静岡県沼津市の漁港・沼津港は新鮮な魚介類や干物などを売る店が立ち並び、観光客で賑わうエリア。その一角にある「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」は、深海生物をテーマにした日本初の水族館であり、「生きた化石」とも言われ、3億5000万年前からその姿を変えずに生きているというシーラカンスを冷凍状態で展示している世界唯一の水族館でもある。
と、いうことからも分かる通り、遠方からこの水族館を目指して沼津を訪れる方も多い。私の知人にもこの水族館の熱心なファンが何人かいる。そして彼らは口々に「行った方がいい! 展示がすごくいいから!」と激しく薦めてくるのである。
「深海生物ねえー。なるほどねー」と、ある時までの自分はそれほどその世界に興味を持っておらず、ぼーっとした返答で相手をガッカリさせてきた。しかし今回、実際に沼津に足を運び、展示内容をじっくり見て思った。「沼津港深海水族館、素晴らしい」と。
「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」がオープンしたのは2011年12月のこと。割と新しい建物であるせいか、外観も内観も非常にデザイン性が高く、オシャレな雰囲気である。
入館すると「比べてみよう 浅い海 深い海」というテーマで、水深の浅いところに生息しているものと深海に生息する生き物とを比較展示しているエリアが広がる。
一見すると似たような体の構造を持った生き物でも、異なる環境にあわせて発達した部分があったり、体の色が違っていたり、その差をじっくり見比べられるのが面白い。館内は照明が抑えられ、深い青に包まれた空間になっており、深海に漂っているかのようで気分が高まってくる。
そもそもこの沼津の地に「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」がオープンしたのには大きな理由がある。沼津港の目の前に広がる駿河湾が、深海生物の採集に非常に適しているのだ。駿河湾は最深部が水深2,500メートルとなっていて日本一の深さを誇っているうえに、湾岸から急激に深くなっているため、深海までのアクセスも便利。深海の生物を展示するためには捕獲からの輸送を短時間に行う必要があるため、こうした地の利が重要なのである。
ちなみに館内に展示されている生物の多くは駿河湾の底引き網漁で捕獲されており、水族館スタッフが実際に船に乗って持ち帰ってきているものなんだとか。
館内には駿河湾に生息する深海生物たちを集めた「駿河湾大水槽」があり、世界最大の甲殻類である「タカアシガニ」の迫力の姿も見ることができる。
写真提供:沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
その他にも、「オウムガイ」や「ダイオウグソクムシ」など、なんでこんな形に進化したんだ? と不思議な気持ちにしてくれる生物が目白押し。
写真提供:沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
写真提供:沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
また2階には、3億5000万年前の姿をとどめ“生きた化石”と呼ばれるシーラカンスの冷凍個体が展示されていて、これがまたすごい迫力。冷凍状態で展示されている個体は世界的でもここだけなのだという。
写真提供:沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
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