猛烈な暑さが続き、熱中症とみられる症状での死者が相次いでいる。愛知県豊田市では、校外活動から戻った小学一年生の男子児童が死亡した。命の危険と隣り合わせの猛暑だと肝に銘じたい。
男児は、生活科の授業の一環として午前十時ごろから行われた校外活動に参加。一キロほど離れた公園まで歩き、虫捕りなどをして三十分ほど遊んだ。徒歩で学校に戻った後、意識を失った。公園に向かうときから「疲れた」と体調不良を訴えていたという。
当日は県内全域に高温注意情報が出され、豊田市は午前九時の段階で三〇度を超えていた。猛暑も十分予想できる中で起きた悲劇である。学校側にとっても、悔やんでも悔やみきれぬ事故だろう。
日本スポーツ振興センターによると、学校の管理下で熱中症により児童生徒が死亡した例は一九七五~二〇一五年に百六十七件が報告されている。多くは中学校、高校での部活動など体育活動中に起きている。
小学生の死亡例は五件で割合としては少なく見えるが、まだ体が小さい児童には、中高生とは違った観点からの注意が必要だ。子どもは水分をためておく筋肉の量が少ないため体温調節が難しく、背が低いため地面の照り返しによる熱の影響も受けやすい。つまり、大人が感じる以上に体感温度が上がっているのである。
子どもだけではなく、特に高齢者も熱中症への警戒が必要だ。
注意すべきは気温の高さだけではない。それほど気温が高くなくても湿度が高ければ熱中症発生の危険性は高まる。
発汗量や皮膚血流量の増加など暑さに対する体の適応は気候の変化から遅れて起こることにも留意したい。熱中症は体が暑さに慣れる前、まさに梅雨明け間もないこの時期に多発する傾向にある。
熱中症の予防には、環境省がホームページで公表している「暑さ指数」(WBGT)が役に立つ。
暑さ指数は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、気温、湿度のほか日差しや地面からの照り返しなども考慮し、全国八百四十地点で算定している。「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の四段階に分かれ、「危険」「厳重警戒」の場合は、運動などをしていなくても熱中症になる危険性がある。
熱中症は生命にかかわる病気だが、予防法を知っていれば防ぐことができる。脱水と体温上昇を抑える対策を徹底したい。
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