中国、ウイグル人100万人拘束を否定 国連人種差別撤廃委

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ジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会の会合で、中国政府が少数民族のウイグル人ら100万人を新疆ウイグル自治区で拘束しているとの批判に対し、中国側は13日、「全くの嘘だ」と回答した。

中国高官は、ウイグル人は十分な権利を享受していると述べた一方、「宗教的過激派に染まった人物は(中略)移住と再教育の補助を得る」と話した。

この発言は、10日の会合で示された、同自治区が「大規模な収容キャンプのようになっている」との懸念を受けたもので、中国側からの言及はまれ。

新疆では数年にわたって断続的に暴動が起きており、政府も取り締まりを行っている。

中国政府は、イスラム系武装組織や独立支持派が問題を企てていると非難している。

中国の主張は?

中国は2日間ある人種差別撤廃委員会の会合に50人強の代表団を送り込んだ。

10日の会合では米国のゲイ・マクドゥーガル委員が、中国政府が「ウイグル自治区を大規模な収容キャンプのようなものにしている」との報告を受けて懸念を表明した。

これに対し中国共産党中央統一戦線工作部のフー・リャンヘ副部長は「ウイグル人を含む新疆の市民は平等な自由と権利を享受している」と答えた。

同氏は移住や再教育プログラムの存在を認めた上で、「ウイグル人100万人を再教育センターに拘束しているという議論は全くの嘘だ」と付け加えた。

BBCの特派員によると、中国政府が新疆の状況への解決手段について公の場で説明するのはまれだという。

一方、中国国営の英字紙グローバル・タイムズは、新疆での厳しい治安対策は同自治区を「中国のシリア」や「中国のリビア」にしないためのものだと擁護した。

同紙は社説で「新疆の治安状況の改善は大きな悲劇を回避し数え切れない命を救った」と述べた。

しかし、マクドゥーガル委員はより明確な説明を求めた。

「100万人という人数が間違っているというなら、一体何人なのか? 教えてほしい。そして、どの法律によって収容されているのか?」

同委員は併せて、再教育を受けている人の人数についても質問を重ねた。

ウイグル人とは?

ウイグル人はイスラム教を信仰する少数民族で、ほとんどが中国の新疆に居住しており、同地域の人口の45%を占める。

新疆ウイグル自治区は、南に接するチベット自治区と同様、中国国内の正式な自治区に指定されている。

ここ数カ月、さらに多くのウイグル人やイスラム教徒が新疆で拘束を受けているとの報告があがっている。

アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチを含む人権団体が国連人種差別撤廃委員会に提出した報告書には、キャンプに集団で収監させられた人々が、中国の習近平国家主席への忠誠を強制的に誓わされているとの主張が掲載されていた。

世界ウイグル会議も、拘束された人たちは訴追なしで無期限で捕らえられ、無理やり中国共産党のスローガンを叫ばされていると報告した。食料は乏しく、拷問を受けたとの報告も広がっているという。

この報告書によると、収監された人々のほとんどは何の罪でも告訴されていず、弁護士を依頼することもできない。

中国側は、宗教的過激派に対抗するためと偽って拘束を行っているとされている。

1回目の会合のあった10日には、中国各地で宗教的対立の緊張が高まった。

北部の寧夏回族自治区では、モスクの破壊を阻止しようとした数百人のイスラム教徒が当局と衝突した。

当局は、最近建てられたこのモスクには正式な建設許可が下りていなかったとしている。しかし人権団体によると、政府が宗教活動を厳しく制限している中国では、当局のイスラム教徒への敵意が増しているという。

(英語記事 China Uighurs: Beijing denies detaining one million)