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人間学科共通科目「人間学」特別講演
地球時代の哲学
─池田大作先生の理念と行動─
佐 藤   優
日時:2014 年7月10 日(木)午前9時


一部引用-------------------

ここで、私自身がモスクワで体験したことを紹介しましょう。

1990 年7月25 日、この日、桜内義雄衆議院議長をトップとする日本の国会の代表団がモスクワにやって来ました。その時の代表団の目的は、翌年の春にゴルバチョフソ連共産党書記長兼ソ連大統領を日本に招くことでした。

そのために、官僚たちはモスクワを訪れる前に仕込みをしていました。「サクラの季節にどうぞ来てください」と伝えればゴルバチョフは受け入れる、そういった形に事前準備をしていたのです。

ところが、外務省にある情報が入ってきました。桜内さんが「北方領土の事をゴルバチョフに言うと気を悪くするのではないかと心配で、何も言いたくない」と言ってきたのです。ですから外務省は「北方領土の件、言わないと大変なことになりますよ」とネジを巻きました。

そうしたら、ネジを巻きすぎてしまった。桜内さんはゴルバチョフに会っていきなり「北方領土の問題をまず解決しろ!」と言ってしまった。するとゴルバチョフは「話はそれ
しかないのか?我々は,その島を南方領土と言うことができるんだ。そんな話しか出てこないなら行かないほうがいいな」と言って会談が終わってしまったのです。

時計を確認すると10 分しか経っていません。通訳の分の時間を除くと,実際に会談したのは5分ほどでしょう。そう考えると,片方の発言は2分30 秒です。こんな短時間で決裂してしまったわけですね。新聞発表では30 分と誤魔化していましたが、本当は実質的なやりとりが5分程度の険悪な会談でした。

困ったのは外務省です。ゴルバチョフが来日しなければ、北方領土も何も動かないのですから。すると、会談のすぐ後の27 日に池田先生がモスクワを訪問してゴルバチョフと会う予定になっていました。そこで外務省は池田先生に「日本の国益のためにも、ゴルバチョフさんが日本に来られないと困るんです」と願い出ました。

それに対して池田先生は「私は文化人としての交流でモスクワに来ているんですよ。これは政治のど真ん中の話じゃないですか?」と返しました。それでも、池田先生は「日本のためにやろう」と言ってくれた。ただ、「そのかわり、外務省の言ったとおりにはやらないよ」と付け加えたのです。この辺りが、池田先生らしいですね。

そして、ゴルバチョフに「サクラの春か、モミジの秋に日本に来てください」と伝えると、「喜んで行きます」という話になりました。その場もとても和気藹々とした会談になったのです。これは、やはり相手の心を掴む力が決め手になったと言えるでしょう。日本の要求だけをする事は誰にでもできます。ゴルバチョフの立場を考えながら交渉する、池田民間外交の勝利となったわけです。

結果、翌年にゴルバチョフは日本へとやって来て、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の4島の名前を出して、それが係争地であることを認めました。これによって、北方領土交渉の位相が飛躍的に変化したのです。

ところが、この記録は外務省のどこにも残っていません。それを私は知っています。大使が記録に残すな、と指示したからです。外務省はこの事実を無かったことにしている。

外務省が、民間人であり、宗教人であり、文化人である一人の人に、このような外交の重要問題を任せたということになってはきまりが悪いのです。官僚というのは成績だけはいいので、きまりの悪いことというのはとても嫌いなのですね。ですから、このように隠してしまう。

私も御縁があって東京拘置所の御厄介にならなければ、たぶんこのことは話さなかったでしょう。しかし、出てきたついでなので、知っていることを国民のためにお話ししておこうと思ったのです(笑)。
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