最近の日経平均の動き ―― 《カナル24》は語る (最近日の1日分の記事)

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■■  条件表の使い方・設定のしかた の連載に当たって  ■■

《Qエンジン24》Ver.6の仕事がひと区切りついたので、《Qエンジン》で条件表を設定する過程でわかったことを述べていきます。今回のバージョンアップは《Qエンジン》の最後のバージョンアップです。すでに《カナル24》などのソフトのバージョンアップはもうしないと決めているので、今後大規模なプログラムを組むことはありませんが、最後の最後に条件表はこうやって作ればよいのだということが解ったのは、天啓というか僥倖であったとしか思えない。

わかったことを箇条書きにすれば、
  1. 条件表の勝率を高めようとする努力は無駄である。高い勝率は利益を上げることには繋がらない。
  2. 重要なものは「平均利益率」である。平均利益率を高めるための努力をするのが正しい。
  3. 平均利益率を高めるには、ある程度の利益(例えば20日間で+20%の利益)が出るような条件表を目標にすべきである。
  4. 平均利益率を高くするには(2日間で2%の利益)だとか(5日間で3%の利益)だとか(10日で5%の利益)といった小幅な利益を目指してはならない。
  5. よい条件表を作るには、よいトリガーを見つけ、最適化することが重要である(しかしそれには時間がかかる)
  6. トリガーはそれぞれ違う目的をもったものを数多くそろえるのがよい。《Qエンジン24》では31本のトリガー を定め、そのトリガーにオートマが局面を絞るためのチャートを付け加えることで、31本のトレード用の条件表ができた。
  7. 未来に起きることは誰もわからない。AIでも知ることはできない。だから条件表がはずれる時期は必ずでてきます。だが31本のトリガーを選択し、組み合わせることによって、損失の拡大は防げます。いくつかの条件表をまとめることによって全体の成績が安定し、損失を小さく抑えることができる。そのキーはよいトリガーである。
といったことをVer.6にのために作った条件表を題材にして述べていきます。おそらく10回くらの連載になろうかと思います。


(2018.8.10) TOPIX 1720P (-20) 日経平均 22298円 (-300) 15.0億株 (2兆61624億円)


昨日の海外株は、

(1)中国上海 -1.27%
(2)英FT100  +0.75%
(3)独DAX  -0.12%
(4)NYダウ  -0.18%
(5)ナスダック  +0.06%

160億ドルのかんぜい引き上げの応酬はもはや材料にならず。世界の株価はう動きが乏しくなる。

ナスダックは8月8日に終値が7859Pの高値引けとなり、先の小波動のザラバ高値7933Pwの奪回までワンチャンスの位置まで戻っていました。

ところがこの3日間は連続して陽線を出しながらほとんど上昇せず。3日間で32P上昇したにすぎません。株価が強ければすぐにも小波動のピークを奪回して、新高値に出てもよいのに、かぶか上昇に躊躇するものがあるのでしょうか。たとえ新高値にでてもそこから大きく上昇することに自信が持てないのか。

上海総合は隔日で大きな予選を2本立てました。当面の底値は出たようですが、前回の大陽線の出方をみると、この後の上昇は大幅なものになりそうにない。

前回はa,b,cの3本の大きな陽線を出し、底値圏を抜け出たのですが、そこからの上昇は力強くはなかった。75日線が下降中であるので、75日線を上抜くことは無理だが、本当に株価の下降トレンドが終るのであれば、75日線近辺までまで戻ってもよかった。

やはり中国の過大な負債リスクという国内問題と、中国に不利な米中の貿易戦争という国際問題を抱えていては、75日線まで戻ることは無理です。


日経平均は7月24日に22949円が小波動のピークであることを表示しました。

このときは、株価が25日線・75日線・200日線の上位にあったので、75日線まで下げれば小波動のボトムになるだろうくらいの感触でしたが、そこから13日間株価は横這いとなり、上にも下にもいけない膠着状態に陥りました。

どこかでこの小幅な揉み合いを抜けることは確かでしたが、抜けるとすれば上方にであろうと思うのが素直です。膠着状態にあっても株価は相変わらず25日・75日・200日線の上位にあったからです。

ところが今日はユーロ安をきっかけに大幅安となり25日・75日200日線をまとめて下抜きました。しかし、それ底が抜けたと思うのは早計でしょう。 この下げの材料は何であったのかを考えると、①ユーロ安、②日米の貿易協議(FFR)が始まったが合意できないという予想、③ナスダックをりードしていたFANG(フェイスック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)に高値感がでていること、など材料としてはインパクトがありません。

今日の日経先物のd出来高は46000枚でした。最近の出来高の2倍です。これを見ると、週末を狙って短期筋が先物を売ったのが原因と思われます。今日以降下げが続くかどうかの判断は株価が75日線を連続3日間割り込むかどうか。を確認してからでよいのではなかろうか。


【 1 】 《Qエンジン24》Ver.6 に付随しているトレード条件表の検証のしかた    ・・・1



2018年7月28日に《Qエンジン24》Ver.6をリリースしました。今回のバージョンアップの内容はこれまでとはうんと違っています。Ver.5までは《Qエンジン》を使って、ユーザーが自分の希望に沿うようなトレード条件表を設定できるようにすることを目的としていましたしたがってヘルプ゚の説明も多岐にわたる複雑なものになっていた。。

だが、今回はユーザーに、トレード条件表を一から設定してもらうことは諦めました。どうしたかというと
  1. トレードして利益がでるトレード条件表を提供する。日頃はこのトレード条件表を使って、買いがでれば買い。売りがでれば売ればよい。

  2. 明日のことがわからない相場を相手にしているのだから、負けることも多くあるが、半年くらいのトータルでは勝てるトレード条件表を提供したい。

  3. それでも時間が経過するごとに、提供したトレード条件表の成績は悪化していきます。手本にした時期の現象とは違った現象が間違いなく発生します。手本にないことが多発するようになると、提供した成績はしだいに低下していきます。

  4. このとき、ユーザーがその時期に当てはまるようなトレード条件表ができるようにしておく必要があります。だがユーザーが自分でトレード条件表を設定するには、多大な時間が必要となるし、頭がついていかないこともあるし、根気が続かないことがあるでしょう。

  5. 永遠に当たるトレード条件表はありません。熱意をもってトレード条件表を進化させていかねば、持続的に相場で勝つことはできません。しばらく(あと2~3年くらい)は、私がトレード条件表を設定して、定期的に提供する予定ですが、いつまでもできるものではありません。最終的にはユーザーの頑張りでレード条件表を作らねばなりません。
ということでVer.6は2つの目的を持っています。1つ目はすぐに使えるトレード条件表を提供することです。《Qエンジン》Ver.6には、完成しているトレード条件表が入っています。2つ目はトレード条件表をつくるためのパーツ(トリガー条件表や計算用条件表」)を揃ておくことです。これは(拡張4)に収めています。また今後有用なyトリガー条件表を多くそろえる予定です。

まず、すぐに使えるトレード条件表についていうと、
  1. 一般銘柄のトレード条件表としては、①(20日間で20%の利益)をあげることを目的とした31本の条件表。(拡張4)No.102~No.132まで

  2. ②(10日間で10%の利益をあげることを目的とした31本の条件表。(拡張4)No.142~No.172まで

  3. ③日経先物用として(5日間で2%の利益)をあげることを目的にした28本の条件表。(拡張4)No.182~No.209まで

    全部で90本のトレード条件表が入っています。

  4. だが90本のトレード条件表のすべてについて、毎日検索し、売買マークがでた銘柄をチェックすることはできません。そこで、①②③のrトリガー別のトレード条件表のなかでよい成績をあげている条件表をまとめました。「まとめ①」「まとめ②」と名づけています。1本の「まとめ①」または「まとめ②」で毎日検索すれば、翌日仕掛ける銘柄がわかります。

    ①(20日間で20%の利益)をあげる条件表にはNo.101「まとめ①」とNo.100「まとめ②」が追加されています。同じく②(10日間で10%の利益)をあげる条件表にもNo.141「まとめ①」とNo.140「まとめ②」があり、③日経先物用の条件表にもNo.181「まとめ①」とNo.180「まとめ②」があります。
右図は(20日間で20%の利益)のトレード条件表の一覧です。図のNo.100は「まとめ②」、No.101は「まとめ①」です。No.102~No.132はトリガー別のトレード条件表です(トリガー+オートマで作った条件表であり、トリガーだけが設定されている条件表ではりません)。

追い追い提供した(20日間で20%の利益) のトレード条件表はどのような成績をあげているのかなどを紹介しますが、その前にトレードのしかたについて重要なことを2つほど述べておきます。

(1) 1日に1トレードしかしない

この場合のトレードとは仕掛けのことです。(1日に1銘柄しか仕掛けない)といっても同じことです。(1日1トレード)は、1日に1回だけ仕掛ける。同じ日に複数の銘柄が同時に売買マークをだしていたときは、株価が最も高い1銘柄をトレードする、という制限です。よく勝率が95%であると 自慢する者があるけれど、同じ日に100銘柄が買いマークを出していても100銘柄全部を買うことはできません。そのうちの1銘柄を買うのが現実的なトレードです。 売買マークが出たら全部を仕掛けるという仮定は「絵に描いた餅」です。例えば
  1. 1年間に売買マークが1000個でた。(全部仕掛けるとトレード数は1000回)

  2. ある日に大震災が発し発生し。200銘柄が一斉に買いマークを出して、全部が利益をだした。(勝数は200回)

  3. また別の日に経済政策が突然に変更され、100銘柄が一斉に買いマークを出して、全部が利益をだした。(勝数は100回)

  4. 1000回のトレードのうち、その他の日(トレード数は700回)に250回は損失がでた。700回のトレードの勝数は450回です。(=1000-100-200-250=450)

  5. このときの勝率は1000回のトレードで750回利益をだしているので75%です。
(1日1トレード)の制限がついているときの勝ち数は452回です。(震災)で1勝、(政策変更)で1勝、(その他の日)に450勝。全部で452勝です。トレード数は(震災)の1回、(政策変更)の1回、(その他の日)の700回、です。勝率は64.3%(=452÷702×100)です。「絵に描いた餅」は勝率75%であったが、現実のトレードの勝率は64%です。勝率は大きく水増しされています。
    ■(1日に1トレード)の制限をつけた成績を知るには、

    1) 検証が終ったら「損益経過」にいき、
    2) 「仕掛ける銘柄数の制限」で、(銘柄数は1銘柄まで)と指示します。
    3) これで①トレード数、②累計利益、③平均利益率、④勝率などの成績は(1日1トレード)をしたときの数字になります。

(2) (建玉を決済するまで次の仕掛けはしない)

例えば「25日順位相関が-80以下のとき買い」という条件表でトレードしたとき、1)初めて-80以下になったので買い、2)翌日も-80以下だったので買い、3)その次も-80以下であったので買い、・・・と、買いマークが連続する場合があります。このとき買いマークが出るたびにトレード(仕掛け)をしていては、何度買わねばならないのかの予想がつきません。買い過ぎて仕掛ける資金が無くなることがあります。こういう仕掛けはしてはならない。

仕掛は1)初めて順位相関が-80以下になった日だけにします。この例では後に出る買いマークほど勝つ確率は高くなりますが、何度続けてマークがでるのかは予想できないので、初回のマークによって仕掛けるだけです。その後、①20日間の時間切れになったり、②20%の利食いをして、建玉がなくなったら次の仕掛けができます。要するに建玉はいつでも1銘柄、1回きりで、2つ3つと建玉を増やすことはしません。これが現実的なトレードです。
    ■(建玉を決済するまで次の仕掛けはしない)を守るには、

    実は《Qエンジン24》や《カナル24》の検証では、はじめから(建玉を決済するまで次の仕掛けはしない) というルールのもとで、トレードしています。だから、特に何かの指示をする必要はありません。

    買いの建玉があるときは買いの仕掛けをしないし、売りの建玉があるときは売りの仕掛けはしません。買いの建玉があって売りマークがでたときは、売りの仕掛けをします。(買いの仕掛けと買いの建玉)と(売りの仕掛けと売りの建玉)はセットで考えます。(買いと売り)の組み合わせでは(1日に1トレード)の制限はありません。

(3)「 ランダム200銘柄」を対象にした

    なおここで対象にした銘柄は「ランダム200銘柄」です。「ランダム200銘柄」を対象にしてトリガーを最適化し、オートマでチャートを追加しているので、「ランダム200銘柄」を対象にして検証するときが一番よい成績になります。

    「ランダム200銘柄」の結果ファイルは《Qエンジン24》の「アップデート」からダウンロードできます。
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【2-1】 No.101 まとめ① (20日間で20%の利益:利益率5%以上) の検証 ・・・2



( 1 ) No.101 「まとめ① (20D20%)」の2007年1月~2016年12月 (10年間)の成績

No.101 「まとめ①(20D20%)」は、2007年~2016年の10年間の成績がよかった9本の条件表をNo.101にまとめたものです。

成績のよい条件表とは次図の赤色〇がついているものです。No.102、No.103、No.107、No.109、No.113、No.115、No.117、が買いの条件表。No.128、No.132、が売りの条件表で、合計9本あります。これらは、2007年1月~2016年12月の10年間の検証をしたときの成績が、①トレード数が50回以上で、②平均利益率が5.0%以上 のものです。
    この検証をしている途中で、検証の対象の銘柄「ランダム200銘柄」のうちの一つが上場廃止か合併によってなくなったので、別の銘柄を追加しています。また条件表の最適化のしかたを少し変えたりしているので、現在のNo.102~No.132の検証をすると、講座No.24を書いた頃の成績の数字が今日載せる数字と少し違うものがあります。しかしよい成績を出している条件表は変更前と変更後でも変わりがありません。同じ条件表がよい条件表であるとして選ばれています。
この時期を手本にして、よい成績がでるように条件表を設定したのだから、成績(①トレード数、②平均利益率、③勝率)はよくて当たり前です。10年間で、①トレード数が30回だとか、②平均利益率が2.0%以下だとか、勝率が50%以下であるような条件表は何の役にも立ちません。

次図は手本にした時期の成績です。注目するのは①トレード数が50回以上あること、②平均利益率が5.0%以上あること、③勝率が50%以上あることです。





No.101「まとめ①」の検証をすると、上図(上)のようにどういったトレードをして、どういう結果になったのかが表示されます。図で◎印がついているものは「利食い」です。仕掛けて20日以内に20%の利益がでたトレードです。図には20回のトレードが表示されていますが、うち12回は利食い(◎)で、利食い出来なかった(-印、時間切れ)は8回です。トレードしたうちの60%は利食いができています。これくらい利食いができていないと、平均利益率が5%以上になることは難しい。

上図(下)に手本とした(10年間)の成績がまとめられています。
  1. トレード数は600回あった。平均して1年に60回のトレードをしている。

  2. 累計損益%は4308%(=43.08倍)ある。利益が出たものは再投資していませんが、10年て条件表を作ったのだから、これくらいの利益がでてもおかしくない。

  3. 平均利益率とは、1回のトレードで何%の利益が上がったかを表します。損したときの損失率と利益がでたときの利益率を通算しているので、1回のトレードで何%の利益(損失の場合もある)が出たのか一目瞭然です。この例では平均利益率は+7.18%になっています。とにかくトレードすれば1回につき+7.18%の利益がでるのだから、「打ち出の小槌」状態です。まあこれも手本に合わせた条件表であるので、特別に高い平均利益率になっているわけです。

  4. 勝率は67.7%。3回に2回は利益がでていますが、1回は損失です。それでも通算すると1回のトレードで7.18%の利益がでています。100回のトレードをして、勝率が90%であったとしても、平均利益率が1%ならば、累計利益%は90%です。

    この例では平均利益率が7.18%であるので、100回のトレードをしたときの累計利益%は718%になります。勝率90%のものの累計利益%が90%あることに較べると、累計利益%は8倍も多くなっています。勝率90%は利益の大きさを担保するものではありません。担保するのは平均利益率です。成績の項目のうちで最も重視すべきは、①平均利益率、②トレード数、③勝率 の順番です。
とにかく(10年間)を手本にして、条件表を作ると、手本の(10年間)の成績は驚くべきものになります。

もし手本にしていない時期(2017年1月以降)に、No.101の条件表でトレードしたならどうなるか? これが最重要な点です。現在は2018年7月末ですが、手本とした時期(2007年1月~2016年12月)から外れた(2017年)と(2018年7月)までの成績はどうなったのかを検証してみます。


( 2 ) No.101 「まとめ① (20D20%)」の2017年1月~2017年12月 (1年間)の成績

(次図)No.101の2017年(1年間)のトレードは17回ありました。ただ6084 アビスト(3960円)と 6753 シャープ(3260円)は、2017年1月11日に同じ買いマークをだしているので、(1日に1トレード)のルールによって株価の高い6084 アビスト をトレードすることになります。


上図は2017年のトレードをまとめたものです。トレード数が16回になっているのは、6753 シャープ のトレードが(1日1トレード)のルールによって外されたからです。
  1. トレード数は16回あった。手本とした期間では10年間で600回(1年に60回)であったので、2017年のトレード数は約27%くらいに減っています。トレード数は時がたつに連れて減ります。あるいは手本とした時期に起きていた現象が2017年にはあまり発生しなかったのも知れません。原因は不明です。

  2. 累計損益%は110.5%です。手本の時期には4308%(1年なら430.8%)の利益でした。2017年の累計利益は約25%(=110.5÷430.8×100)に減っています。これはトレード数の減少率(27%)と同じ減少であり、妥当な数字です。

  3. 平均利益率は+6.91%です。手本の10年間の平均利益率は7.18%でした。ややへっていますが大きな違いではありません。16回のトレードをしたので、累計利益%が110%(つまり倍増)になったのは平均利益率が手本の時期と変わず、高い利益率を維持したためです。2017年の平均利益率が手本の時期とほぼ同じであったことは、No.101条件表はある時期にトレードが集中しておらず、手本の時期と同じようにまんべんなく売買マークを出しているということです。成績が安定していることは、今後もNo.101の条件表を信頼してよいということです。、重要な評価ポイントです。

  4. 勝率は62.5%。手本の時期の67.7%よりも少し低下していますが、勝率はさほど気にする必要はありません。①平均利益率と②トレード数 のほうがはるかに重要です。

( 3 ) No.101 「まとめ① (20D20%)」の 2018年1月~2018年6月 (半年間)の成績

(次図)今日は2018年7月末です。7月末までのデータで(20日で時間切れという売買ルールによって)検証すると、7月に入ってから仕掛けたものは、まだ決着がついていないものがほとんどです。6月末までに仕掛けたトレードは全部決済ができています。つまり2018年1月~6月の半年間の成績だと思ってください。

2018年の前半6か月のトレードは9回ありました。2017年の1年間のトレードは17回だったので、No.101は1年に17~18回のトレードになるのが普通かもしれません。しかし即断はできません。


  1. トレード数は半年で9回あった。だいたい2017年のトレード数(17回)と同じです。

  2. 累計損益%は46.9%です。2017年に比べて少し悪い。

  3. 平均利益率は+5.21%です。手本の10年間の平均利益率は7.18%でしたから、約2%ほど利平均利益率は低下しています。しかし1回トレードすれば+5.2%の利益がでるというのは魅力的です。いくらでもトレードしたいと思われるでしょうが、トレードを絞っているからこそ、この高い平均利益率になっているのです。

  4. 勝率は77.8%。半年間のトレード数は9回なので、7勝2敗だったわけです。9回のトレードの1勝は勝率を11.1%動かします。もし6勝3敗になっていたら勝率は66.7%であったわけです。トレード数が100回より少ないときの勝率は信頼性がありません。勝率は50%あればよいとしておきます。
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【2-2】 No.100 まとめ② (20日間で20%の利益:利益率4 %以上) の検証    ・・・3



( 1 ) 条件表No.101が「まとめ①」で、No.100が「まとめ②」とタイトルの①②の表記と条件表No.がチグハグになっているのは、No.101に「まとめ」を設定して、No.102からトリガー別のトレード用条件表を設定していたからです。「まとめ②」を設定するつもりはありませんでした。

しかし「まとめ」の検証をしてみると、2017年のように1年間のトレード数が17回しかない場合がありました1年間のトレード数は50回はほしい。最低でも25回はほしいところです。そうなれば2週間に1回の割合でトレードできます。 そこでトレード数を増やすために、まとめる条件表( No.102~No.132のうちから選ぶ)を増加したのが「まとめ②」です。当初設定した「まとめ」は「まとめ①」になりました。

本章は「まとめ」に集結させる条件表を多くしたとき、成績はどうなるかの検証です。

「まとめ①」ではNo.102~No.132 の31本の条件表の中から①トレード数が50回以上で、②平均利益率が5.0%以上のもの9本の条件表をNo.101にまとめました。今回は平均利益率は4.0%以上へハードルを下げたので、9本の条件表に2本の条件表が加わり、合計11本の条件表をまとめてNo.100「まとめ②」としました。

追加した条件表は次図の青色〇をつけた2つです。No.106、No.118の買いの条件表が追加されています。



( 1 ) No.100 「まとめ② (20D20%)」の 2007年1月~2016年12月 (10年間)の成績

No.100 「まとめ②(20D20%)」は、2007年~2016年の10年間の成績がよかった11本の条件表をNo.100にまとめたものです。


No.100「まとめ②」の検証をすると、上図(上)のようにどういったトレードをして、どういう結果になったのかが表示されます。図で◎印がついているものは「利食い」です。仕掛けて20日以内に20%の利益がでたトレードです。図には20回のトレードが表示されていますが、うち7回が利食い(◎)で、利食い出来なかった(-印、時間切れ)は13回です。トレードしたうちの35%しか利食いできていません。

しかし(+20%で利食い)ができたとき、累計利益%は+20%が加算されます。7回利食いができておれば、累計利益%は+140%(= +20%×7回)増える勘定です。ここが(+5%で利食い)とは違うところです。+5%の利益を7回だしても累計利益は+35%(=+5%×7回)しか増えません。(+5%で利食い)としていたときは本来なら+20%以上の利益があったはずのものをみすみす見逃しています。この点でも利食いの利益率を低くすることは不利であることがわかります。

上図(下)に手本とした(10年間 )の成績がまとめられています。
  1. トレード数は660回あった。「まとめ①」に比べてトレード数は10%ほど増えている。

  2. 累計損益%は4451.7%ある。「まとめ4①」の累計利益%は4308%だったが、トレード数が10%増えた割には累計利益%は増えていない(累計利益+4308%の10%増しなら+4738になってもよい)

  3. 平均利益率は6.74%。「まとめ①の平均利益+7.18%より悪いが、利益率が0.4のものを条件表に加えた割りに平均利益率はそう落ちていない。手本した10年間の成績なので成績はよくて当然ですが、質が低いトリガーを少し混ぜ込んでも全体の成績はそう悪くなっていないことがわかったのは収穫です。

  4. 勝率は66.4%。3回に2回は利益がでていますが、1回は損失です。それでも通算すると1回のトレードで6.74%の利益がでています。
とにかく(10年間)を手本にして、基準を緩めて「まとめ②」を作りましたが、まずまず合格レベルの条件表になっています。

では手本していない時期(2017年1月以降)に、No.100「まとめ②」の条件表でトレードしたならどうなるか? これが最重要な点です。現在は2018年7月末ですが、手本とした時期(2007年1月~2016年12月)から外れた(2017年)と(2018年7月)までの時期について検証してみます。

( 2 ) No.100 「まとめ② (20D20%)」の2017年1月~2017年12月 (1年間)の成績

(次図)No.101の2017年(1年間)のトレードは17回ありましたが、 6084 アビスト(3960円)と 6753 シャープ(3260円)は、2017年1月11日に同じ買いマークをだしているので、(1日に1トレード)のルールによって株価の高い6084 アビスト をトレードすることになります。


上図は2017年のトレードをまとめたものです。しかしこの成績は「まとめ①」の2017年の成績とまったく同じものでした。「まとめ②でトレード数をふやすようにしましたが、2017年についてはその効果(影響)はまったくありませんでした。

( 3 ) No.100 「まとめ② (20D20%)」の 2018年1月~2018年6月 (半年間)の成績

(次図)2018円の前半の半年間の成績も「まとめ①」とまったく同じ成績になっていました。つまり「まとめ①」よりトレード数は10%ほど増えたはずですが、(2017年)と(2018年前半)のトレードは増えていません。



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【2-3】 No.134 まとめ③ (20日間で20%の利益:利益率3%以上) の検証    ・・・4



トレード数が10%程度増えてもまったく成績が変わらないことがわかりました。それではトリガー別のトレード用条件表の利益率を3.0%まで落として、さらに条件表を増やしてみたらということになります。

トレード数が50回以上でトリガーの利益を0.3%以上の条件表を「まとめ②」に追加してNo.134「まとめ③」としました。追加したのはNo.108(トレード数196回・利益率3.10%)の買いの条件表が1本。No.124(トレード数164回・利益率3.96%)、、No.127(トレード数178回・利益率3.14%)、No.131(トレード数99回・利益率3.68%)の 塗りの3本の売りの条件です。(【2-2】(1)No.100 「まとめ②」の図を参照)。

「まとめ③」は221という大きな条件表になりました。《カナル24》Ver.6と《Qエンジン24》Ver.6からは1本の条件表には300行の条件が設定できます。条件ファイルに格納できる条件表を999本に拡大したことと、1本の条件表に300行の条件行の設定ができるようにしたことは、実によい判断でした。条件表の本数の制限や条件表の行数の制限がほぼなくなったので、ストレスなく条件表が設定できます。No.101「まとめ①」と No.134「まとめ③」の時期ごとの成績を対比します。
  1. No.101 まとめ①・・・最初に作った条件表。トレード数50回以上・平均利益率+5.0%以上の条件表をまとめたもの。

  2. No.134 まとめ③・・・できるだけ多くの条件表をまとめ、トレード数を増やそうとした条件表。トレード数50回以上・平均利益率+3.0%以上の条件表をまとめたもの。

( 1 ) No.134 「まとめ③ (20D20%)」の 2007年1月~2016年12月 (10年間)の成績

上段の「まとめ①」のトレード数は600回あるが、下段の「まとめ③」はトレード数は977回へ約1.6倍に増加している。

平均利益率は+7.18%→+5.08%へ低下し、累計損益%は+ 4308%→+4961%になっている。累計損益%が1.15倍になったことは、トレードの増加に比例しており、まあこのような成績になるのかと思う。



( 2 ) No.134 「まとめ③ (20D20%)」の 2007年1月~2017 年12月 (1年間)の成績

手本にした10年間の成績が、手本にしていない時期になったときはどうなるかが注目点です。

平均利益率は+7.12%→5.08%へ低下したが、トレード数が16回→33回と倍増したため、累計利益%は115%→170%へ増加しています。これだとまとめる条件表を増やしたことは、まあ成功であったと思われるかも知れません。しかし1年間の成績だけではそうであると断定することはできません、

たまたま2017年だけの成績はよかったのかも知れません。例えば次に検討する2018年前半の成績はよくありません。2年連続で平均利益率が3.0%以上になるならば、「まとめ③」は安定した成績が出るとしてもよいが、半年分の成績でははっきりしません。


( 3 ) No.134 「まとめ③ (20D20%)」の 2018年1月~2018年6月 (半年間)の成績

「まとめ③は2018年前半でも21回のトレードをしています。「まとめ①」の9回の2倍以上のトレード数です。しかし「まとめ①」の累計利益%は+46.9%あります。一方「まとめ③」の累計利益%は26.6%でしかありません。2倍以上のトレードをして、その成果は半分です。

本来、トレード数が多くなればそれに連れて成績は安定します。20回のトレードをして5回利食いがでたとしても、それはたまたまのものであるかもしれません。だが100回のトレードをして、25回の利食いができたならば、4回に1回は利食いができる。あるいは利食いができる確率は25%であるといえます。無論確率の数字には幅があるので、ばらつきはあるので、20回~30回は利食いできるとすべきでしょう。だがトレード数が100回を超えるならば、統計的に意味がある確率であるといえます。

「まとめ③」はトレード数が欲しいために、「まとめ①」が5.0%以上の平均利益率と決めていたのに反し、3.0%以上の平均利益率までハードルを低くしました。たからこのように「労多くして益少なし」となったのです。

トレード数を多くするには、+5.0%の平均利益率を安易に低くするのではなく、+5.0%の平均利益がでるようなトリガーを探すことが正しい道筋です。


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【2-4】 トリガー別の条件表を集結するときの復習 (峠の茶店で一服)・・・5


【2-1】【2-2】【2-3】で、すでに完成しているトリガー別のトレード条件表はどういう視点からまとめるのがよいのかの検証をしました。

上図のようにトリガー別のトレード条件表は31本あります。31本のうちで、
  1. トレード数が50回以上で、平均利益率が5.0%以上のトリガー別トレード条件表は赤色〇をつけた9本です。これを1本の条件表に集結してNo.101「まとめ①」とし、その成績について【2-1】で調べました。

  2. トレード数が50回以上で、平均利益率が4 .0%以上のトリガー別トレード条件表は青色〇をつけた2本です。これをNo.101の9本に追加して、11本が集められています。No100「まとめ②」です。その成績について【2-2】で調べ、成績を検討しました。

  3. No.134「まとめ③」は、これを記述しているときに思いついて作ったものです。その成績について【2-3】で調べ、成績を検討しました。

(次図)No.101「まとめ①」の平均利益率や累計利益%は申し分のないものであったけれど、トレード数をもっと増やせば年ごとの成績はより安定するはずです。

トレード数を増やすために、平均利益率を5.0%から4.0%、3.0%へと下げてみましたが、この試みは見事に失敗しました。平均利益率を下げるということは、利食いの回数が少なくなることを受け入れるということであり、利益がでるトレードを減らすということです。右図に見るように(2007年~2016年)の10年間の成績は、平均利益率が最も高い5.0%に絞ったNo.101「まとめ①」です。平均利益率を3.0%まで下げたときのトレード数は977回になり、累計利益は「まとめ①」の15~16%増加しました。

平均利益率が低いトリガー別トレード条件表を混ぜていくと、しだいに成績は悪化していきます。絵具を混ぜれば混ぜるほど、原色の派手やかさは失われ、黒色に近づいていくのと同じです。

ここで学んだことは平均利益率は高いものだけを集結するべきである。ということです。
無理にトレード数を増やしても成績はよくならない
ともいえます。


トレード数を増やす方法は3つあります。
  1. 条件表を設定するときや検証をするときの銘柄数を多くする。

    この講座では「ランダム200銘柄を対象にしましたが、「ランダム400銘柄」とか、東証1部身銘柄全部(全数)を対象にする。ただし銘柄数を増やすと、イレギュラー(不規則な)データが入り込むので、必ず成績がよくなるということではありません。試してみなければわからない。

  2. 対象期間を長くする。

    この講座では(2007年1月~2016年12月)の10年間を手本にしましたが、例えば(2000年1月~2016年12月)を対象期間にすれば、データ数は1.7倍になります。ここには様々なデータが入っているので、たいして役に立たなかったトリガー別のトレード条件表が息を吹き返す可能性があります。ただ新しいデータを対象にするということは。イレギュラー(不規則な)データも取り入れるということでもあるので、必ず成績がよくなるということではありません。

  3. 新しいトリガーを見つける。

    新しいトリガーを見つけることは容易なことではありません。 《Qエンジン24》に用意した31本のトリガー条件表は、私の長年の経験から選んだものです。

    そこそこの成績(①平均利益率、②トレード数)をだすと思っていましたが、①平均利益率がマイナスのもの(No.126の平均利益率は-0.01% )、またトレード数が少なすぎるもの(No.119は5回、No.125は13回)があり、逆にトレード数が多過ぎるもの(No.126は609回) があります。これらのトリガー別トレード条件表はほとんでお役にたちません。

    おそらくは、①対象銘柄を多くしても、②対象期間を長くしても、よい成績にはならないと思うので、①対象銘柄または②対象期間で確認したら消すことになるでしょう。ここまでの私の経験には間違っていものがあったわけです。

    経験がなまじにあると、新しい発想がでてきません。固定観念でトリガーを扱ってしまいます。本当はそのトリガーは良いものを持っているのに、それを見つけることができないことが多くあるのではないかと思います。トリガーの発見の妨げになっているのは、自分の凝り固まった考えです。
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【3-1】 どういう売買ルール(何日間で何%が)よいのか?  (寄り道)・・・6




【2】では(20D20%) 20日間で20%の利益 について検証しました。【4】では(10D10%) 10日間で10%の利益について調べますが、実際のところ(何日間で何%の利益)を目的にすればよいのかは、これまで誰も真剣に考えていません。

使う人や資金の性格によって、自分の都合のよいような目的を定めているだけです。例えば、
  1. 自分は長く建玉できない性分だから、短期の売買がしたい。(5日間で時間切れ)にすればよいだろう。となると(利食いは+2%)ですればよいか、と考えて(5日間で2%の利益)を目的にした条件表を作っています。

  2. あるいは20日間(1か月)は粘るつもりなので、(20日間で時間切れ)にすればよいだろう。となると(利食いは+15%)くらいでよいか、と考えて(20日間で15%の利益)を目的にした条件表を作ります。

  3. やや長めの喫期間をかけて大きな利益を出したい人は60日間(3か月)をかけて(利食いは+30%)くらいを目的にした条件表を作ります。
この3例は、自分の性格や資金の性格(長期投資できる資金なのか、10日後に必要になる資金なのか)を考えてのことだから、どのような売買ルールにしてもよいのですが、その売買ルールを使ってその条件表が最も利利益を出すこととは無縁です。自分の都合で「売買ルール」を決めているだけです。

ここでいう条件表の目的とは、最も利益が多くでるような売買ルールのことです。

相場(値幅と時間)は予想できません。できませんが、事実にのっとってするトレードは、事実を無視したトレードの何倍もの利益を上げることができるし、損失をだしているときは、事実無視のトレードの何分の1かの損失で食い止めることができます。

相場とは株価の変動のスケールの変化です。例えば小波動のボトムからピークまでの株価の上昇率が+5%しか上昇しない時期もあるし、+30%上昇する時期もあります。これは(株価のスケール)です。 また小波動のボトムからピークまでの時間はたったの5日間である時期もあるし、30日間も上昇を続ける時期もあります。これは(時間のスケール)です。

いうまでもなく株価の変動幅のスケールが大きくて、時間のスケールが大きければ、誰でも簡単に利益をだすことができます。ただその時期は10年に1回(の上昇相場)と10年に1回の下降相場でおいてです。日頃の相場のスケールは大きいものではありません。

相場のスケールが時期によって変動するので、売買ルールを固定していると、利益が出たり損失が出たりします。そこで相場のスケールを予想して、あるときは短期小幅な売買ルールを採用してみたり、別のときには長期大幅な売買ルールに変えてみたり、と売買ルールをコロコロと変えるのが多くの投資家の手法です。これは「迷い」ですが相場の変化に合わせようとすれば迷うのは当然です。

時期時期に応じて売買ルールを変えないと、本当に利益はでないのだろうか? それぞれの条件表は最も多くの利益がでる売買ルールを内在しているに違いない。それは最適な売買ルールと呼んでよいでしょう。最適な売買ルールは《Qエンジン24》の「最適売買ルール」を使えばわかります。条件表は内在している最適な売買ルールを採用してこそ生きてくる。そう思って最適な売買ルールを調べてみました。

次図はNo.379「小波動(3日)」の条件表です。内容は極めて簡単なもので、①小波動が下降から上昇に転換した日に買い、②小波動が上昇から下降に転換した日に売り、というものです。オートマによってチャートを追加して成績を高めることはしていません。まったくシンプルな条件表です。こんだがシンプルな条件表ではあるが、売買ルールが違えば、成績(特に平均利益率)は大きく異なります。




右図では(A)(B)(C)で買いマークが、(a)(b)(c)で売りマークが出ています。買いマークが出て翌日の始値でしかけたとき、10日間のうちの最大の上昇率は
  1. 買い617円→655円。上昇率+6.1% (利食いしないときは 11日目の始値655円で決済して+6.1%の利益)

  2. 買い638円→676円。上昇率+5.9%(利食いしないときは 11日目の始値591円で決済して-7.3%の損失)

  3. 買い588円→598円。上昇率+1.7%(利食いしないときは 11日目の始値590円で決済して+0.3%の利益)
です。売りの場合は、
  1. 売り710円→689円。下落率-2.9%(利食いしないときは 11日目の始値707円で決済して+0.3%の利益)
  2. 売り617円→540円。下落率-12.4% (+12.4%の利益)
  3. 売り583円→574円。下落率-1.5%(利食いしないときは 11日目の始値594円で決済して-1.8%の損失)
です。この例では(b)の-12.4%(bは売り仕掛けなので、利益は+12.4%になる)が大きな利益になっています。この6回のトレードで確実にトータルで利益をだすには、10%で利食いする売買ルールにすればよい。このときの累計利益は、(A)+6.1%、(B)-7.3%、(C)+0.3%、(a)+0.3%、(b)+10%(利食い) 、(c)-1.8% です。累計利益のうち大きなウエイトを占めるのは買いの(A)+6.1%と(B)-7.3%、売りの(b)+12.4 %の損益です。

( 1 )「最適売買ルール」を使ってNo.379「小波動」の売買ルールを調べる


ここでの売買ルールは、(時間切れ)と(利食い%)の要素だけです。このほかに付け加えるなら(損切り%)ですが、まずは(時間切れ)と(利食い%)の2つを売買ルールとして検証します。

条件表No.379はどのような売買ルールのときにもっと大きな利益をだすのか調べてみました。右図の指示は、
  1. 2007年1月~2016年年12月の(10年間)を対象にする、

  2. 「買いだけ」を調べる.

  3. (時間切れ)は5日~50日で5日ごと増加させる。

  4. (利食い%)は5%~50%で5%ごと増加させる。
どの最適化も売買マークがでたら仕掛ける「全数」仕掛けです。「1日1トレード」の仕掛けはできません。「最適パラメータ」「最適以上以下」「最適条件行」などの最適化をする場合はすべて「全数」のトレードの成績がでます。

売買ルールによってレード数は変わります。変わる原因は、①(利食い)することによって、次の仕掛けができるので、仕掛けが増加する。②(時間切れ)の期間が長くなることによって、仕掛けが減少(建玉が決済していないと仕掛けはできない)する。のどちらかです。

「全数」仕掛けと「1日1トレード」の仕掛けの違いは、仕掛けの数を調整するだけです。仕掛けを調整してトレード数が違うと、①累計利益%、②平均利益%、③勝率に影響しますが、売買マークがでた日は同じです。「全数」の成績よりも「1日1トレード」の成績は少し悪化しますが、最適な(時間切れ)や(利食い)は全数であっても1日1トレードであっても同じです。


①評価得点の順にソートする

30分ほどで売買ルールの最適化ができました。これを「評価得点」でソートしたのが右図です。

図には「評価得点」の高いベスト20が表示されています。その内訳を見ると
  1. (時間切れ)はベスト5に、(35日)が4個入っている。ベスト20には5個。

    ついで(30日)が続き、ベスト20に5個。次が(40日)でベスト20に4個。

    (35日)がベストで(30日)と(40日)が(時間切れ)の最適な期間であるらしい。

  2. (利食い)のベスト10は、(50%)が3個、(45%)が2個、(40%)が3個、(35%)が2個なので、(35%)~(50%)が最適な利食い水準であるらしい。

  3. トレードしたうち利食いできた回数を見ると、(35日・30%)が1264回あり、トレード数(17969回)の7.03%は利食いできています。評価得点がトップの(35日・45%)の利食い回数は496回、トレード数は17369回で、利食い率は2.77%であるから(35日・30%)は特に多くの利食いができているわけです。
以上のことから(時間切れ)は35日程度、(利食い)は50%~35%くらい。利食いはバラツキがあるので、絞りきれないが35%以上がよいことがわかります。


②平均利益率の高い順にソートする

次に「平均利益率」でソートしたのが右図です。平均利益率は成績のうちで最も重要なものです。ベスト20の平均利益率は1.09%~0.95%で、だいたい平均利益率は+1.0%がNo.379「小波動」のトリガーの限界のようです。(その他のトリガーも似たようなものですが)

ベスト20の(時間切れ)と(利食い)を見ると
  1. (時間切れ)はベスト20に入っているのは、(50日)が5個。

    (45日)は4個、(40日)は4個、(35日)は5個です。

    これまた(35日)~(50日)が(時間切れ)の最適な期間であるらしい。

    ただ(50日)というのは、最適売買ルールで指示した(時間切れ)の最長の期間です。時間切れが長くなれば、大幅な利益を出す可能性は高くなります。おそらくいつでも平均利益率がよいものは、(時間切れ)の期間が最長のときでしょう。

    すると、(時間切れ)が(35日)というのは、これ以外(最長時間以外)の要因であるのではないか。(35日)が最適な(時間切れ)ではないのではないかの疑問がでてきます。

  2. (利食い)のベスト10は、(50%)が3個、(45%)が2個、(40%)が3個、(35%)が2個なので、(35%)~(50%)が最適な利食い水準であるらしい。

  3. トレードしたうちの利食いできた回数を見ると、(50日・30%)が1535回あり、トレード数(14126回)の10.83%は利食いできています。平均利益率トップの(50日・50%)の利食い率は3.63% (=505÷13881×100)なので、利食い率が10%を超える(50日・50%)はすばらしい。

    だがこれは(利食い期間)が最長のときのものです。(時間切れ)の日数が長くなればなるほど、利食いの可能性が大きくなるが、逆に大きな損失を出す可能性も大きくなります。

  4. 利益%と損失%の比率を表すのは「Pファクター」です。これは累計利益%÷累計損失%で計算できます。(損失のマイナス符号は+に変換する)

    (50日・30%)のPファクタ(PFと略す)は1.17倍です。利益は損失の1.17倍あるということです。トップの(50日・50%)のPFは1.19倍で、ざっと見るとPFは1.20倍前後です。あまり大きな差はないが、PFが大きいものは(35日・45%)と(35日・50%)と(35日・40%)、(35日・30%)の4個です。1.21倍は(40日・40%)、(35日・35%)、(35日・30%)の3個。1.20倍が(40日・50%)、 (40日・35%)、(40日・45%)の3個です。
こういうことを見ると、(35日)とか(35%)は重要な売買ルールであると思われます。


③平均利益率の低い順にソートする

次に「平均利益率」が小さい順にソートしたのが右図です。平均利益率は成績のうちで最も重要なものです。平均利益率が悪いものは、誤った売買ルールを基準にしているからです。(だからここはベスト20ではなく、ワースト20です)

(時間切れ)と(利食い)を見ると
  1. (10日・5%)、(15日・5%)、(5日・5%)がワースト3です。

    (時間切れ)の5日・10日・15日は、5日~50日(5キザミ)の10段階の時間切れ日数の下位3個であり、(利食い)の5%は最下位のものです。

    つまり(短期間)で(小幅利食い)のものがワースト3になっています。ワースト3の結果(平均利益率)は0.01%~-0.06%と小さく、どこで利益をだすのだと思う数字です。

  2. しかし勝率は55.4%~50.8%あります。勝率が50%を超えるのはこの3つだけではありません。例えば(50日・5%)はトレード数が19920回ありますが、勝率は71.7%、平均利益率は0.09%です。勝率が050%を超えるのは25個ありますが、23個は(平均利益率%)が5%、10%、15% であり、2個20%です。

  3. いくら勝率が高くても、利益はでないことが明瞭です。多くの方は勝率が高いものを有難がっているが、利益の大きさにとっては邪魔なだけです。利益の大きさは勝率が導くのではありません。勝率を重視すればするほど利益は小さくなるのです。

( 2 )No.379を「1日1トレード」でトレードしたときの成績

(1)は全数のトレードをしたとき成績です。これは簡単に最適な売買ルールを教えてくれます。だが現実のトレードに近い「1日1トレード」による最適売買ルールを求めることはできません。敢て「1日1トレード」の成績を知りたいなら、①「検証」を行い、②「損益経過」で1日1トレードの指定をする必要があります。まず検証」を先に行います。

ところが「検証」は決まった売買ルールに基づいて行われるので、売買ルールが定まっていない条件表の検証はできません。従って例えば10通りの売買ルールを仮に決めておいて、1本の条件表を10通りの売買ルールによって検証します。その中で最もよい売買ルールを最適な売買ルールとするわけです。

「1日1トレード」の検証をするにはやや手間がかかります。手順は3通りあります。
  1. 1つの条件表について、新規検証をし、「損益経過」で1日1トレードを指示して、「1日1トレード」の成績を知る。

  2. 多くの条件表を1本1本検証するのは面倒なので、「連続検証」によってまとめて条件表の検証をする。
    検証が終ったら「検証結果」→「損益経過」で1日1トレードを指示して、「1日1トレード」の成績を知る。

  3. あるいは「連続検証」によってまとめて条件表の検証をする。 検証が終ったら、11本の条件表を選択して、「成績対比表」に表示させて「1日1トレード」の成績を知る。
の方法があります。3本以上の条件表を検証するときは「連続検証→「成績対比表」がラクです。


「連続検証」の指示は次のようになります。
  1. 「ランダム200銘柄」を対象にしして、No.380~No.390までの条件表を検証する。

  2. 検証期間は(2007年~2016年)までの10年間。

  3. ここでは「買いだけ」の検証をする。

  4. No.380~No.390の条件表にそれぞれの売買ルールを設定しておく。

    (No.380は(時間切れ50日・利食い50%)、No.381は(時間切れ45日・利食い45%)、No.382は(時間切れ40日・利食い40%)のように売買ルールを設定する)

  5. 「実行」で、11本の条件表の検証ができます。検証が終るまでは、なにもすることはありません。

  6. 11本の条件表の検証が終わったら、「成績対比表」にいき、検証が済んだNo.380~No.390の11本の条件表を選択します。

  7. 次図のように「損益経過の指示」の画面が現れます。

  8. 「銘柄数の制限なし」を選ぶと「全数」トレードの成績がでます。



  9. 「銘柄数は(1)銘柄まで」を選ぶと「1日1トレード」の成績がでます。

    このとき、複数の銘柄の中からどういう銘柄を選ぶかの基準は、

    ①株価が最も高い(安い)銘柄

    ②出来高が最も多い(少ない)銘柄

    ③前日比%が最も大きい(小さい)銘柄

    などを指定できます。


急ぐ旅でもないので、

①全数トレードの成績、
②1日1トレード(株価が高い銘柄)、
②1日1トレード(前日比が最も大きい銘柄)

の3通りの成績対比表を出してみます。条件表No.がそれぞれどういう売買ルールがついているかは、上図の「条件表の一覧表」を見て下さい。
    No.380は(50日・50%)の売買ルールによる
    No.381は(45日・45%)の売買ルールによる
    No.382は(40日・40%)の売買ルールによる
    No.383は(35日・35%)の売買ルールによる
    No.384は(30日・30%)の売買ルールによる
     :     :      :  
    No.389は(10日・ 5%)の売買ルールによる
    No.390は( 5日・ 5%)の売買ルールによる
などです。条件表の内容はまったく同じであるのに、売買ルールや「1日1トレード」の選択基準が違えば、その成績は天と地、月とスッポン、釣り鐘とチョーチンほどの違いがあります。

①全数の成績

出た売買マークの全てによるトレードです。

(ただし買い建玉中に買いマークがでたときは仕掛けないし、売り建玉中に売りマークがでたときは仕掛けない)

(時間切れ)が短いものがほどトレード数は少なく、長いものほどトレード数は多くなります。同じように(利食い%)が大きいものほどトレード数が少なく、(利食い%)が小さいものほどトレード数は多くなります。 これは(時間切れ)が短ければ時間切れの決済が早く、(利食い%)が小さければ利食いが多くなるので、トレード数が増えるためです。
  1. 平均利益率が一番よいのはNo.380の(50日・50%)の1.03%です。ついでNo.382(40日・40%)とNo.383(35日・35%)の+0.99%。

  2. 平均利益率が一番悪いのはNo.389の(10日・5%)の-0.04%。ついでNo.388(10日・10%)の-0.01%です。間益率がマイナスになったのはこの2つだけです。
利益率が高いのは(時間切れ)が35日以上のとき、(利食い%)が35%以下のときである。利益率が特に悪いのは、(利食い%)が15%以下のときであることがわかります。


②>株価最高の成績

「1日1トレード」の現実的なトレードをしたときの成績です。同じ日に複数の銘柄が売買マークを出しているとき、株価が最も高い銘柄を仕掛けます。

「1日1トレード」にしたときのトレード数は1736回~2191回に減り、最少と最の差も小さくなっています。

過去10年間には2500日しかないので、トレード数は2500回に近づくが2500回を超えることはありません。
  1. 平均利益率が一番よいのはNo.380の(50日・50%)の0.42%。ついでNo.3843(30日・30%)の+0.38%です。

  2. 平均利益率が一番悪いのはNo.399の(5日・5%)の-0.27%。ついでNo.388(10日・5%)の-0.18%です。
利益率が高いのは(50日・50%)のときと(30日・30%)の2つです。この2つだけがプラスであとは皆マイナスです。(50日・50%)は最大の(時間切れ)期間であり、最大の(利食い%)です。だいたいにおいて(時間切れ)が長いほど、(利食い%)が大きいほど平均利益率は高くなります。ここでは(30日・30%)の平均利益率が高くなっているのは注目に値します。


③前日比最大の成績

「1日1トレード」の現実的なトレードをしたときの成績です。

同じ日に複数の銘柄が売買マークを出しているとき、前日 比(売買マークを出した当日の終値と前日の終値との比較)が最も大きい(+2.5%高などのように)銘柄を仕掛けます。

(株価最高)と(前日比最大)のトレード数はまったく同じです。ただ選ぶ銘柄が異なります。

(前日比)を基準にしたトレードの成績は、私がこうあるべきだと思っていたものと同じになりました。これまで検証では(株価最高)を基準にすることが多く、だいたいはそれで間違ってはいなかったのですが、この検証の結果には驚きました。わたしの理屈と検証結果が同じであったことが第1、成績が(全数)や(株価最高)よりも飛び抜けてよかったのが第2です。

平均利益率の順にみると、
  1. No.380(50日・50%)が1.57%で、飛び抜けて高い利益率です(シンプルな条件表なので、平均利益率の値は1%台で大きくはないが)

  2. No.384(30日・30%)は1.02%で第2位です。No.380(50日・50%)の成績は(時間切れ)が最長の50日間で、(利食い%)が最大の+50%のときの成績です。平均利益率は長く、利食いの%は大きいときに出ることはこの章の前半部分でわかっていることです。No.384(30日・30%)は最長の(時間切れ)でもないし、最大の(利食い%)でもないので、おそらくNo.379「小波動(3日)」というトリガーに内在する最適な売買ルールなのでしょう。

  3. 逆に売買ルールが小さいNo.389 (10日・5%)の平均利益は率は-0.22%ですが、勝率は55.0%です。売買ルールの(時間切れ)が小さな数字のときは、平均利益率は小さい(マイナスになりがち)が、勝率は高くなることもわかっています。

  4. No.390(5日・5%)の平均利益率は-0.202%、勝率は50.3%です。平均利益率はマイナスではあるがNo.389(10日・5%)の-0.22%よりもましな理由は、No.389が5日間で時間切れの決済をすればよいのに、決済を10日まで伸ばしたからです。決済をわずかの期間延ばしても結果は悪くなるだけです。(うんと延ばせば5%の利食いができる時期がくるので、平均利益率は上昇しますが、それでも最大で5%の利益しか出ません)

最も成績がよく、理屈に合っている(前日比)基準の成績を基にして、本章で得た結論は
  1. 長期間をかけて、大きく利益をとるのが平均利益率を高めるための売買ルールである。(本章では(50日・50%)がそれに当てはまる)

  2. トリガーによって固有の最適な(時間切れ)と(利食い%)があるようだ。(本章では(30日・30%)か(35日・35%)がそれである)

  3. ただし長期間の建玉をすると、大きな損失がでる可能性がある(本章の売買ルールでは損切りをしないため)が 短期間・小幅な利食いは平均利益率を最悪にする(本章では(10日・5%)やか(5日・3%)がそれである)。
ということです。

( 3 )No.379の年別成績

優れたトリガー条件表はどのようなものであるかといえば、いうまでもなく①リターン(累計損益や平均利益率)が大きいものです。前項(2) No.379を「1日1トレード」でトレードしたときの成績」で、最もリターンが大きかった(50日・50%)のリターンは以下のようになっていました。は、
  1. 全数トレードのとき、トレード数は6846回、累計損益は7073%、平均利益率は+1.03%
  2. 1日1トレード(株価最高基準)のとき、トレード数は1736回、累計損益は723%、平均利益率は+0.42%
  3. 1日1トレード(前日比基準)のとき、トレード数は1736回、累計損益は2727%、平均利益率は+1.57%
でした。リターンからは(c)の(1日1トレード・前日比基準)が最も優れています。

しかし利益を上げた年が過去10年間で6回、損失になった年が4回あるときは、成績は年によってブレており安定性はありません。

10年間で損失になりなる年はできればないほうがよい。年ごとに利益がでたり素質になるのはリスクです。

年別成績はメニューの「検証」→「新規検証」→「損益経過」で知ることができます(右図)

また「検証」→「検証家tt検証結果の連続印刷」で知ることもできます。

2007年~2016年の10年間の年別成績を掲げます。

以下の3つのトレードによる年別成績は同じ傾向をもっています。
  1. 平均利益率のトップ2の年は、①全数が2013年と2012年、②株価基準が2013年と2009年、③前日比基準が2013年と2009年。2013年は3つとも一致。2009年は②③は一致し、①も第3位です。

  2. 平均利益率のワースト2の年は、①全数が2008年と2007年、②株価基準が2008年と2007年、③前日比基準が2008年と2007年。どれも3つとも一致しています。

  3. 平均利益率がマイナスになった年は、①全数が2007年・2008年・2011年・2016年の4年、②株価基準が2007年・2008年・2011年・2016年の4年。これは①全数と完全に一致しています。③前日比基準が2007年と2008年の2年。2007年と2008年は3つとも一致しています。
これは最終のトレード用条件表ではなくトリガー条件表です。トリガー条件表をオートマにかけてチャートを追加して平均利益率を高めるような制限をすれば、平均利益率はアップし、マイナスになる年は減ります。

①全数の年別成績



②1日1トレード(株価基準)の年別成績



③1日1トレード(前日比基準)の年別成績




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