出典:https://eiga.com/movie/38504/gallery/
明日は「終戦の日」です。
いまから遡ること73年前。
日本が連合軍に対して無条件降伏をした、ちょうど前日である1945年8月14日に、この日本でクーデター未遂事件があったことをご存知でしょうか?
宮城事件(きゅうじょうじけん)といい、無条件降伏を不服とする徹底抗戦派の一部将校たちによって蜂起、宮城(今でいう皇居)を占拠した事件。
放送局を占拠、閣僚をはじめ要人を逮捕して、降伏の撤回を求めたのです。
宮城事件とは
事件自体の概要については、ウィキペディアさんを参考にされてみて下さい。
宮城事件(きゅうじょう[注釈 1]じけん)は、1945年(昭和20年)8月14日の深夜から15日(日本時間)にかけて、宮城(1948年7月1日以前の皇居の呼称)で一部の陸軍省勤務の将校と近衛師団参謀が中心となって起こしたクーデター未遂事件である。
日本の降伏を阻止しようと企図した将校達は近衛第一師団長森赳中将を殺害、師団長命令を偽造し近衛歩兵第二連隊を用いて宮城(皇居)を占拠した。しかし陸軍首脳部・東部軍管区の説得に失敗した彼らは日本降伏阻止を断念し、一部は自殺もしくは逮捕された。これにより日本の降伏表明は当初の予定通り行われた。
近衛師団とは、簡単に言うと天皇と皇居(宮城)を直接警護する任務を負う、当時陸軍の最精鋭部隊。
本来、警護する側である部隊の一部将校がクーデターを企て、師団長を殺害して「偽造した師団長命令書」によって、配下にある連隊を動かし皇居を占拠してしまったのです。
内閣閣僚を逮捕軟禁し、放送局を占拠。
徹底抗戦に同調するよう、日本軍全体に対して呼びかけたのです。
しかし。
結局、陸軍首脳部の説得に失敗。
決起は、鎮圧されてしまい、無事、無条件降伏が翌15日に成立した訳です。
もし、決起が成功していたら…。
日本は、もっと酷い形で終戦の日を迎えることとなったかも知れません。
『日本のいちばん長い日』の書籍化
一連の事件の経過がノンフィクション作品として、実は書籍化されています。
『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』(にほんのいちばんながいひ うんめいのはちがつじゅうごにち)は、半藤一利による日本のノンフィクション書籍。1965年(昭和40年)の初版刊行時は文藝春秋新社から大宅壮一編のクレジットで発売され、1995年(平成7年)6月に文藝春秋から半藤名義で『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日 決定版』として再版された。
昭和天皇や鈴木貫太郎内閣の閣僚たちが御前会議において日本の降伏を決定した1945年(昭和20年)8月14日の正午から宮城事件、そして国民に対してラジオ(日本放送協会)の玉音放送を通じてポツダム宣言の受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を描いている。
2度にわたり日本で映画化され、製作・配給東宝、岡本喜八監督による1967年版、製作・配給松竹、原田眞人監督による2015年版がある。
おっと、2015年に二回目の映画化がなされていたなんて知りませんでした。
そうなんです。
映画化されているので、そちらの方が事件の経緯を簡潔に知ることができるのですよ。
映画『日本のいちばん長い日』
実は数年前に、岡本喜八監督による1967年版の作品の方を観たんですよね。
まったく知らなかった事実なので、正直、衝撃を覚えました。
この日本にあって、かつてクーデター未遂事件が起きていたなんて…。
そして、2015年に原田眞人監督によってリメイクされていたとは。
この記事書いてて本当に良かったです。
じゃなきゃ、おそらくリメイク版の映画の存在を知ることもなかったでしょう。
最後に
クーデターなんて、二流国家の軍隊が起こすイメージしかなかったんですよね。
先進国では、軍が政治に介入出来ないよう、厳重にコントロールされているのが当たり前だから。
もちろん日本でも、文民統制(シビリアン・コントロール)によって、自衛隊は厳重に政府の統制下に置かれています…
、と言いたいところなのですが、残念ながら「そうでもないこと」が先般の「自衛隊日報問題」で露呈してしまいましたね。
実は、一連の日報問題は、民主主義の根幹を脅かしかねない、とても重大な問題だった訳なのです。
ひょっとしたら、現自衛隊が旧帝国陸軍の体質を引き継いでいるのかも知れないことを示唆しているのですよ。
いっぽう、この事件がもし政治主導で、トップダウン方式で自衛隊幕僚が従う形で行われたのだとしたら、現政権は「事の重大さ」をまったく理解していないことにもなります。
どちらにせよ「自衛隊日報問題」とは、日本という民主主義国家の根底を揺るがしかねない大きな事件だったのですよ。
かつて、中国大陸で政府や陸軍省の許可もなく日中戦争の端緒を開いてしまった、かつての関東軍のような暴走を繰り返してはならないのです。
そんなことにまで想いを馳せながら、2015年版の『日本のいちばん長い日』を観てみようかと考えています。
また若い方々が、今の日本の平和が、多くの犠牲のもと成立していることを知っていただくきっかけになれればとも思います。
2018.8.14