トルコの通貨リラの急落がきっかけとなった「トルコショック」が世界のマーケットを揺さぶっています。そもそもリラはなぜ売られているのでしょうか。
(1)利上げに否定的
通貨の価値が下がると、物価が上昇します。その場合、各国の中央銀行は政策金利を引き上げることで、通貨の価値と物価を安定させようとします。ところがトルコの場合、エルドアン大統領が利上げは景気を冷やすと嫌っています。そのため、リラは売りが売りを呼ぶ展開になりがちです。
(2)大統領に強大な権力
各国の中央銀行は政権から独立し、政治家が嫌いがちな政策金利の引き上げの是非などを判断すべきだとされます。ところが、トルコの場合、エルドアン氏が強大な権力を持ち、トルコ中央銀行の政策決定も左右しています。
(3)米国と対立
トルコでは2016年にクーデター未遂事件が起きました。トルコが事件に関係したとする米国人牧師を拘束している問題などで、両国は厳しく対立しています。米国のトランプ大統領は制裁としてトルコ閣僚の資産凍結を決めたほか、トルコから輸入する鉄鋼などの関税を引き上げることも表明しました。米国との対立はトルコ経済に悪影響を与え、リラがさらに売られる原因となります。