米首都で白人極右集会、反対勢力の方が多く シャーロッツビル1年
米首都ワシントンで12日、白人ナショナリストや極右活動家が集まりホワイトハウスの近くで集会を開いたが、それに抗議する対抗(カウンター)勢力の方が遥かに多く集まった。
白人至上主義者の集会に抗議する女性が死亡したバージニア州シャーロッツビルの衝突から1年を刻んだ12日、ワシントンには約20人の極右支持者が「右派を団結 2」集会に集まった。事前には約400人の参加が見込まれていたが、実際には予想より遥かに少なかった。
近くでは、極右集会に抗議する数百人が集まり、白人至上主義や人種差別を声高に非難した。
両グループの間には多数の警官が配置され、衝突を防いだ。当局は集会周辺での一切の武器所持を禁止した。
極右グループは警官たちに付き添われながら、ホワイトハウス前のラファイエット広場まで移動。その間、沿道に並ぶカウンター勢力が「恥を知れ」、「私の町から出て行け」などと繰り返した。
強い雨が降るなかで集会は約2時間にわたり、極右参加者たちは警察車両2台に乗せられてホワイトハウス前を離れた。
一方で、ホワイトハウスから連邦議事堂をつなぐペンシルベニア大通り一角にあるフリーダム・プラザに、多数のカウンター勢力が集まっていた。
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昨年8月12日のシャーロッツビルでは、数十年来の米国で最大規模の白人ナショナリスト集会が開かれた。19世紀の南北戦争で奴隷制維持のために戦った南部連合の将軍の像撤去計画がきっかけで、撤去への抗議を名目に「右派を団結」集会が開かれた。
数百人集まった白人国家主義者の中には、ネオナチや白人至上主義団体クークラックスクラン(KKK)も含まれた。これに抗議する人たちも大勢集まり、双方が衝突。ネオナチの白人男性がカウンター勢力の中に自動車で突入し、32歳のヘザー・ハイヤーさんが死亡、多数が負傷した。双方の衝突でほかにも数十人がけがをした。
<現場から> 「人種差別メッセージはかき消された」――ラジニ・バイディヤナザン、BBCニュース(ワシントン)
2度目の「右派を団結」集会のために少数の白人至上主義者が集まると、雨が降り始めた。
ホワイトハウス前の歩道はずぶぬれになり、昨年のシャーロッツビル集会の第2弾となるはずだった集会も、ぱっとしない状態で終わった。
主催者は参加者400人を見越して当局に届け出て集会許可を得ていたが、最終的には20人ほどしか集められなかった。カウンター抗議の方が大人数で、様々な手製のプラカードを掲げる地元住民のほか、「ブラック・ライブス・マター(黒人の命も大切)」活動家や、黒ずくめのアンティファ(反ファシスト)左翼活動家たちも集まった。
集会は衝突のないまま平和に終わり、昨年の暴力沙汰を覚えている大勢は一様にホッとした。
ワシントンの警察は、「右派を団結」参加者とカウンター参加者を近づけないように懸命に配慮していた。
人種差別のメッセージは色々な意味で、本当にかき消された――紛れもなくそう思える、今日の様子だった。
(英語記事 Unite the Right: White nationalists outnumbered at Washington rally)