あおみなの雑記

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集団で議論すると危険な3つの理由! 「リスキーシフト」現象について解説!

あなたは「みんなで話し合えば問題は解決する」と思い込んでいませんか。

なぜテロは起きるのか? どうしてインターネット上の発言は過激になるのか?

集団で議論することで生じる危険性、リスキーシフトについて解説します。


リスキーシフトとは?

リスキーシフト (risky shift) とは、社会心理学の用語で、ストーナー (J.A.Stoner) が1961年に『A comparison of individual and group decision involving risk』(個人と集団の意思決定に伴うリスクの比較) という論文で報告した概念です。

一言で説明すると、「集団で話し合うと、危険な決定になりやすい」という現象です。

一般的には、「物事は一人で考えずにみんなで相談した方がいい」と考えられています。

自分一人では生まれなかった意見が出たり、客観的に物事を判断したりできる、と思われているからです。

しかし、集団で意思決定した場合、「比較的に安定した結果を得られるコース」より「リスクは伴うが得られる結果はもっと大きいコース」を選択する傾向にあるとこの論文では述べられています。

それでは、リスキーシフトはなぜ起きるのでしょうか。


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リスキーシフトが起きる理由

考えられる理由は3つ挙げられます。

リーダーは冒険的な傾向にあるから

多くの人は、集団をいい方向に導いてくれる人をリーダーにしたいと考えています。

「何か変化を起こしてくれそう」「自分では思いつかない意見を出してくれそう」という人がリーダーに選ばれやすいですよね。

そして、議論の場では、リーダーには「集団を引っ張らないといけない」という心理がはたらきます。

そのため、「今のままでいこう」という保守的な選択ではなく、「新しくチャレンジしよう」という冒険的な選択をしてしまう傾向になるのです。

責任が分散されるから

新しい物事を始める際、個人なら全責任を自分一人で背負わなければならないため、よく考えて慎重に行動するはずです。

しかし、集団の場合、原因がよほど明確でなければ、失敗しても誰が責任をとるべきか曖昧になることもあります。

つまり、一人ひとりが意識する自分の責任は小さくなるのです。

リーダーが冒険的な意見を出した時、主な決定権はそのリーダーにあります。

よって、ほかの人は、「自分がよほど大きなミスをしない限り責任は問われないだろう」と信じてしまうのです。

人数が多ければ多いほど、責任は分散されてしまい、成功した際の利益が大きそうな意見に流されてしまいます。

強い主張が通りやすいから

リーダーシップのある人は、過激な主張をする傾向になると言いました。

リスクの高い意見が出てきたとき、普段から冷静で穏やかな考えの人は、二人で話していれば反対するでしょう。

しかし、インパクトの強い意見が出てきて、周りに支持する人が多い状況であれば、どうでしょう。

議論の雰囲気が良さそうな方向であれば、たとえ反対したいと思っていても言い出しにくくなります。

自分の中に明確な意見がない人も、「責任を負わなくて良いのなら……」と、リーダーの意見に流されてしまいそうですね。

特に、リーダーが権力のある人であれば、なおさら反対しにくくなるでしょう。


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リスキーシフトが起こりやすい場面

それでは、リスキーシフトが起こりやすいのは、どのような場面でしょうか。

リーダーの権力が強い場合

たとえばワンマン社長など、リーダーの権力が強い場合、従業員は反対できずにリスキーシフトは起こりやすくなります。

お金が絡む問題になると、より利益を出すことのみを考えてしまい、危険な選択に陥りやすくなってしまいます。

インターネットでの議論

インターネットは、自分と同じ意見の人を見つけやすい環境です。

そして、目の前に人はいないので、相手に遠慮する気持ちは薄れてしまいます。

社会全体でみれば少数派の意見も、twitterや匿名掲示板といった場では、過激な方法に走りやすくなります。

たとえば、差別問題にしても、同じ立場の意見であれば、たとえ極論でも勢いでリツイートなどの拡散行為をする人は多いです。

炎上している人がいれば、「誰よりも厳しい意見を言ってやろう」「もっと燃やしてやろう」と、過激な発言を平気でしてしまう人もいます。

世界中で起きているテロ行為なども、宗教的・政治的な考えから生じた、極端なリスキーシフトと考えられるかもしれません。

おわりに

当然、集団で議論することは決して悪いことばかりではありません。

基本的には複数人で話し合うほうが、多くの意見は出ますし、色々な考え方があるので、良い結果になりやすいです。

しかし、急な選択を迫られる状況や、危機的状況から抜け出したい場合には、このリスキーシフトは起こりやすくなります。

「とにかく集団で議論すれば公平に決定できる」という思い込みを捨て、個人がそれぞれ考える必要があるでしょう。

どんな状況でも冷静に判断し、必要に応じて自分の意見を積極的に出すことが、いちばんの理想ですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

以上、集団で議論すると危険な3つの理由、「リスキーシフト」現象とインターネットの過激さについて解説 でした。

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