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▲NHK出版生活人新書【ゲーム脳の恐怖】森 昭雄著
上の本を読みました。新聞でも話題になったゲームと脳の前頭前野部の働きの研究結果についてまとめた本です。普通の子供がゲームに夢中になって遊んでいると、脳の前頭前野部の活動低下が脳波に現れます。しかもゲームを止めてもその状態が持続するのです。
前頭前野部は脳の中で最も人間的な働きをする部分で、考えながら物事をするときに活発に働きます。また古い皮質の情動的な活動を抑制する働きもあります。この部分の活動低下は青少年に大きな悪影響があるのではないかと筆者は考えています。
元々は脳波をリアルタイムで分析するシステムの開発中に、開発に携わるソフトウェア技術者の脳波を測定して発見された現象です。この機械は脳の前頭前部の脳波だけを測る機械ですが、彼ら技術者では上手く波形が録れなかったのです。機械の不具合かと思って別な人達の脳波を測るとちゃんと波形が録れました。そこでソフトウェア開発時にモニターを長時間見ている影響なのではと考えたのです。
さらに似たような作業をしているものは何かということで、TVゲームに思い当たり、被験者を集めて測定したところ驚くべき結果が出たのです。ゲームを常習的に遊んでいるとゲームをする前から前頭前野部のベータ波が減少しています。
ゲームを週4~6回、1回2~7時間する人達で、このタイプをゲーム脳人間と呼びます。ゲーム開始前から前頭前野部のベータ波が老人性痴呆の患者並みかそれ以下に減少しており、ゲームを開始すると全く前頭前野部は働きません。ゲームを終えても元へもどりません。自己申告でこのタイプの人は、物忘れが激しく約束を守らなかったりするそうです。
週2~3回、1回1~3時間くらいゲームをする半ゲーム脳タイプでは、平常時の脳波は痴呆患者よりは活発ですが、ゲームをしない人に比べると明らかに低下しています。ゲーム開始後はやはり急激に前頭前野部の活動が低下します。ゲームを終えても活動がなかなか復活しません。
ゲームを全くしたことがないタイプでは、平常時の前頭前野部の活動は非常に活発です。ゲームを始めても活動低下が起こりません。これはゲームに慣れていないので、常に考えながら遊んでいるからです。ゲームをやめれば直ぐに脳波は元へ復帰します
誤解してならないのは、ゲームをしていると痴呆になるという訳ではないのです。脳全体の中で前頭前野部の活動が低下するのであって、後頭部中心の視覚系はむしろ非常に活発に働いています。痴呆患者にはこのようなことは見られません。
では何がいけないのでしょうか。多くのゲームでは画面に現れた敵を一瞬の迷いもなく退治するように、瞬間的に判断して行動しなくてはなりません。そうすると遊んでいる内に前頭前野部をバイパスして、視角野に入った情報に基づき運動野に情報を伝えるルートが強化されます。考えていては処理が遅れやられてしまうからです。これはテトリスのようなゲームでも同じです。
すると自分の行動を抑制するルートが使われず直情的に行動する、すなわち「キレる」につながります。この本の筆者はここに危機意識を持っているのです。さらに前頭前野部の働きが低下すると、考えがまとまらなくなったりボーっとしていることが多くなり、他人との協調性がなくなります。
以上のように現代の子供がキレやすいのは、多分にTVゲームの影響があるのではないでしょうか。そして男の子に切れる子が多いのも、よりゲームで遊ぶ人口が多く、かつ時間が長いためではないでしょうか。
ところがこれがゲームだけではなく携帯メールでも同じ状態が起きることが判ったそうです。携帯メールの場合には長い文章を考えるのではなく、感覚的に絵文字などを並べて打つことに集中しており、丁度ゲームで遊んでいる状態に似ているからではないかと考えられています。
携帯メールは男性よりも女性の方が多く使っているようなので、これからは女の子だからと言って安心していられません。同じ手先を多く使う遊びでもお手玉やけん玉だと前頭葉が活発に活動するそうです。ダンスなど全身を協調させて行う活動は脳を活性化させます。半ゲーム脳タイプならばお手玉で脳波が回復するそうです。
かつて私達やその親の世代が親しんだ遊びには、脳を活性化させる働きもありました。だから楽しさも大きいのかもしれません。幼児から手遊び歌に親しみ、お手玉やけん玉、コマ回し、縄跳び、カン蹴り、馬飛びなどもう一度見直して、お子さんと一緒に遊んではいかがでしょうか。
▲NHK出版生活人新書【ゲーム脳の恐怖】森 昭雄著
上の本を読みました。新聞でも話題になったゲームと脳の前頭前野部の働きの研究結果についてまとめた本です。普通の子供がゲームに夢中になって遊んでいると、脳の前頭前野部の活動低下が脳波に現れます。しかもゲームを止めてもその状態が持続するのです。
前頭前野部は脳の中で最も人間的な働きをする部分で、考えながら物事をするときに活発に働きます。また古い皮質の情動的な活動を抑制する働きもあります。この部分の活動低下は青少年に大きな悪影響があるのではないかと筆者は考えています。
元々は脳波をリアルタイムで分析するシステムの開発中に、開発に携わるソフトウェア技術者の脳波を測定して発見された現象です。この機械は脳の前頭前部の脳波だけを測る機械ですが、彼ら技術者では上手く波形が録れなかったのです。機械の不具合かと思って別な人達の脳波を測るとちゃんと波形が録れました。そこでソフトウェア開発時にモニターを長時間見ている影響なのではと考えたのです。
さらに似たような作業をしているものは何かということで、TVゲームに思い当たり、被験者を集めて測定したところ驚くべき結果が出たのです。ゲームを常習的に遊んでいるとゲームをする前から前頭前野部のベータ波が減少しています。
ゲームを週4~6回、1回2~7時間する人達で、このタイプをゲーム脳人間と呼びます。ゲーム開始前から前頭前野部のベータ波が老人性痴呆の患者並みかそれ以下に減少しており、ゲームを開始すると全く前頭前野部は働きません。ゲームを終えても元へもどりません。自己申告でこのタイプの人は、物忘れが激しく約束を守らなかったりするそうです。
週2~3回、1回1~3時間くらいゲームをする半ゲーム脳タイプでは、平常時の脳波は痴呆患者よりは活発ですが、ゲームをしない人に比べると明らかに低下しています。ゲーム開始後はやはり急激に前頭前野部の活動が低下します。ゲームを終えても活動がなかなか復活しません。
ゲームを全くしたことがないタイプでは、平常時の前頭前野部の活動は非常に活発です。ゲームを始めても活動低下が起こりません。これはゲームに慣れていないので、常に考えながら遊んでいるからです。ゲームをやめれば直ぐに脳波は元へ復帰します
誤解してならないのは、ゲームをしていると痴呆になるという訳ではないのです。脳全体の中で前頭前野部の活動が低下するのであって、後頭部中心の視覚系はむしろ非常に活発に働いています。痴呆患者にはこのようなことは見られません。
では何がいけないのでしょうか。多くのゲームでは画面に現れた敵を一瞬の迷いもなく退治するように、瞬間的に判断して行動しなくてはなりません。そうすると遊んでいる内に前頭前野部をバイパスして、視角野に入った情報に基づき運動野に情報を伝えるルートが強化されます。考えていては処理が遅れやられてしまうからです。これはテトリスのようなゲームでも同じです。
すると自分の行動を抑制するルートが使われず直情的に行動する、すなわち「キレる」につながります。この本の筆者はここに危機意識を持っているのです。さらに前頭前野部の働きが低下すると、考えがまとまらなくなったりボーっとしていることが多くなり、他人との協調性がなくなります。
以上のように現代の子供がキレやすいのは、多分にTVゲームの影響があるのではないでしょうか。そして男の子に切れる子が多いのも、よりゲームで遊ぶ人口が多く、かつ時間が長いためではないでしょうか。
ところがこれがゲームだけではなく携帯メールでも同じ状態が起きることが判ったそうです。携帯メールの場合には長い文章を考えるのではなく、感覚的に絵文字などを並べて打つことに集中しており、丁度ゲームで遊んでいる状態に似ているからではないかと考えられています。
携帯メールは男性よりも女性の方が多く使っているようなので、これからは女の子だからと言って安心していられません。同じ手先を多く使う遊びでもお手玉やけん玉だと前頭葉が活発に活動するそうです。ダンスなど全身を協調させて行う活動は脳を活性化させます。半ゲーム脳タイプならばお手玉で脳波が回復するそうです。
かつて私達やその親の世代が親しんだ遊びには、脳を活性化させる働きもありました。だから楽しさも大きいのかもしれません。幼児から手遊び歌に親しみ、お手玉やけん玉、コマ回し、縄跳び、カン蹴り、馬飛びなどもう一度見直して、お子さんと一緒に遊んではいかがでしょうか。