彼女の見た目は可愛かった。絶世の美女とは言わないが、学生時代には外見を活かして人前に立つバイトをしていた。
スタイルは良く、胸のサイズをきちんと測ってもらったらFカップで、サイズ探しに困ると言っていた。
背筋がピンと伸びた人で、茶道や華道を少し嗜んでいたためか、何気ない所作が綺麗だった。
綺麗な黒髪が似合っていて、休日のたびに色んな形に髪を結わえていた。
ころころとよく笑う明るい人で、気分の沈んだ時の僕を励ましてくれた。
彼女は料理が好きで、国内外の変わった調味料を買ってきては、美味しい料理を作ってくれた。
短時間でも段取り良く、作業を進め、メイン料理に加えて複数の小鉢を作ってくれた。
ありあわせの食材でも十分な料理を作れた。美味しいので、毎日食べたいほどだった。
僕の体調に異変があると気遣って、病院で検査を勧めたり、改善のための食べ物やサプリを買ってきた。
彼女は旅行が好きな人で、僕の知らない観光地をどこからか仕入れてきて、長期休みには連れ回してくれた。
スポーツをするのはあまり得意ではないが、スノボやダイビングに付いてきてくれて、一緒に楽しんだ。
子供が好きで、何度も子持ちの友達の家に遊びに行っていた。友達の子には驚くほど早く懐かれていた。
彼女はお硬い会社に勤めていて、安定した職のため夕方6時には帰宅していた。産休・育休もまず取れる職場だった。
僕がもし長期で外国に行くことになっても、その国の職場への配置換え願いを出せるらしかった。
金銭感覚は堅実で、外に飲みに行くことはほとんどなく、ブランド物を買い集めることもなかった。しばしば楽天から荷物が届いた。
彼女と日々、話をしていて楽しかった。話題には事欠くことがなく、ポケモンGOから北朝鮮情勢まで、なんでも話せた。
ロシアの文豪の長編を読んでいた時、理由を聞くと、作者と誕生日が一緒だから、で面白かった。
ヒステリーは一度もなく、怒ったときは冷静に話し合いができた。
人前では男の僕を立ててくれて、家ではしっかり者だった。
彼女の両親もお硬いところに勤めていたが、既に年金暮らしで、都会の家と田舎の田畑付きの家を行き来しながら元気に暮らしていた。
僕の両親からの彼女の印象はすこぶる良く、加えて親戚のおばさんからの評判まで良かった。
どちらの家もそこそこ蓄えがあり、継ぐべき家業もなく、兄弟もいるので、介護や相続の心配はしなくてよかった。
正確に言うと、僕が結婚を決断できなかった。彼女は待ってくれていた。
まるで家族とセックスするような気がして、気持ち悪かった。子供を作ることを考えると、なんだかいけないことをする気がした。
もちろん、僕と彼女は血の繋がりなど全くないのだけれど。
彼女とはもう丸2年ほど完全レスだった。頻度がぐっと減ったのは4-5年前だったろうか。
彼女はいろいろ工夫してくれた。僕も趣向を変えてみたりした。でも、そもそも勃たなかった。
僕の下半身は、オナニーや、プロのお姉さん相手ならば正常に機能した。彼女にだけ機能しなかった。
お医者さんで薬を処方してもらったがそれでも駄目で、友人の医者に人工授精の相談をしたりした。
セックス自体は好きなのに、セックス無しで残りの一生を過ごす生活は破綻する気がした。
周囲の人に相談すると、10人中9人はその子と結婚しておけ、と言った。
残り1人は、結婚は止めとけ、と言った。彼だけが離婚経験者だった。
失礼だとわかっているが、彼女にあえて点数を付けるならば百点満点だった。
僕にはもったいないほどきちんとした人だった。
学生時代の僕の精神は不安定なものだったが、彼女が側にいてくれたことで、初めて落ち着いたのだった。
あれから10年が経ち、僕らは30歳を過ぎた。いい加減、決断の時だった。
遅すぎる、腑抜け、無責任という批判を受けるのは承知している。
過去何ヶ月も、毎晩吐きそうになりながら悩んだ結果、タイムリミットが訪れた。
今でも仕事が手に付かなくなるほど過去を振り返ってみても、ろくな答えが浮かばない。
一体、どうすれば良かったのだろう?
どこで間違ったのだろう?
うんち
ただ彼女がかわいそう
カイリュー はかいこうせん ▼ 音程(999)速度(999)残響(800 0.25 750)t)鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛鸛
彼女の事は俺が引き受けたから、安心して成仏しろ
「今」付き合ってる若い彼女の責任をとりたいです、でいいんじゃない? 引き受ける気があるから、付き合ってるんでしょ。 もう「次の休みどこ行こう」ばかり考えてるよね?