Photoshopでキラキラに輝く
満点の星空を作成する方法
「キラキラに輝く満点の星空を撮影してみたい。」と思ったことはないでしょうか。しかし、いざ撮影してみると肉眼で見た星の輝きがうまく表現できないといったケースも。Photoshop(フォトショップ)を使えば、淡い星の輝きの天体写真も、見違えるほど美しく仕上げることができます。
今回は、Photoshopを使ってキラキラに輝く迫力のある星空を演出するテクニックをご紹介します。「Camera Rawフィルター」の基本的な機能、レイヤーマスクを利用したレタッチ術で、どんな天体写真にも活用することができ、写真撮影が楽しくなるテクニック。
Photoshop
For Life
“HOW TO EDIT THE MILKY WAY”
今回は、こちらの写真を加工していきます。これだけでもきれいな写真ですが、淡い星の輝きをドラマチックで見応えのある満点の星空に仕上げてみましょう。
まずは元のオリジナル写真を触らずに編集できるように、写真レイヤーを右クリックし、「スマートオブジェクトに変換」を選択しましょう。こうすることで、非破壊編集が可能となり、いつでも元の写真に戻すことができます。
メインメニューより「フィルター」>「Camera Rawフィルター」を選択し、表示されたダイアログボックス上で「露光量: 1.25」前後に設定します。これによって、写真全体を明るくします。
次に「トーンカーブ」より2点を選択し、コントラストを強調するような曲線を描きましょう。このときに、Shiftを押しながらクリックすることで、複数の点を同時に移動させることができます。
再度、基本補正パネルに戻り、「ホワイトバランス」の「色温度」と「色かぶり補正」を図のように調整しましょう。編集しているしている写真に応じて、色味は変更できるので、お好みの色合いを表現してみましょう。ここでは、やや青みがかった色合いに調整しています。
次に「ディテール」パネルを開き、「ノイズ軽減」の「輝度: 45」、「輝度のディテール: 35」、「輝度のコントラスト: 24」に設定しましょう。こうすることで、星空のざらつきを抑え、より輝いた印象に仕上げることができます。
一眼レフなどで絞りを開放して撮影した写真は、四隅が暗くなりがちなので、「レンズ補正」の「手動」タブにある「周辺光量補正」を使って補正しましょう。「露光量」スライダーを右に移動させながら、連なる山々と星空の境界線あたりの明るさまになるように補正します。
「Camera Rawフィルター」での調整を終えたら、「OK」ボタンをクリックしてここまでの設定を確定しましょう。「スマートオブジェクトに変換」しているので、スマートフィルタをOn/Offすることで、エフェクトを表示・非表示にできます。
ここで写真レイヤーを複製(ショートカット: Command/Ctrl + J)し、ツールバーより「クイック選択ツール」を選択し、山の部分のみ選択します。選択範囲はあまり細かく調整する必要ありませんが、より美しい仕上がりになります。
選択範囲を指定したら、メインメニューより「レイヤー」>「レイヤーマスク」>「選択範囲外をマスク」を選択しましょう。
元の写真レイヤーを選択した状態で、新しく「トーンカーブ」調整レイヤーを作成しましょう。
山の部分にレイヤーマスクを適用したことで、星空部分のみにフィルタをかけることができるようになります。
作成した「トーンカーブ」調整レイヤーのレイヤーマスクを選択した状態で、描画色「黒(#000000)」で塗りつぶしてしまいましょう。Command/Ctrl + DeleteまたはOption/Alt + Deleteで描画色および背景色でペイントできます。
続けて、ツールバーより「ブラシツール」を選択し、輝きをアップさせたい天の川エリアを中心に、描画色「白(#ffffff)」でペイントしていきましょう。
ペイントした範囲は、このままではブラシの硬さが目立ってしまうので、うまくぼかしていきましょう。
メインメニューより「フィルター」>「ぼかし」>「ぼかし(ガウス)」を選択したら、「半径: 250px」に設定しましょう。これで、ブラシでペイントした範囲をぼかすことができました。
「トーンカーブ」調整パネルより、星空の輝きをよりアップさせるために、コントラストを調整しましょう。このときのポイントとしては、明るい部分とくらい部分の2箇所を選択し、星がよりキラキラと輝くように、滑らかな曲線カーブを描きましょう。
星空をよりくっきりとさせ、ポップで鮮やかな印象に仕上げるために、元の写真レイヤーをもうひとつ複製しましょう。
メインメニューより「フィルター」>「シャープ」>「アンシャープマスク」を選択したら、「量: 88%」、「半径: 50px」に設定しましょう。このときに、大げさなくらいにフィルターを適用することで、よりポップでダイナミックな仕上がりを演出できます。
もっとも色合いを調整したい、天の川部分のみにフィルターを適用するために、レイヤーマスクをかけましょう。
アンシャープマスクを適用したレイヤーを選択した状態で、メインメニューより「レイヤー」>「レイヤーマスク」>「すべての領域を隠す」とすることで、レイヤーマスクが描画色「黒(#000000)」で塗りつぶされました。
再度、ツールバーより「ブラシツール」を選択し、輝きをアップさせたい天の川エリアを中心に、描画色「白(#ffffff)」でペイントしていきましょう。
先ほど同様に、レイヤーマスクの範囲をぼかすために、メインメニューより「フィルター」>「ぼかし」>「ぼかし(ガウス)」を選択したら、「半径: 250px」に設定しましょう。
最後にレイヤーの「塗り」または「不透明度」を「50%」前後に調整しておきましょう。
夜景を撮影した写真では、街の明かりによって、空との境界線あたりがぼんやりと光っていることがよくあります。この写真では、やや緑がかった色合いになっています。
これを調整するために、新しい「トーンカーブ」調整レイヤーをオリジナル写真レイヤーの上に作成したら、気になる地上付近の夜空を中心にレイヤーマスクを適用しましょう。あとは、お好みでトーンカーブ「レッド」や「グリーン」をほんの少し調整すれば完成です。
これで完成となります。全体的に暗い印象だった星空が、天の川までくっきりと見える満点の星空に仕上げることができました。
肉眼で見たとき以上の感動を伝えることができる、覚えておきたい写真レタッチテクニックのひとつと言えるでしょう。
キラキラに輝く星空を撮影するのは、難しく感じるかもしれませんが、三脚を活用することでしっかり固定でき、Photoshopでも編集しやすい写真を撮ることができます。
スマートフォンやコンパクトカメラでの撮影はなかなか難しいので、一眼レフやミラーレスカメラを使い、広角で、絞り全開放(最小値で一番明るい状態)、シャッター速度は30秒前後(線にしたいときは3分以上)、ISO1600前後と高めに設定して撮影すれば、あとはPhotoshopで星の輝き具合や空の色なども自由にカスタマイズできますよ。