65歳以下でも年金満額をもらうための「知られざる奥の手」

天下り役人はやっているテク

「働き方」を変えれば、年金は62歳でも請求できる

23歳の春から39年間、会社勤めをして働いてきた。新卒で入社した出版社に20年、その退職日の翌日に転職した出版社で19年。50代からは主に書籍の編集に携わってきたが、気がつくとすでに62歳。秋には63歳となる。

その間、会社の定年退職年齢は60歳から65歳に変更されていた。だが、思うところがあり、今年の2月いっぱいで会社を退職した。ひとことで言えば、「年金をもらいながら働く」道を選びたかったからだ。

 

年金は65歳にならないともらえないのでは――? と思われる方も多いだろう。収入がある程度あるうちは年金をもらえないのでは――? と感じている方もいるだろう。だが、会社員が加入している厚生年金保険に関しては、働き方を変えることで年金は62歳でも得られる。

「働き方を変える」とは、会社をやめることだ。具体的には、会社員という立場をやめさえすれば、厚生年金の受給権がある者は、たとえ1億円の年間収入があろうと年金を請求できる。皆さんはこのことを御存じだろうか。抜け道でも裏技でもなんでもなく、国がそう定めていたのである。

毎月14万円の年金をカットされず、働きながら得たい

2017年秋の62歳の誕生日に、僕は年金の受給資格を得た。誕生日の3か月ほど前に、日本年金機構からA4大の封筒が届いた。その案内は「年金の請求手続きのご案内」であり、「62歳になると『特別支給の老齢厚生年金』を受け取る権利が発生します」とあった。

特別支給の老齢厚生年金とは、年金のいわゆる二階建て部分。会社員として厚生年金に加入してきた人や、公務員や教員として共済組合に加入してきた人だけが受け取れることのできる、いわば勤め人の特権だ。気持ち的にはまだまだ現役のつもりでいたが、国は僕を「老齢者」として扱ってくれている。まだまだ新参者だが、ここは素直に感謝したい。

さっそく年金機構のホームページで僕の年金記録を確認してみた。それによれば、僕が62歳から受け取ることができる年金額の年額は、170万円ほど。月にすると14万円強となる。しかし、会社にこのまま勤務しているとこの年金はもらえない。65歳となるまでは、ボーナスを含めた毎月の平均給与と年金額の合計が28万円を超える場合は、特別支給の老齢厚生年金は支払われないのである。

国から老齢者として認められながらも、残念ながら僕には28万円を超える給与があった。当然、このままでは1円の年金ももらえない。しかし、僕はこの14万円がとてもいとおしく感じた。

僕の年金記録によれば、厚生年金保険の加入期間は433か月間。働いてきた39年間のうち、正確には社員でなく業務委託者として働いていた時期が3年ほどあり、その間は厚生年金保険に加入していなかった。それでも通算36年間、厚生年金保険料を支払い続けた結果、得られた権利でもある。このまま消滅させてしまうのはなんとももったいない。

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