たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

トルコリラを始めとする高金利通貨は儲かるのか

トルコリラが熱い

 長いこと「高金利通貨」として大人気のトルコリラです。昨今では対円、対ドルでも躍動感を示しており、キャピタル狙いの投資家にも注目を浴びていますね。そこで、あえてこの話題のトルコリラを今回は取り上げてみたいと思います。

トルコリラとスワップポイント

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 まず、この高金利通貨ですが、今最も熱いトルコリラを始めとして以下のようなものが有名です。【】の中は政策金利です。

  1. トルコ・リラ【17.75%】
  2. メキシコ・ペソ【7.75%】
  3. ブラジル・レアル【6.5%】
  4. 南アフリカ・ランド【6.5%】

 いずれも、今に始まった高金利ではなく、数十年来に渡って高金利を続けています。この高金利を享受することでインカムを得ようとするのが、スワップポイント目当ての投資ということになります。

 

 ただ、ここに大きな陥穽があります。基本的にこのスワップポイントというのは、内外の金利差を埋めるものです。しかし、FXに馴染みのない人にとっては配当や利息のようなものに感じられることでしょう。

 

 スワップポイントは低金利の日本円のような通貨を売り、高金利通貨を買うことで得られます。

 

 トルコリラの場合は17%を超えるような政策金利ですから、日本円との金利差が非常に大きいですね。そのため、業者にもよりますが1万通貨単位で100円以上のスワップポイントが毎日付くというような状況でした。

 

 2018年8月時点のリラ円相場を当てはめてみると、こういう計算になります。スワップポイントは100円とします。

 

トルコリラ15円×1万通貨=15万円

 

 つまり、15万円で毎日100円を得られるというわけです。仮に100倍の1500万円あれば、単純に毎日1万円スワップポイントが得られるわけです。月に30万円の利益です。このため、スワップポイント狙いの投資家にとっては大変に魅力な通貨になっていました。

 

 さらに、FXは大きくレバレッジをかけることができます。つまり、信用取引です。国内FX業者の場合は25倍までかけることができます。かつてはもっと大きくできましたが、規制が入りましたね。

 

 例えば、5倍のレバレッジをかけたとすると・・・

 

1500万円÷5=300万円

 

 諸経費含まずですが単純に300万円で毎日1万円、月々30万円を得ることができるわけです。おやおや、これはまさに濡れ手で粟ですね。

高金利通貨のスワップポイントは配当とは違う

 そんなに儲かるならば、自分でやればいいじゃないか。という声が聞こえてきそうですが、コトはそんなに単純ではないですね。まず、高金利通貨は高金利にせざるを得ない内情を抱えています。

 

 それは、債務であったり、外貨準備高の絶対的な不足であったり、地政学的な理由であったり、様々です。要はその国の信用が低く、中央銀行の信認が甘いということです。

 

 そういった事情を内包する高金利通貨は、当然の結果として押しなべてインフレが進んでいます。高金利にしているのはインフレヘッジの側面が強いのですね。つまり、高金利通貨を持っていると自然と、しかもかなりのスピードで減価してしまうのです。ですから、政策金利を上げることで価値の減衰を担保しているとも言えます。

 

 同じインカム目当てでも、スワップポイントは株式における配当とは趣が異なるというわけです。株式の場合はホルダーに対する利益の配分が配当ですが、そういうことではないということですね。

 

 ですから、株式の配当金で生活をするような感覚で、スワップポイントで生活をしていくということは非常なリスクが伴います。過去に多くのスワップ狙いの投資家が、通貨レートの崩壊によって損害を被ったのは覚えておいて良いでしょう。

スワップポイントと株式の配当は性質が全く異なる

  つまり、高金利通貨でのインカム狙い投資は非常にリスキーだということです。殆ど無理だと言ってよいでしょう。それは、下記に示すトルコリラと円の長期チャートをみても明らかです。

トルコリラでのキャピタルゲイン狙い

 それでは、高金利通貨でのキャピタルゲイン狙いはどうでしょうか。トルコリラの10年チャートが下記です。 

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※楽天証券

 みて分かるように、トルコリラの暴落は今に始まったことではなく、ジリジリと下げ続けていることが分かります。高金利通貨というのはその国のファンダメンタルズが劇的に変わらない限りにおいて、このようなチャートを描くのが一般的です。

 

 つまり、インフレにより通貨の価値が下がり続けるということです。過去と比べて安いから、という理由でレバレッジをかけてロング(買い持ち)すると、長期では殆ど損をするということです。多分に政治的な要素を含むので、これが解決できれば短期では妙味があるように見えますが、賭けですね。

 

 では、これだけ分かりやすいチャートであれば、ショート(売り)をすればよいじゃないか、ということですね。ただし、高金利通貨は通貨そのものが不安定であることが多く、思いかけない値動きや高騰がつきものです。そういったリスクを受け入れ、乗り越える胆力と経験が必要となりますね。

 

 いずれにせよ、FXはインデックス投資などに比べるとはるかに難易度の高いものです。それでも、人気が絶えることが無いのは以下の理由です。

  • いつでもできる
  • どこでもできる
  • すぐにできる

  こういう条件が揃っています。パチンコもそうですが、いつでもどこでもすぐにできる、すぐに結果が出る投資というのは中毒になりやすいです。また、うまい人はうまい。そのため、成功体験がクローズアップされるというのもありますね。

 

 自分に合った投資をみつけ、上手に付き合っていくことが大事ですね。

 

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