リラを見捨てたトルコ国民-愛国心にも限界、外貨売りに応じず
Firat Kozok-
大統領が最初に呼び掛けて以降、リラの価値はほぼ半分に減った
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娘婿アルバイラク氏の財務相起用が「危険な状態招いた」との見方も
エルドアン大統領が政権を握るトルコにおいてさえ、愛国心には限界があるようだ。
イスタンブールのグランバザールで外貨の両替を行う利用客
写真家:Ismail Ferdous / Bloomberg
市場の暴落に直面するトルコの政策担当者が取り得るさまざまな選択肢についてエコノミストは臆測を巡らせているが、トルコ国民はあたかもボクシングで選手にタオルを投げるセコンドのように自国通貨リラの敗北を認めつつある。
エルドアン大統領は、リラ相場の支援のため、まとまった額の外貨をリラと交換するよう繰り返し市民らに求めたが、その声は無視されている。そのような懇願に聞き従った人々は必ず財産を失うというのが過去の教訓だ。イスタンブールの商業資本の中心で、大統領への信認と支持が損なわれる兆しが表れている。
退職生活を送るセビン・テムールさん(58)は「大統領を尊敬してはいるが、彼が呼び掛けたからといって私は保有する金や外貨を売ることはできない。食べたい物も切り詰めて蓄えたのだから」と語った。エルドアン大統領が2016年12月に最初の呼び掛けを行って以降、リラのパフォーマンスは世界の通貨で最悪となっており、対ドルおよびユーロで価値がほぼ半分に減った。
「ドルを買わなかったことを後悔している。自分がばかのように思える」と話す店主のブレント・ウジュランさん(36)は、エルドアン大統領が娘婿のアルバイラク氏を財務相に起用した政権の人事に言及し、「経験が豊富な人材が数多くいたにもかかわらず、経済全体の運営を娘婿に任せたことが危険な状態を招いた」と嘆いた。
原題:Losing Faith Fast, Istanbul Merchants Throw in Towel on the Lira(抜粋)
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