若手の社会人(1年~3年目)に対する資産形成のアドバイスをしていただくため、金融庁で開催している個人投資家との意見交換会、つみたてNISA Meetup(略してつみップ)にゲストとして何度もご参加いただいている投資ブロガーの虫とり小僧さんにお越し頂き、金融庁若手(入庁1年~3年目)との座談会を開催しました。その模様をまとめたもので、今回は第2回目。複数回に分けて掲載予定です。
※ 参加者のコメントは、個人的見解に基づいて書かれたものであり、当庁の見解、意見等を示すものではありません。
では、そろそろ本題に入っていきましょうか。
(マツモさん挙手)
止まらない質問(笑)さすが金融庁職員!
すみません、いきなりですが、やはり投資はした方がいいんでしょうか。金融庁に入ってすぐに、「つみたてNISA」で投資を始めてみたものの、本当に必要なのか不安で。
そこで、虫とりさんはどうして投資を始めたのか、教えて頂けませんか。
おお、直球質問キタ!
私が投資を始めたのは2005年。当時、新聞を読んでいると「景気回復が続いている」というような言葉をよく目にしました(それはその後、「戦後最長の好景気=いざなみ景気」なんて、呼ばれるようになります)。
当時は、同時にリストラや減給、就職氷河期などといったようなネガティブな言葉も同じくらい、いや、ずいぶんと多く聞こえてきました。「はて、メディアのいう景気回復とは一体何なんだろう?」ってな感じで、私は経済について興味を持ち始めたのです。
好景気の実感が薄かったということですか。
そうそう。で、いろいろ考えた結果、「好景気」の恩恵を受けるためには資本家になる(=株主になる)しかないのかなぁ、と考えました。
たしかにその時期(2002年以降の数年間)、日経平均株価は右肩上がりに上昇していたので、なるほど「景気回復」とはこのことか!なーんて思ったり。
ただ、投資とか難しそうだし、大金は持ってないし、いざ始めても大損ぶっこいたりしそうで、なんか怖いなぁ、と、結局そんなところで思考が停止してしまいました。
えっ?結局、そのときは投資は始めなかったんですか??(心の声:話が違うじゃん……)
ごめん、ごめん。もうちょっと我慢して聞いてください(笑)
ちょうど同じくらいの時期に、職場の上司から、保険屋の営業マンを紹介されました。で、将来結婚して、子どもができて家を買ったりしたら、どのくらいお金がかかるのかをレクチャーされたんですよ。頼んでもいないのに勝手にマネープラン表を作ってくれて、「このまま何もしないと生きていけないぞ!」と脅されたわけです(笑)
その流れで、終身保険の加入を勧められました。
その終身保険は……たしか毎月5万円弱を積立て始めれば、すぐに2000万円の死亡保障がつく、というようなものでした。そして、30年間の積立てが終わると、払い込んだ保険料の1.2倍くらいのお金を受け取ることもできる、と。
へえ、なんか悪くない話にも聞こえますが(心の声:俺も終身保険入っちゃおうかな)
私も一瞬、なんてオトクな金融商品なんだろう、と思いましたね。
ただ、同時に、なんで保険会社は受取額以上の支払いができるんだろう?という疑問も持ちました。受け取った保険料の中から、従業員に給料を支払い、広告費などの諸経費を負担し、加入者の万が一の保障までしたうえで、受け取った金額以上の保険金を支払い、さらに利益まで出すなんて、不可能じゃないのかと。
そこで、いろいろ調べてみると、保険会社は集めたお金を「運用」によって増やしていることが分かり、運用(投資)の重要性に気づいたんです。
仮に30年前に先進国の株式市場の平均株価指数(MSCIコクサイ・インデックス)に投資をしていたら、どうなっていたのかも調べてみました(そこで「インデックス」の存在を知るわけです)。そして、その投資元本は10倍くらいに増えていたという事実に驚愕しました。
で、自分でもお金の運用を始めてみようと思ったわけです。
始めるきっかけは、保険だったんですね!(心の声:意外!!)
マネープランを考えて始めたというよりは、お金を増やしたくて始めたんですか?
うーん、当時は具体的な将来のマネープランなんてなかったですね。
特に高い志とかもなく、とりあえずお金は増やしておきたいと思ったんです。不純な動機ですよね(笑)
まあ、続けていくうちに、脱サラを目指すのもアリかな、なーんてこともたまには考えるようになりましたが。
年金とかに不安があったんですか?
どちらかというと日本経済全体への不安ですね。藤巻健史さん(現参議院議員)が「日本は破綻する」、「1ドル200円になる」なんてことを盛んに言っているのを聞いてたりして、何かはじめなければ!というような焦りがあったかも。
たしかに世の中には、日本経済の成長に懸念を示すような本も多いですね、虫とりさんも、漠然とした将来への不安をお持ちだったんですね。
預貯金だけでいいのか、日本円だけで大丈夫なのか、というような不安もありました。
保険の紹介があってから、投資を始めるまでどのくらい期間があったんですか?
3ヶ月くらいかけて書籍やネットで勉強しまくって、まずは銀行に行きました。でもそこで買った商品は手数料の高い微妙な……というか、ボッタクリの金融商品だったんです。
今でこそ、インデックス投資のような低コストかつ実践しやすい投資についてのいろいろな情報が増えていますが、当時は、情報も今よりもずっと限定的で……。
勧められるままに金融商品を買っていてもダメで、知識が不足していたことを実感しました。投資を始めてからいろいろな気づきがありましたね。
勉強になります!
そうだったんですね。
なるほどですね。(心の声:プププ、虫とりさんですら金融機関にカモられてたんだ)