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【スポーツ】

[高校野球]根尾、バックスクリーンへ弾丸甲子園1号 投げては8イニング4失点

2018年8月14日 紙面から

沖学園-大阪桐蔭 7回裏大阪桐蔭無死、中越えに本塁打を放つ根尾。投手斉藤、捕手平川=甲子園球場で(黒田淳一撮影)

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◇大阪桐蔭10-4沖学園

 史上初となる2度目の春夏連覇に挑む大阪桐蔭(北大阪)が、沖学園(南福岡)に10-4で勝ち、3回戦に進出した。中日がドラフト1位候補に挙げる根尾昂遊撃手(3年)は「5番・投手」で出場し、7回にバックスクリーンに飛び込む甲子園初ホームランを放った。中日スカウト陣は、例年なら視察しない2戦目を異例の12人態勢でチェック。改めてほれ直した。

 竜の恋人が甲子園初アーチだ。4点リードの7回、先頭の根尾が、相手エース・斉藤の初球ストレートをバットの芯で捉えた。打球は低い弾道のまま、バックスクリーンに吸い込まれた。「しっかりスイングした結果。ホッとしました」。自身春夏4度目の甲子園。15試合目にして、待望の初本塁打が飛び出した。4万5000人の大観衆のなか、控えめに喜ぶ姿も、冷静沈着な根尾らしかった。

 電光石火の高校通算28号。ナインから「見てなかったわ」と冷やかされた。「えっ、という感じ」と苦笑いしたが、ベンチに帰った選手が、試合に目を戻す間もなく打った一発だった。2打席連続四球で迎えた6回の第3打席に、先頭で甲子園11戦連続安打となる中前打で出塁。4得点の呼び水となった。リードを広げ、投球も楽になった7回。バットで魅せた。

 「ストライクは1球目から打とうと思っていた。センバツも打っていないので、やっと1本出た」。先発登板した北大阪大会準々決勝・金光大阪戦は4打数無安打。「投球だけに集中してはダメ。投手の時は、いつも以上に打たないと」と反省していた。北大阪大会の課題を、甲子園をどよめかせる一打につなげた。

 初戦の作新学院戦は「5番・遊撃」で出場し、4打数2安打。守備でも中前に抜けそうな打球をつかみ、一回転してストライク送球する美技を披露した。打撃、守備で魅せ、満を持して上がった夏初マウンド。制球が定まらず、初の1試合2本塁打を浴びたが、8イニング8安打4失点でまとめた。

 「投げ急いで、フォームが突っ込んでいた。本塁打は2本ともカウントを取りにいった球だった」。最後まで修正しきれなかったが、直球は自己最速タイの148キロを計測。6回に捕手・小泉のミットの紐が切れるほど、威力は十分だった。

 8回には同じドラフト1位候補の4番・藤原が、左越えの2点本塁打を放った。公式戦では昨秋の近畿大会・京都翔英戦以来のアベック弾。「(藤原は)狙い打っていた。負けられない」。勇んで向かった直後の打席は空振り三振。「打ち気にはやった」と頭をかいたが、ライバルの存在が原動力になっている。

 「もっと上を目指さないと。大会中にもっと成長したい」。史上初の2度目の春夏連覇が懸かる最後の夏。向上心の塊は底知れぬ能力をこれからも発揮する。 (麻生和男)

<根尾昂(ねお・あきら)> 2000(平成12)年4月19日生まれ、岐阜県飛騨市出身の18歳。177センチ、78キロ、右投げ左打ち。小学2年の時に古川西クラブで野球を始め、古川中では飛騨高山ボーイズに所属。3年時にボーイズリーグ選抜の「NOMO JAPAN」に選ばれた。スキーも得意で、2年時に全国中学校スキー大会の回転で優勝した。大阪桐蔭では1年夏からベンチ入り。主に遊撃手、投手としてプレーする。甲子園は2年春から4季連続出場。春は2年連続で“胴上げ投手”になった。

 

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