ども!さとる(@satorism0321)ですーー!
先日までご紹介していた、『過去絵さらしてみる』シリーズ。おかげさまで、大変ご好評を頂きました。
「その3」から登場したAdobe Illustratorによるイラストだが、Twitterでフォロワーさんの1人より、「どのように作業をしているのか?」というお問い合わせを頂いたので、今回は過去絵のデータを使って説明してみようと思う。
とはいえ、「Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター、通称イラレ)」について知らない方もいると思うので、ソフトについても後述させて頂く。
「イラレ」でデジ絵(デジタルイラスト)を描いてみたい人の一助になれば、と思う。
なお、テクニック的なことについては言及せず、ぼくのイラストがどういう構造になっているかしか書いていないので、その手のことは書籍等を調べて見て欲しい。
レッツ!分解!!
今回分解するイラスト
2007年に描いたハロウィン用イラスト。
たぶん、ぼくがイラレで描いた中では最も時間がかかったやつ。
今回はこれを使用して、Adobe Illustratorでの作業をご紹介したいと思う。
レイヤーについて
デジタルイラストにおいて、「レイヤー」はとても重要。
この記事を読むにしても理解しておくと分かりやすくなると思うので、覚えておいてもらいたい。
レイヤーとは、階層(Layer)を意味する英単語。コスプレイヤーのことじゃないぞ!
その名のとおり、作業域を重ねて階層のようにしていくのだけれど、アニメーションのセル画といえば分かりやすいかと思うので、図を参照してみて欲しい。
図のように、左がアニメのセルの完成図だとすると、この図は3つのレイヤー(人物+草+空)から構成されていることが分かる。空が一番下の層、その上に草の層を重ね、最後に人物といった具合。
絵なら別に1枚でもよくね?と思うかもしれないが、レイヤー化しておくことで作業が劇的にやりやすくなる。
一番大きなメリットが、「別の層に影響を与えないこと」。
つまり、特定の層で作業しているときに他の層をロックしておけば、誤動作を防止することが出来る。
先ほどの図でいくと、人物のレイヤーで作業しているときに草と空のレイヤーをロックしておけば、誤動作で他のレイヤーに影響することがなくなる。
とても便利な機能だし、イラレだけに限らず、グラフィック及びドロー系のソフトには大抵ある機能なので、デジ絵やるなら基本の「キ」となる。
これは覚えるべき。そうするべき。
下書き
奇跡的に当時のクロッキー帳が見つかったので、無事原画を発見!
鉛筆書き。イラレで線を取るので、ペン入れせずにそのままスキャン。
下書きのときはカボチャがあった模様。なんでやめたんやろね?
主線を取る
まずは主線を取る。
女の子、狼男、フランケン、おばけ、ミイラ男、こうもりはそれぞれ別のレイヤーで主線を取っているので、バラバラにすることも出来る。
別にそんなこと出来なくてもいいので、主線は1枚のレイヤーでもいいと思う。
バラバラにするとこんな感じ。だからなに?って感じではある。
アップにするとこんな感じ。だからなに(略
ちなみに、ぼくは主線を単一の線で取っておらず、原画の線幅をトレースするような形で囲んでいってる(すげー時間かかる)。
こうすることで、なんとなーくアナログ感が出るんじゃないかと勝手に思ってる。
カラーリングの流れ
このイラストは基本的に、主線を除いて「ベタ+影1(薄い影)+影2(濃い影)+ハイライト」の合計4色で出来ている。
影2は別になくてもいいと思うけど、影の面積が大きい場合、少し濃い色を足すと締まる気がする。
各レイヤーは以下の通り。
左が一番下となり、順番にレイヤーを重ねていく。
このイラストの場合、5つのレイヤーで1つの絵になるということ。
全体のカラーリングの流れ
全体で見てみるとこうなる。
ベタ塗りのみ。
何がなんだかわからんね。
影1(薄い影)が入ったとこ。だいぶ立体的に見える。
影2(濃い影)を入れたところ。だいぶ立体的(略
ハイライトを入れたところ。
上から主線をドーーーーン!!
完成です。
Illustratorで絵を描く人は主線のないものを描く人も多いけれど、ぼくのイラストは主線ありきなので、やはり線がないと見れたものじゃない。
実際の作業は、「主線レイヤー」を常に表示した状態で行っている。
背景を作って合成する
別ファイルで背景を作っていく。
まず一番後ろにくるやつ。
黒い線はアートワーク(用紙)の大きさのガイド。このイラストはポストカードにすることを想定しているので、はがきサイズで作られている。
そこに夕陽とお城のシルエット、遠景の雲を描き足す。
前景となる雲と、キャラクターを配置したときの影を追加。
キャラクターを配置して、
トリミングしてドーーーーン!!!
キャラクターの主線が背景のシルエットと馴染んでしまうので、白で枠を取っている。
これで完成。
仕事から帰って、毎日1~2時間コツコツ作業して1週間くらいで出来る?と思う。
「Adobe Illustrator」とはなんぞや?
Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター、通称イラレ)とは、Adobe Systems(アドビシステムズ)が販売するソフトウェア。説明がめんどくさい複雑なので、Wikipedia先生にご登場願おう。
イラスト制作は勿論のこと、ロゴタイプや図面、広告、パッケージなどをデザインする描画ツールソフトとして、印刷業界などあらゆる分野で使用されている。特にDTP業界においては印刷物(チラシや小冊子)制作ソフトとしてはデファクトスタンダードとなっていて、デザイナーはAdobe Photoshopと併せて使用する場合も多い。また、プラグインを追加することで、CADや3DCG機能などを拡張することもできるので、様々な分野のクリエイターが使用している。
引用元:Wikipedia
というわけだ。
プロの現場で使われているソフトであり、巷にある印刷物は大抵イラレで作られたものだ。お値段もなかなかのものである。
DTPとはDeskTopPublishing=卓上出版を意味し、つまり出版業界のことを指す。
実際の作業画面
実際の作業画面はこんな感じ。これは2008年にリリースされた「Adobe Illsutrator CS4」のもの。
1:ツールボックス
制作に必要な各種ツールが揃っている。全部覚えなくてもイラストは描ける(断言
グラフとか使ったことない。
2:アートボード(作業エリア)
実作業をするところ。
イラレでの作業は印刷用途に使うことがほとんどなので、アートワーク(用紙)の大きさを決めて、そのエリア内で作業を進めることになる。
印刷をかけると、そのエリア内にあるものが印刷される。
アートワークのエリア外も作業に使えるため、ボツにしたネタなどを外に置いておいたりする。
3:メニューバー&コントロールパネル
メニューバーの中には機能がいっぱい。ショートカットを覚えるまではここから探すことになるので、作業時間短縮のためにも早めに覚えたいところ。
4:パレット
色とか線幅とか決めるところ。
同じアドビ社が販売しているAdobe Photoshopとは違い、カラーパレットから色を選ぶのではなく、CMYK(もしくはRGB)の色を数値で指定していく。
5:レイヤー
レイヤー情報を表示してるところ。
レイヤーは分けると便利だけど、分けすぎると煩雑になるので要注意。
そのほかにも色々表示できるけど、まぁこれだけ出てればイラストは描ける(断言
イラレはパスが命
イラレにおいて最も重要な要素である、「パス」。
描かれている形「パス」は、図で言うところの緑の四角の部分「アンカーポイント」と、線の部分「セグメント」で構成されている。
各アンカーポイントには「ハンドル」と呼ばれる方向を指定する線があり、このハンドルを操作してセグメントの向きを決定していく。
こういったコンピュータ上で「点と点」を結んで滑らかな線を描くことを「ベジェ曲線」といい、イラレにおいては最も複雑で、最も重要な要素である。
これが理解できないと、DTPデザインのお仕事は出来ない。
なお、パスの色はレイヤーによって設定できるので、たまたま緑だっただけ。
おまけ
上のハロウィンイラストの前に描いたやつ。同じく2007年。
当時公開していたホームページ用の画像で、データはこれしか現存していない。
妻に『魔女の○急便』のパクリだ!と言われたのでボツにしたやつ。まぁ確かにそう見える(笑)
最後に
Adobe Illustratorは使い方が複雑だけれど、一度覚えてしまえば色んな表現が可能となるので、習得したいと思っている方は頑張って覚えて欲しいと思う。
ぼくのようなイラスト以外にも、グラデーションツールを用いてむちゃくちゃリアルに描く人もいるし、イラストだけでなく昨今流行のフラットデザインを作ってみたりすることも出来る。
興味があればぜひ使ってみてほしい。高いけど(´;ω;`)
昔はフルパッケージで10万くらいだったけど、今はもうこういった定額制のものしかないんやね。
左はパッケージ版(コードが手元に届く)、右はオンライン版(コードが電子メールで届く)。
過去絵シリーズも併せて見てね!!
イラレを使った作品は「その3」からだよ!
楽しんで頂ければ幸いです!それではまたねーーーー!!