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【Director’s Interview Vol.7.2】上田慎一郎監督は如何にして『カメラを止めるな!』を作ったのか!?~後編~ ※注!ネタバレ含みます!!

【Director’s Interview Vol.7.2】上田慎一郎監督は如何にして『カメラを止めるな!』を作ったのか!?~後編~ ※注!ネタバレ含みます!!


現在全国で絶賛公開中の話題のインディーズ映画『カメラを止めるな!』。前代未聞の作品を生み出した上田慎一郎監督が語る創作の秘密。後篇はネタバレ御免!鑑賞した人向けの内容です!ぜひ鑑賞してからお読みください! 


※前編はこちらから!

Index


主人公をTVディレクターにした監督の思い



Q:『カメラを止めるな!』の主役は再現ドラマが得意なTVディレクターですね。僕もTVディレクターとして長い間再現ドラマを作っていたことがあって、すごく分かる世界だなと思いながら拝見しました。TVディレクターを主役にしたのはどんな狙いがあったんですか?


上田:色々あるんですが、まず初期の段階では、主役は若い映画監督の設定だったんです。


 で、ゾンビものがやりたい、ワンカットがやりたいと言って挑戦して、みんなで成功する。でもそれはコメディになりづらいんですよ。ただの熱い話になる。「やりたくない」っていう人が巻き込まれて、「やりたくない、やりたくない」って言ってたのに、やる羽目になってという方がコメディになりやすいし、自分の好みだったんですね。だから、昔は映画監督を目指していて、大志を抱いた時があったかもしれないけど、今は日々与えられた仕事を粛々とこなしている男が、娘が家を出てしまうとなった時に、もう一度特別な人間になって娘に尊敬されたいと。そんな下心で、始めたけど困って、困って、、というストーリーになった。 


 あともう一つあるとすると、37分のワンカットは、映画監督だったら撮り切れてないと思うんですよ。それはやっぱり、「こんなクオリティのものは世に出せない」と。あのイケメン俳優が言っていたような、作品としてある程度のレベルに達してないとお客さんに見せられないみたいな。でも、やっぱり再現VTRとかは、短い期間・時間で撮り切らないといけない。とにかくまず納品するということ、妥協できるということが、どっかでかっこいいなと思っているんですよ。職人の人たちが撮り切って商品として届けるっていう時に、「ここだったら妥協できる」っていう男のかっこよさみたいな。『 カメラを止めるな!』で主人公がプロデューサーから「そこそこでいいですから」って言われて、「分っかりました」って返す・・・この、何ていうんですかね(笑)。




Q:あそこは悲しいですね。ちょっと身につまされるものがありました。


上田:「分っかりました」って、ちっちゃい「っ」で抵抗する感じっていうか。「了解です、って受け止めてないよ」っていう。この小さな抵抗っていうのは、別に映像業界の人にかかわらず、サラリーマンでも学校でもあると思うんですけど、そのちっちゃい「っ」の部分で小さく抵抗している。


Q:「分かりました」じゃなくて……


上田:はみ出てしまっている。


Q:「分っかりました」って、あの間ですね。


上田:そうそうそう。それは、俺はやっぱ人間だなって思うし、かっこいいなって思う所なんですよね。進んでいかなきゃいけないじゃないですか。全部が全部、子どもみたいにわがままに、「それはできません、これは作品なんです」って言うんじゃなくて、今できる範囲の中で進んでいくっていうこと、妥協できるっていうことが、かっこいいなって憧れてる部分がちょっとあって。



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