世界中で猛暑が続く今年の夏。日本では、2020年の東京五輪で、選手がより涼しい時間帯に競技できるよう、政府内でサマータイム導入が検討されている。しかし既に夏時間・冬時間切り替えを導入している欧州では、欧州委員会が夏時間・冬時間の切り替えの是非について一般市民からの意見を募集し、時間の切り替えを廃止するかどうかについて検討する予定だ。
意見募集は7月4日よりオンラインで行われており、現在の夏時間・冬時間切り替えで問題はあるかどうか、夏時間・冬時間の切り替えを維持すべきか、EU加盟国すべてで廃止するべきか、などの質問に回答する。
現在の夏時間スケジュールを維持すべきかどうかについて、ヨーロッパでは以前から議論の対象となることが多かった。2015年にはフランス環境省がエネルギー消費量にどの程度影響があるのか調査したい考えを示した。...
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意見募集は7月4日よりオンラインで行われており、現在の夏時間・冬時間切り替えで問題はあるかどうか、夏時間・冬時間の切り替えを維持すべきか、EU加盟国すべてで廃止するべきか、などの質問に回答する。
現在の夏時間スケジュールを維持すべきかどうかについて、ヨーロッパでは以前から議論の対象となることが多かった。2015年にはフランス環境省がエネルギー消費量にどの程度影響があるのか調査したい考えを示した。2016年には、ハンガリーが夏時間のままで行くことを希望したものの、実行には移せなかった。同年、EU加盟国ではないトルコが時間の切り替えを廃止し、夏時間に固定することを選択した。
欧州では1973年の第1次石油危機によって省エネの考え方が広まり、夏時間が導入された。時計を1時間ずらすことで朝が早くなり、企業や家庭は1時間分の太陽の光を有効活用できる。例えばフランスでは、夏時間への切り替えによって、440ギガワット分の電気消費量を節約することができている。これは、約88万人の市民が住む南仏の町マルセーユ、日本の世田谷区分の規模の電気消費量を1年で節約できているのと同じだ。しかし、この節約量は、フランス国内エネルギー消費量の0.07%しか占めておらず、切り替えを行うほど価値ある量ではないという意見がフランス国内でも多い。
そして、夏・冬時間切り替え反対派は、半年ごとにバイオリズムが崩れることによる長期的な健康への影響を無視できないと主張しており、更には、交通安全への影響も問題視している。冬時間に切り替える際、午後5時から午後7時までの間、事故が47%増加すると言う。
欧州市民は、8月16日までオンラインで意見を表明することができる。
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