け取れる特約を付けられます。就労不能特約と言われるものです。
しかも、「非喫煙健康体割引」というのがあります。これは非喫煙者で、血圧が低めであれば、保険料が40%近く割り引いてもらえます。私は条件を満たすので、この割引を受けられます。
そして、がん、心臓病、脳等の病気で所定の状態になったら保険料が免除してもらえるという特約も付けました。
その結果、保険料は年54,454円になりました。
4.2.働けなくなった時に収入減をカバーする保険
次に、私が病気やけがで働けなくなった時の収入減をカバーする保険です。
私が身体障害者になったり介護状態になったりすれば、上でお話しした収入保障保険の就労不能特約でカバーされて、月10万円を受け取ることができます。働けない状態が1年半以上続けば、国から「障害年金」も受け取れます。
問題は、そこまでいかない病気やけがで、まとまった期間、仕事を休まなければならなくなった場合です。
サラリーマンであれば最大1年半、給料の額の2/3を「傷病手当金」として受け取れますが、フリーランスの場合そんな制度はありません。
私の友人でも、椎間板ヘルニアで半年ほど仕事ができず、無収入で大いに不安になったという人がいました。その人は独身ですが、所帯持ちの私にそんなことが起きたらとんでもないことになります。
そこで、出岡さんから紹介されたのがC損保の「所得補償保険」という保険です。
これは、お医者さんの「仕事を休みなさい」という診断書があれば、保険金が日割りで出るものです。
私「そんな保険があったんですか!」
出岡さん「損害保険会社が扱っている保険なんですけど、正直あんまり知られてません。生命保険会社は扱ってないし、損害保険会社もあんまり宣伝してないんです。保険の営業マンでも知らない人がいます。」
私「知ってたら真っ先に入ってました!」
保険金の額を月15万円に設定しました。すると、40歳~44歳の保険料は年41,490円です。
4.3.がん等の重大な病気になってしまった時の保険
最後に、がん等の重大な病気になってしまった場合の保険です。
出岡さんによると、「医療保険」よりも「がん保険」や「三大疾病保険」に入るべきということです。三大疾病はがん、急性心筋梗塞、脳卒中をいうそうです。
なぜかというと、医療保険は基本、入院するか手術を受けなければ保険金が下りず、しかも1か月以内の治療期間であれば「高額療養費制度」があって医療負担の自己負担の上限が決まっているからだそうです。
特にがんになった場合が怖いそうです。なぜなら、がんは治療が長引きがちで、高額療養費制度を利用しても治療費がかさむリスクが高いからです。
出岡さんから、がん保険と、三大疾病の保険のそれぞれについて説明を受けました。そして、私が選んだ保険は、D生命のがん保険です。
三大疾病保険ではなくがん保険を選んだのは、私は食生活や生活習慣に気を使っているので急性心筋梗塞・脳卒中になる可能性が低いと感じたことと、そうなった場合は治療費をカバーする保険よりも「働けなくなった時の収入減をカバーする保険」だろうと感じたからです。
D生命のがん保険は、保障が一生涯続くものです。
がんと診断されたら100万円を受け取れて、以後の保険料が免除されます。また、その2年以上後にがんで入院したら100万円が受け取れます。
そして、抗がん剤・ホルモン剤治療と放射線治療を受けたらそのつど10万円を受け取れます。
「先進医療特約」というのもつけました。これは「重粒子線治療」「陽子線治療」といったがん治療の先進医療を受けた場合、数百万円が国の健康保険の対象外で自己負担になりますが、その費用をカバーしてくれるものです。
これで、保険料は年49,102円です。
5.妻が3つの保険に50万円も無駄に払っていた!
私の保険の見直しに続いて、妻の保険も見てもらうことにしました。
私は、結婚した時に、妻をA生命の医療保険に加入させました。ただ、医療保険については、ここまでの出岡さんの話で、優先順位が低いと感じたので、解約しようかと思いました。
その他に、妻は自分でも保険に入っていると言っていたので、それも見てもらうことにしました。妻は今の会社に入った時に先輩から紹介されてE生命で入ったそうですが、どんなものかは見たことがありませんでした。
妻が持ってきた保険の資料を出岡さんに確認してもらったところ、衝撃の事実が判明しました。妻は、同じ種類の保険に3つも加入していたのです。
妻が入っていたのは以下の3種類です。いずれも保障は一生涯続くものです。
- 医療保険(入院1日5000円・手術1回5万円・5万円・10万円・20万円(種類による))
- 生活習慣病保険(入院1日5000円・手術1回5万円)
- がん保険(がんと診断されたら200万円など)
このうち、がん保険は保障内容は悪くなく、しかも若いころに入ったため保険料も安いので、特に見直す必要はないとのことでした。
問題はあとの2つです。医療保険と「生活習慣病保険」です。
生活習慣病保険は、生活習慣病による入院・手術について保険金が支払われるものだそうです。ただし、妻の場合、それ以外の病気とケガによる入院・手術についても保険金を受け取れる特約を付けていました。これだと医療保険と全く同じです。
つまり、妻は、A生命で1つ、E生命で2つ、合計3つの医療保険に加入していたのです。これだけで保険料は年間約10万円です。家族旅行に1回行けるくらいのお金です。
私も妻も、今までいくら無駄に払っていたのかと愕然としました。少なくとも、結婚後5年分、50万円くらい払っています。そして、すぐ、がん保険を残して全部解約することにしました。
正直、今でも、「もっと早くにちゃんと保険を見直しておけば」と悔しい思いをしています。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
私は今回、サラリーマンの時に入った保険を見直してもらったことで、いろいろなことに気づきました。
まず、脱サラしてフリーランスになったら、必要な保険がサラリーマンの時とは違います。特に「所得補償保険」は穴になりがちだと感じました。
また、収入と支出をきちんと計算し、自分に万一があった時に考えられるリスクをきちんとシミュレーションしてからでなければならないことを知りました。
しかも、私は今まで、妻の保険についてはあまり関心を払ってきませんでしたが、普段からお互いの保険のことをきちんと知っておかないといろいろな意味でまずいと痛感しました。
私のこの経験談が、私と同じようなフリーランスの方や、これから脱サラするにお役に立つことを願っています。