ピエール・コデルロス・ド・ラクロ『危険な関係』ベースの映画3作
ええ、同じ話を3つ見たんです。
なんでそんなヒマな道楽をやらかしたかっていうと、不意にコリン・ファースのコスプレ物を見たい発作が起きまして、「恋の掟」を発掘したのがそもそものはじまりです。
大体題名に「恋」とか「愛」とかついてると、じんましんの原因にもなりかねませんが、これってナント、ラクロの「危険な関係」を映画化したブツだったんです。
危険な関係といえば、もうさんざん映画化やらドラマ化されているやつで、大概の人が「あー、あのエグイ話ね・・・。」とアルカイックスマイルを浮かべてしまうのではないでしょうか。
それで、そう言やうちに「危険な関係」のDVDあるし、U-NEXTで「華麗な関係」や「クルーエル・インテンションズ」を見られるしで、この際同原作モノをちょっと見比べてみようかな、と軽く思ったのでございます。
ただ私の場合、この恋愛の駆け引き要素で4作も見るのは若干キツイもんがあるし、個人的に興味のある部分が萌えキャストがいるかどうかと、時代設定に尽きるので、現代版の「クルーエル~」は外しました。
あと、ジェラール・フィリップとジャンヌ・モローのやつは残念ながらまだ見れてません・・・。
恋の掟(1989)イギリス/フランス
なんやこれ!めっちゃラブコメやないか!!
もちろん、悪い意味ではございません。
そもそも「危険な関係」といえばおどろおどろしい腹黒ドラマ!というイメージ強かったので、この全体的に軽いタッチの恋愛コメディっぷりにちょっと腰が抜けただけ。
これはやぱし、さすがのコリン・ファース効果と思わざるを得ませぬ。
ヴァルモンにしてはさわやかで可愛すぎる点が、逆にフレッシュ!
ラストもトゥールベル夫人が救われるので、悲劇な感じはナッシング。
ちなみに、トゥールベル夫人はメグ・テイリー。
トゥールベル夫人のイメージか?と考えれば若干ハテナがゆらめくものの、お姉さんのジェニファー・ティリーの毒気をちょっと抜いた感じのすてき美女なので眼福です。
ヴァルモンと賭けをする腹黒公爵夫人はアネット・ベニング。
聞く者をモレなくイラっとさせるであろう、人の悪い笑い方がうまかった!
多分胸糞MVPであろう。
ちなみにこの映画ではセシルにもかなり重点が置かれているんですが、セシルがなんと、ゴスメイクをしてないフェアルーザ・バーク!!
うぶで純真な修道院あがりの少女役が、しっくりなじむかわいらしさで仰天しました。
みどころはもちろん、1に水もしたたるいいコリン、2にコリン、3,4もコリンで5にコリン。
あと、さすがのミロス・フォアマン映画、本格的にゴージャスなインテリアや調度はもちろん、衣装が壮絶に可愛いです!
特に、ロズモンド伯母様のプリティーなコーディネートは必見でございます。
監督
- ミロス・フォアマン
キャスト
- コリン・ファース(ヴァルモン子爵)
- アネット・ベニング(メルトゥイユ侯爵夫人)
- メグ・ティリー(トゥールベル夫人)
- フェアルーザ・バーク(セシル)
- シアン・フィリップス(ヴォランジュ夫人)
- ヴィンセント・スキャヴェリ(ジェーン)
- ジェフリー・ジョーンズ(ジェルクール将軍)
- ヘンリー・トーマス(ダンスニー)
危険な関係(1988)アメリカ
ジョン・マルコビッチのただならぬフェロモンを感じる一本でございます。
もはや、妖気と呼んでも良いほど。
ヴァルモンという人物はちゃんとゲスであるからこそ、トゥールベル夫人に対する葛藤に、はっとする感情が生まれるのよね。
その点、マルコビッチさんは最高なのでは。
あと、グレン・クローズの凄みは言うまでもないと思うんですけど、なんつーか、私のちょっと苦手なミシェル・ファイファーが、この映画ではむっちゃ清らかに見えたというマジックから、映画の力のあなどれなさを痛感したのであります。
セシルは若き日のユマ・サーマン。可憐です。
そして、衣装や時代設定も本格的なので、余計な違和感に悩まされることなく、この黒い恋愛ゲームの顛末に対し、おごそかに眉間のシワを寄せることができます。
ここに挙げた三作のうち、一本だけ見るなら絶対これじゃないかなぁ。
監督
- スティーヴン・フリアーズ
キャスト
- グレン・クローズ(メルトゥイユ侯爵夫人)
- ジョン・マルコヴィッチ(ヴァルモン子爵)
- ミシェル・ファイファー(トゥールベル夫人)
- ユマ・サーマン(セシル)
- キアヌ・リーブス(ダンスニー)
- スージー・カーツ(ボランジュ夫人)
- ミルドレッド・ナトウィック(ロズモンド夫人)
- ピーター・カパルディ(アゾラン)
- ローラ・ベンソン(エミリー)
- ヴァレリー・ゴーガン(ジュリー)
華麗な関係(1977)フランス
これは、シルヴィア・クリステルの為に総力を注いだ映画ですよね?
マチルドが雨に打たれた姿で現れる、登場シーンの美しさにはもう目を見張ります。
かのナタリードロン演じる悪女でさえ、ただの刺身のツマ状態。
マチルドとシャルルの関係に重点を置いた、ポルノ要素多めの映画ではありますが、そのなんたる美しいこと。
マチルドは貞淑な妻ゆえに、シャルルのターゲットになるんですけど、お話の流れを追ううちに、貞淑ってなんぞや、マチルド貞淑ちゃうんでは?という疑問は普通に湧くかもしれませんww
浮気願望あればこそ、貞淑な人妻はあんなあからさまなトラップにひっかからんやろ。
監督
- ロジェ・ヴァディム
キャスト
- シルヴィア・クリステル(マチルド)
- ジョン・フィンチ(シャルル)
- ナタリー・ドロン(フローラ)
- ジゼル・カサドゥジュ
- ジャン・メルメ