米メディア、報道の自由訴えるキャンペーン実施 トランプ氏の攻撃受け
米国の報道機関300社以上が16日、ドナルド・トランプ米大統領によるメディアへの攻撃に対抗し、報道の自由を訴えるキャンペーンを実施する。
米紙ボストン・グローブは先週、トランプ大統領のメディアを槍玉にあげた「汚い戦争」に対抗し、ハッシュタグ「#EnemyOfNone(誰の敵でもない)」を用いて全国的な非難の声を上げようと訴えた。
トランプ氏はメディア報道を「フェイクニュース」と揶揄(やゆ)し、ジャーナリストを「国民の敵」だとして攻撃している。
国連の専門家はトランプ氏の攻撃について、ジャーナリストに対する暴力の危険性を高めていると指摘していた。
ボストン・グローブは先週、「米政権による報道への攻撃が持つ危険性」を訴える社説を16日に掲載すると表明し、他のメディア各社にも同様の行動をとるよう訴えた。
米国の主要全国紙、小規模な地方紙とも、ボストン・グローブの呼びかけに応えると明言した。英紙ガーディアンなどの国際的な新聞社も賛同するとしている。
英ロンドンに本社があるガーディアンは16日掲載予定の社説(15日午後11時59分ウェブ版公開)で、トランプ氏は「報道の仕事を弱体化し、非合法化し、危険にさらしすらする、計算され一貫した方針を持つように見える」初めての米大統領だと書いた。
「報道の自由はあなたを必要としている」と題した米紙ニューヨーク・タイムズは社説で、トランプ氏の攻撃を「民主主義の生命線への危機」と呼び、記事の真下に同業他社数十社の記事引用を掲載した。
キャンペーンを先導したボストン・グローブも「ジャーナリストは敵ではない」と題した自社の社説で、報道の自由は200年以上、米国の中核的な規範になってきたと述べた。
ボストン・グローブの社説は「いま、報道の自由は深刻な脅威にさらされている」とし、トランプ大統領がしているような報道への処遇は、世界中の「独裁者に危険な信号を送っている」と主張した。
16日のキャンペーンは、メディアをめぐる一連の問題や、トランプ氏が打ち出しているメディアへの圧力増加を受けたもの。
トランプ氏の娘イバンカ・トランプ氏が、父親によるメディア攻撃から距離を置いた一方、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は、メディアは国民の敵ではないと明言することを拒否した。
また7月には、フロリダ州で行われた米大統領選に向けたトランプ氏支持者の集会で、取材する記者に対し、支持者が侮辱やののしりの声を投げる様子を米CNNが撮影した。CNNでニュース番組の司会を務めるジム・アコスタ記者は、強い言葉が収められた動画をツイッターに投稿し、「タンパで開かれたトランプ氏の紹介で我々が直面した悲しい光景の一例。トランプといくつかの保守メディアに駆り立てられた敵意が、結果的に誰かを傷つけるのを私は非常に恐れている。我々は同胞の米国人をこんな風に扱うべきではない。報道は国民の敵ではない」 と記した。
(英語記事 US media holds free press campaign after Trump attacks)