付加価値税25%に所得への課税は50%前後。そこで暮らす人々は高い税をどう思っているのだろう。それを聞く機会を得た。北欧のスウェーデンとフィンランドを訪れた。
日本人は税は「納める」という意識ではないか。政府のお金であって自分のものではない。使われ方もよく分からない。北欧では「預ける」と考えている。いずれ国民に返ってくる「貯蓄」「投資」といった感覚だろうか。
スウェーデンのエコノミストに聞くと「その見方はそうだね。人は生まれれば税で賄われる教育を受ける。そして働いて税を払い老後はそれをもらう。人生を通してみるとそういうことになる」と話した。
聞いたのは数人だったが「高い税は嫌だ」と言う人はいなかった。「社会保障がちゃんと人生を支えてくれることが分かっているから納税する」という答えが共通していた。
フィンランドでは、自宅で子どもたちを預かる「保育ママ」に自身の所得税率を聞いたら即答した。聞いた私はすぐ答えられない。
税が高くても必要な支えは得られると実感している。負担と給付の関係が明確だ。日本は増税分を社会保障の財源にと消費税を8%に引き上げたが、かなりの部分を制度維持の借金返済に回し、増税が給付の充実感に結びついていない。受益感を持てない増税は難しい。日本の課題を実感した。 (鈴木 穣)
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