今回は、夏休みの合間を利用して、堅展実業の厚岸蒸溜所を見学した内容をお送りします。

厚岸蒸溜所は、北海道厚岸郡厚岸町にあります。
厚岸町は北海道の南東部、釧路市の東にあり、札幌からだと車、JRで5時間以上、北海道外からだと、たんちょう釧路空港から車、JRならびにバスで1時間半ほどの距離になります。
akkeshi_map1

akkeshi_map2















厚岸町には、厚岸湾の他に汽水湖の厚岸湖があり、元々カキが自生する場所で、古くよりアイヌの人々も食用にしていました。

開拓後には、カキ漁や缶詰にして輸出する産業が盛んになりましたが、乱獲によって激減してしまった事で、1930年より養殖へと転換されました。

現在も厚岸町のカキの養殖は最大の産業であり、札幌でも厚岸産のカキを売りにする居酒屋などを多く見かけるほどです。

厚岸蒸溜所が作られるきっかけを作ったのが、堅展実業の樋田恵一社長が、アードベッグ17年を飲んだときの衝撃でした。
それまではバーボンのロックを飲む程度だった中で、アードベッグの持つ強烈なピートにはまり、シングルモルトをいくつも飲み続ける内に、ウイスキーの販売で事業を興そうと決意をしたそうです。

当初は国内のクラフトウイスキーの販売を検討しますが、その当時は角ハイボールをきっかけに国内のウイスキー需要が高まって原酒が不足し、入手が難しかったため、自社で蒸溜所を建設してウイスキーを作ろうと発想を転換したそうです。

樋田社長が求めたのは、はまるきっかけとなったアードベッグ蒸溜所のあるアイラ島のような環境でした。
そうした土地を探す内に、厚岸町の冷涼で湿潤な気候とピートの層を通って流れる川の水、アイラ島でも名物となっているカキがあったことでした。

2014年に土地を購入、2016年に蒸溜所が完成し、翌年より本格的なウイスキーの製造が開始されました。
akkeshi_05

蒸溜所自体の立地は、海岸線より1kmほど離れた場所にありますが、6~8月にかけて海霧が発生しやすく、海水を伴った霧が蒸溜所にも訪れてくるため、蒸溜所付近の貯蔵庫に眠る樽にも潮風の影響を与えてくれます(なお、最新の第三貯蔵庫は、蒸溜所よりも更に海寄りの場所に建てられています)。

akkeshi_1現在、3月から7月まではノンピートモルト、8月から11月まではピーテッドモルトを使った原酒の製造を行っています。

将来的には、北海道産の大麦と地元に眠るピート、そして北海道産のミズナラを使った樽を使用してウイスキーを作りたいという構想もあるそうです。
さらには大麦も厚岸町の農家と協力して地元産に替えようという構想もあるようです。

次回は、実際に見学した様子をレポートします。