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英会話が上達するために、日本人に絶対必要なこと

南の島に英語学校を作った日本人の結論

日本人の英語上達に必要なもの

僕はいま、南太平洋に浮かぶ島国、フィジー共和国で語学学校を2校運営しています。北半球が夏休みの今は一番学生が多い時期なのですが、日本人を中心に韓国人とかロシア人とか500人くらいが南の島で英語を学んでいます。

語学学校を初めて14年、2万人くらいの卒業生がいます。その実績を買われて、なぜかフィジーの国立高校2校の運営もフィジー政府から任されています。

フィジーは英語のみを公用語としていて、物価が途上国レベルという、いまや世界でも本当に珍しい国です。

教育レベルにおいても高等教育進学率95%の日本にまでは及びませんが、軒並み60%を切る欧米を遥かにしのいだ85%の進学率を持つなど、とても教育熱心な国でもあります。

それよりなにより、2018年ギャロップ社発表の『世界幸福度指数』ナンバーワンに選ばれているのがフィジーなのです。

気候も人も温かく、とにかく明るいホスピタリティーにあふれた人たちの国。フィジーの人たちは道を尋ねられれば、手を引いて目的地まで連れて行ってくれたり、ついでに自分の家にお茶に招いたりする。イギリスの旅行雑誌でも長年、世界一ホスピタリティーの高い旅行先に選ばれています。そしてかなりの親日国です。

フィジー共和国は1987年まで英連邦だったこともあり公用語は今も英語 photo iStock

こんなフィジーで日本人を中心に、韓国、ロシアなどから来る高校生、大学生、社会人に英語を教えるようになって、僕には一つ確信していることがあります。

日本人が英語を使いこなすのに本当に必要なのは、ただの「英語学校」ではなく、英語を教える「性格矯正学校」だということです。

といっても、なにも洗脳するわけではありません。ひと言でいえば、心のスイッチを入れてあげる学校が必要だということ。ちょっとした意識改革で日本人はあっという間に英語が上達すると思うのです。

ガラパゴス化している日本の英語教育

日本人が英語教育の問題を語る際、「日本の英語教育は文法重視だからダメだ!」とか、「発音が矯正できなくなるから、幼少からの英語教育が必要だ!」などという話をよく聞きます。

これらの意見は本当に的を射ているのでしょうか?

 

日本国内には、お馴染み駅前の英語教室はじめ、オンラインの英会話教室があり、書店やネットにはCD・DVDなど英語教材が溢れています。それでもそれらの学習手段を使って、「英語力がものすごく伸びました」という人に、僕はほとんど出会ったことがありません。

また、「日本人にはグループレッスンよりも(料金は高いけれど)マンツーマンレッスンが!」などという宣伝文句もよく耳にします。これも怪しい。

口数の少ない日本人が、1時間のマンツーマンレッスンで、耳にする英語、口にする英語よりも、グループレッスンで、日本人が犯しがちな英語のミスなどの指摘を、グループ内の他の生徒の間違いも含めて、教師から受けるほうがずっと理に適っています。

ズバリ言うと、世界の語学学校のスタンダードと比較して評価するなら、日本の英語教育は“ガラパゴス化”しているのです。

世界の英語教育(英語以外の言語教育も)は、年々、教え方・カリキュラムともに向上しているにもかかわらず、日本国内の英語教育はどこかおかしなベクトルに進んでいるのです。

僕は仕事柄、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアなど、世界のいろいろな語学学校を視察してきましたが、テキスト・教材は、どこの学校でも同じようなものを使っています。

イギリスの「ケンブリッジプログラム」というものがほぼスタンダードで、世界の語学学校のほとんどがこのプログラムを採用しているのです。もちろん、カリキュラムの3割程度は、文法、読解、発音の授業など。それも世界でもスタンダードです。ところが日本でこのプログラムを採用しているところは本当に少ない。

会話重視(中には教材も使わないものも多い)の長所のみを強調した日本国内の英会話教室に通い、容姿がイケメンなだけの文法も理解していない外国人教師(有資格者は少ない)から英会話を学んだとしても、正直、それは目の保養だったり、趣味の域を出なかったり……。

本当に英語を使えるようになるには、どう学ぶべきなのか?