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弟の結婚式は、人生の中でも最悪の部類の思い出の一つだ。

俺は当時寝込んで、起き上がるのもやっとで、なんとか弟の結婚式に、弟が恥ずかしくないよう、スーツや身の回りのものを揃え、弟の依頼にも嫌な顔一つせず無償で応えて、苦手な親戚にも我慢し、花嫁の親戚に心地よく過ごしてもらえるように気を配った。

宴もたけなわ、ようやく、忙しかった弟と、普通に会話する時間がやってきた。

弟は、開口一番に言った。

「(顔が)パンパンじゃねーか、萎えるわ」

俺は、疲れていたし、数年ぶりに飲んだ酒のせいで、あぁ、俺、太って醜いよなぁ、と思った。

後から写真を見返したが、弟の顔は俺よりもパンパンだった。

姉がフォローに入って、やっと自分が酷い事を言われているのに気付いた。

その場は堪え、あとからメールを送った。

弟は、そんな事は言っていないと言い、重ねて俺を罵倒した。

........俺は、弟を許さなくて、いいよな?

俺や姉たちが、家賃を払い続けた実家に勝手に住んでいた弟を、皆が休日にくたびれ果てているのを罵倒した弟を、許さなくていいよな?

俺は、あんな恩知らずは、許さなくていいと思う。

もう我慢しない。

最近、弟と連絡を取る機会があったが、愚かで頭が動きが鈍く臆病で、言葉にしようがないほど酷かった。

さっさと一家ごと、死んでくれると、本当に心が安らぐ。

俺が何かするまでもない。勝手にどっかで野垂れ死ぬ。

俺は奴隷には興味がない。

なにより許せないのは、弟が行った親戚の食事会での薄ら寒いスピーチもどきだ。

母の死を悼む権利は、母を見殺しにした弟には、もちろん、無い。