ブログを速く書くための文章術

文章を書くのに時間がかかる理由

文章を書くことが苦手な悩みを持つ人は少なくありません。 学生や社会人など、職業を問わず文章を速く書くためのスキルが求められています。 メール、レポート、企画書、プレゼン資料、議事録、そしてブログや SNS も例外ではありません。

文章を書くのに時間がかかってしまう理由は、速く書くための方法論を知らないからです。 文才がなくても、方法さえわかれば文章を書くスピードを飛躍的に高めることができます。

筆が止まってしまう理由は他にもあります。 それは、うまい文章や、読ませる文章にしようと考えて手が止まってしまうことです。 しかし、うまい文章を書く必要はありません。 書くべき文章は "わかりやすくて、役に立つ文章" です。

わかりやすくて、役に立つ文章とは、読み手の知りたい情報です。 それは抽象的な表現ではなく、"具体的な事実" が書かれた文章です。

書くのに時間がかかり、わかりにくい文章になってしまうのは、具体的な事実が欠けているからです。 文章を速く書くためには、具体的な事実を集める準備が非常に大切になります。 また、長い文章を書くためには具体的な事実をより多く集める必要があります。

文章を書くための生産性は、一般的にページ数や文字数などで表されます。 小説家、新聞記者など書くことが専門で、速筆家のパフォーマンスは 1 時間に 3,000 文字以上とも言われています。 一作品が 10 ~ 15 万文字の場合、2 ~ 3 週間で書き上げてしまいます。 ブログで生計を立てている人も、一ヶ月に 20 万文字を目標ラインと定めているケースがあります。

書くことが専門でない人のパフォーマンスは、およそ 1 時間に 2,500 ~ 1,000 文字程度です。 文章を速く書く方法を知れば、パフォーマンスを大幅に伸ばすことも可能です。

文章を書く前に "どうやって書くか?" を考える必要はありません。 まずは "何を書くか?" に集中し、準備に取りかかりましょう。

速く書くための準備

文章を速く書くためには、以下の 5 つのステップで勧めます。

  1. 書く目的と読者を定める
  2. データを集める
  3. データを読みやすい順番に構築する
  4. スピード重視で書き上げる
  5. 読みやすく整える

データを集める前に、"書く目的""読者のレベル" を定めましょう。 それらによって集めるデータが大きく変わるため、まずはターゲットを明確にします。

書く目的とは、表面上の理由ではなく文章を通じて誰に何を伝えることを目的とした文章かを掘り下げた "真の理由" です。 文章量が多くても、読み手が知りたい情報が何も書かれていなければ、それはただの "役に立たないデータ" に過ぎません。 読者は、あなたの文章を読みたいわけではなく、文章を通じて情報を求めているはずです。 その情報とは何かを考えてみてください。

読者のレベルとは、読者の知識レベルやキャリア、年齢、性別などです。 マーケティングの世界では "ペルソナの設定" と呼ばれています。 例えば、初心者には専門用語を使わずに説明するなど、伝わりやすい文章を書く上で定めておくべき要素です。 ブログや SNS などの不特定多数に読まれる場合は、知人や自分など誰でも良いので 1 人だけ決めておく方法があります。

ペルソナの設定は、必要性が疑問視されたり、最初から誰にでも伝わるような文章を書けば良いという意見もあります。 しかし、ペルソナの設定を無視して誰にでも伝わるような文章を書いたとしても、結果的に誰にも伝わらない文章になってしまう可能性が高くなります。

データを集める

書く目的と読者のレベルが明確になったら、データをなるべく多く集めましょう。 データは多く集めて、不要なデータはあとで削る方法がもっとも効率的です。 不要なデータかどうか判断に迷ったら、とりあえずストックしておくと良いでしょう。

集めるデータは客観的なデータのみに絞ります。 自分が記憶している情報をデータとして利用する場合、記憶違いや勘違いを起こしている可能性があるため裏付け作業を行いましょう。

例えば、とある店舗を紹介するための記事を書こうとする場合、「スタッフが丁寧だった」、「清潔感があった」などはデータとして使えません。 それらは、自身が感じた主観であり客観的なデータではありません。 なぜ丁寧だと感じたのか、なぜ清潔感があると判断したのか理由があるはずです。 体験談は客観的なデータとして利用できますが、それが丁寧か、清潔かどうかは読者の判断になります。

データを読みやすい順番に構築する

集めたデータは、それぞれバラバラな状態になっています。 まずはデータをすべて箇条書きで書き出すことから始めましょう。 書き出されたデータは、いくつかのグループに分けることができるはずです。 それらのグループが目次を構成するパーツになります。

それらのパーツから章構成を組み立てて、もっとも伝わりやすい目次を作成します。 伝わりやすい文章構成方法には "SDS法""PREP法" の 2 つがよく用いられます。

SDS法

SDS 法とは "Summary(要約)"、"Details(詳細)"、"Summary(要約)" の頭文字を取った文章構成方法です。 最初に結論を伝え、次に詳細、最後に再度結論を述べる構成です。 テレビのニュース番組などでよく使われています。

PREP法

PREP 法とは、"Point(結論)"、"Reason(理由)"、"Example(具体例)"、"Point(結論)" の頭文字を取った文章構成方法です。 最初に結論を伝え、次にその理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を述べる構成です。

スピード重視で書き上げる

目次とデータが用意できたら、次はいよいよ書くステップになります。 ここで重要なポイントは、スピード重視で書き上げることで、完璧を目指さないことです。

文章を書いていると、適切な表現や言い回しに迷ったり、調べ直したり、予定にないデータや章を追加したくなります。 しかし、これらの筆が止まることはすべて無視して、書ききることに集中します。 推敲の段階で見直さなければならないポイントには何かの記号でも付けておき、とにかくスピード重視で書き上げます。

文章のボリュームも考える必要はありません。 文章を速く書くためのコツは、データの収集でも行った "多く書いてあとから削る" 方法がもっとも効率的です。 推敲の段階で多少の手直しは発生しますが、本文を書く前に目次を完成させているため、章構成が大きく変わるような手直しは発生しません。

読みやすい文章を書くためのポイントは、以下の 7 つです。

  1. 一文を短くする
  2. ひとつの段落では内容をひとつだけに絞る
  3. 強調表示を活用する
  4. 冗長な文章は使わない
  5. 肯定文を使う
  6. 受け身の表現を避ける
  7. 読者に伝わる言葉を使う

一文を短くする

文章の一文を短くすることを心がけます。 長くても 60 文字を超えないようしましょう。 もしも、どうしても長くなる場合は、接続詞を使って文章を分割するようにしましょう。

文章を短くする理由は、読みやすさ以外にもあります。 長文の場合、途中で何を伝えたいのかわからなくなってしまい、それだけで読むのをやめてしまう場合があります。

ひとつの段落では内容をひとつだけに絞る

ひとつの段落では、伝えたい内容をひとつだけに絞ります。 段落内に伝えたい複数の内容がある場合は、段落を分割するとわかりやすい文章になります。

段落の冒頭では、この段落では何を伝えたいのか要約した文章にするとより効果的です。 この文章は "トピックセンテンス" と呼ばれ、ロジカルライティングでも使われる手法です。

強調表示を活用する

文章の中で何を特に伝えたいのかを示す強調表示を活用すると、読者にポイントを伝えることができます。 太字、下線、赤字、括弧書き、引用符で囲むなど、読者の注意を引きつける方法はいくつもあります。

冗長な文章は使わない

書かなくても意味が通じる冗長な文章は、使わない方が良いでしょう。 冗長な文章とは、伝えたい内容とは無関係な語・表現、二重否定、同義語・類義語の重複などがあります。

肯定文を使う

文章は基本的に肯定文で構成し、否定文を使うことは避けましょう。 否定文は、読みにくいだけでなく誤解の原因になります。 日本語の文章は文章をすべて読まなければ肯定か否定かわかりません。 そのため、流し読みをした読者が文章の意味を誤解してしまう可能性があります。

受け身の表現を避ける

受け身の表現とは、「~れる」や「~られる」などの表現を指します。 行為者が主語にならず、行為を受ける対象が主語になる文章です。 受け身の表現は述語の主体が明確ではなく、文章として不十分な印象を受けます。

読者に伝わる言葉を使う

文章の内容が正しくても、読者が理解できなければ意味がありません。 誰にでも伝わるわかりやすい言葉を使うことを心がけましょう。

専門用語や、難しいカタカナ言葉、比喩表現、慣用句、四字熟語など、読者のレベルを想定して使い分けることが肝心です。 有識者に対して専門用語を使わず平易な言葉を使うと、かえって冗長な表現になるため注意が必要です。

読みやすく整える

最後のステップは文章を整える "推敲" と呼ばれる作業です。 推敲作業のポイントは、客観的な視点で見直すことです。 客観的な視点とは、"読みやすくする" ことと "わかりやすくする" ことです。

書いたばかりの文章は、自分では客観的な評価をすることはできません。 他者からのレビューを受けるか、文章を寝かせて後日確認すると、客観的な視点で見直すことができます。

推敲作業はトップダウンで行います。 まずは全体的にまとまっているかをチェックし、章単位、段落単位、文章単位と細かく見ていきます。 具体的なチェックポイントとしては、以下になります。

  • 読みやすく、わかりやすい文章構造になっているか?
  • データと整合性が取れており、論理が破綻していないか?
  • 内容に重複している点はないか?
  • 説得力に欠ける点はないか?
  • 意味不明、説明不足な点はないか?
  • 読者に嫌悪感を与える表現はないか?
  • 誤字・脱字はないか?

読者のレベルにもよりますが、わかりやすい文章を書く上で読み手は何も知らないという前提に立ちます。 その前提のもとで、読み進められるような文章を書く必要があります。 難しい専門用語が登場しただけでも読む気を失せる人もいます。 そのため、読者の理解力に頼らないことが重要です。

読者に内容を伝えるということは大変な作業です。 書き手がよくわからないまま書いた文章は、読み手には絶対に伝わりません。 そのため、わからないポイントはそのまま文章にはせず、自分なりに調べて理解してから書かなければ、内容が破綻してしまいます。

まとめ

文章を書けずに思い悩んでいたり、苦手意識を持っている人は大勢います。 それは文才のような才能などという話ではなく、文章の正しい書き方を知らないからです。 なぜなら、日本の教育機関で "正しい文章の書き方" なんて教えてくれないからです。 一方、欧米ではレポート提出の基礎となるため、正しい文章の書き方は比較的早い段階で習います。

裏を返すと、方法論さえ習得してしまえば、誰にでも読みやすく、わかりやすい文章を速く書けます。 これらの方法は意識して練習しなければ身に付かない方法なので、まずはいくつかのポイントを心がけるところから始めると良いでしょう。