NASAの研究者たちは、太陽風が届く範囲(太陽圏、ヘリオスフィア)の最も外側にあるとされる"水素の壁"を、太陽系外縁天体探査機ニューホライズンズが観測したと発表しました。この"水素の壁"は約30年前にボイジャー1号が観測したのと同じものと考えられます。
太陽が放出する太陽風は、冥王星よりもさらに遠くへと吹き及びます。しかしその太陽風にもそれ以上進めなくなる範囲があり、そこでは太陽系の外側から飛んでくる星間風との境界ができます。
太陽圏の端の「水素壁」か。太陽系外縁探査機ニューホライズンズが不自然な紫外線の拡散を観測
ボイジャーも見ていた
研究者らは、ニューホライズンズの紫外線観測において、通常では見られない紫外線の"煌めき"を観測したとのこと。これはボイジャー1号も観測したもので、潜在的に凝集された水素による壁が、惑星間空間からやってきた紫外線を拡散している現象と考えられています。
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とはいえ、ニューホライズンズが搭載する紫外線センサー"Alice"は太陽系外へと飛び出した2つの探査機が備えるものに比べればはるかに高精度なものです。そして、3機すべてが同じような現象を観測したことは、それが水素壁である可能性を高めています。
研究者のひとりランディ・グラッドストーン氏は、今後年に2回ずつ同様の調査を行うとしており、しばらくすれば、ニューホライズンズの観測から"水素壁"を画像化できるかもしれないと語りました。
ニューホライズンズはボイジャーに比べて非常に高速で太陽系外へと向かっており、現在は2019年1月1日に、エッジワース・カイパーベルトの小天体 2014 MU69に到着すべく準備を開始するところです。しかし、ボイジャー1号のように惑星間空間まで到達するには、まだ30年以上の時間がかかります。