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P"r"aying Manager ~節子、それマネジメントちゃう。オカルトや~

はじめに

最近、社内外の多くのプロジェクトマネジメント実態を調べる機会に恵まれた。
その中で、面白いことに気がついた。

問題に直面して、原因を分析しなければ、対策も取ろうとしないマネージャ達。
彼らはマネジメントしていない。ただ祈ってるだけ。
つまり、P"r"aying Manager じゃね?と。

※Pray ・・・ 祈る

Praying Managerの生態

[ケース1] 進捗をPGが自力で回復してくれることを祈る

あるプロジェクトでは、3ヶ月の工期のうち、1ヶ月が経過したが、進捗が半月分しか出なかった。
つまりプロジェクトとしては破綻状態であるわけだ。

このことについてマネージャは、

プロジェクトの最初は立ち上がりが悪く、進捗が出ないものなんです。
対策はいずれメンバのスピードが上がってくればという感じですね。

と回答し、なにも手を打たなかった。
(最終的には会社が介入して正常化を図った。)

[ケース2] 要員のスキルが不十分だけど、なんとかやりきってくれることを祈る

あるプロジェクトでは、経験が必要な技術を用いる開発であるが、
組織内の要員の都合から、未経験者をメンバとすることになった。

そのことについて、リスクの通告と対策の検討を指示したところ、

できないできないって言ってたら、何もできなくなる。
なんとかするのがメンバの仕事。

といってプロジェクトを強行。
(結果、進捗と品質に深刻な障害を発生させた。)

[ケース3] 実現方法はわからないが、短期間でやってくれることを祈る

あるプロジェクトでは、これまで経験したことのないような開発が予定されていた。
マネージャはその技術的な実現方法がわからないが、"1人月"と設定していた。

なぜそれが1人月で実現可能なのかを問うと、

技術的なことはよくわからない。それはエンジニアの仕事。
お客様は1人月分のコスト負担しかしたくないと言っているから、
なんとか1人月でやってほしい。

と答えた。
(これは、組織内の最優秀なエンジニアがやりきった。)

彼らはなぜ祈るのか?

こういった祈りを、女神が聞き届けてくれることもある。
(つまりは何もしなくても運良くプロジェクトが回ったケースだが。)
しかしながら、非常に不確実なやり方である。

なぜ彼らが、原因の分析・対策という確実な手段ではなく、祈るのか?

以下、少なくとも2種類のタイプの人間を見たことがある。

[タイプ1] 祈る以外の方法を知らない。好きで祈ってるのではなく、祈ることしかできない。

若手マネージャ、新任マネージャに多い。
問題があることはわかっているが、じゃあどうして良いかがわからない。
わからないから、ただ状況を受け入れ、「うまくいけば」と祈るタイプ。

スケジュール遅延時に、
それが成果物に問題があるなら、成果物に変更を加える、
リソースに問題があるならリソースにてこ入れする、
そもそも計画が無謀だったのなら計画を引き直す

こういった、状況別の対策を知らない、
遅延時にデスマで解決した以外の成功体験がないが故に、
効果的な対策ではなく、祈ってしまう。

※むちゃくちゃな仕事量をこなさざるを得なかった、
※リソースの追加や成果物の変更などが許されなかった
※いわゆる氷河期世代の現40代前後のマネージャにもこのタイプが多いかも。

[タイプ2] 自分の仕事が、問題発見、問題解決であるとは思っていない。

マネージャの仕事とは上流であり、上流とは

  • 要件を決めること
  • 見積を書くこと
  • スケジュールを書くこと
  • メンバに仕事を分配すること

であって、下流の設計・製造・試験で起きた問題は、
役割分担としてメンバがやるべきだと思っているタイプ。

つまりマネージャを、
「プロジェクト目標を達成することに責任をもつ」者ではなく、
「上流担当者」と誤認しているケースである。

このタイプは、下流で発生するあらゆる問題とその解決にあまり興味がなく、
従って、「見てるだけ」「うまくいくことを祈ってる(社交辞令)」となってしまう。

Praying Managerを撲滅するために

プロジェクトは失敗すると、会社の利益も社員の精神もごっそり削っていく。
プロジェクトの成功に寄与しない、Praying Managerは、可及的速やかに Manager にジョブチェンしてもらう必要がある。

ではどうすれば、Praying Managerを撲滅できるか。

とりあえず私は、以下の通りに動こうと思っている。

  • 良くないマネージャの行動を、"Praying Manager"として定義して、
    ことある毎に、「おっ、Prayingお疲れ様ですw」とか煽りまくって周知し、
    問題を見える化する。
  • マネージャがやるべき事を明確化し、組織として共通認識にする(役割誤認への対策)
  • 問題の解決策をノウハウとして共有しつつ、実地で解決策を一緒に考える。
    つまりは教育する

これらの効果が出るのは、最低でも1年以上は掛かるだろうし、
苦労も多いだろうと思うけど、効果はもっと大きいはず。
是非取り組んでいきたい。

追記1

本投稿は、以前書いた ↓ の発展編というか、実装編というか、具体例になります。
失敗・炎上に名前をつけることで、僕たちはもっと強く、生産的になれる。 - Qiita

追記2

この言葉を思いついたとき、おれはなんて頭がいいんだ!と自画自賛してたけど、
すくなくとも、2009年にこの概念を提唱している人がいた。。。
http://d.hatena.ne.jp/segawabiki/20090827/1251377856

追記3

これ、あくまでプロジェクトにおけるマネージャの話で書きましたけど、
組織における部門長にも全く同じ事が言えるなと、書いてて思いました。
というか、プロジェクトよりもよっぽどPraying部門長のほうが、よっぽど人を不幸にできますね。。。