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あなたの職場にもいる「困ったちゃん」とうまく付き合うコツ

凸凹夫婦の家庭改革メソッド【3】

現代ビジネスの好評連載を書籍化した『されど愛しきお妻様』。おかげさまで売れ行き好調ではあるのですが、「奇跡の夫婦の物語」と捉えられてしまったことが残念と同時に、もっと実践的な内容も盛り込めばよかった、と反省。というわけで、どんな「すれちがい」のあるご家庭にも応用可能な超・実践的スピンオフ連載待望の第3回です。

*バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/series/daisukesuzuki

中学校の授業とかで教えて欲しかった

また、懺悔から入ろう。『されど愛しきお妻様』の読者、特に大人の発達障害当事者の感想の中には「自分を責められているようで辛かった」との感想が結構あった。確かに本書の前半は、不定形発達のお妻様の扱いに困り果てた僕が彼女にキツくあたってきた過去の描写があり、それは精神的DVの実録と捉えられても仕方ない。

いや、認めよう。実は、お妻様の不自由を高次脳となった僕が受け容れ、家庭内の環境とパートナーシップの改革に至った結果、お妻様の持病だった胃痙攣(年に数度は病院への救急搬送騒ぎになっていた)や主婦湿疹も出なくなってしまった。

やはり僕がしてきたことは、精神的虐待で、お妻様の持病は心因性だったのだと、認めざるを得ない。改めて、ホント申し訳ありませんでした!

けれど、言わせて欲しい。僕だって辛かったもん! 個人事業主の記者業なんて不安定そのものの仕事を続けながら、働いて家計を支えてくれない、家事もしてくれないお妻様で、楽だったはずがない。毎朝起きるとお妻様が床に散らかした物を拾って歩く場所を作り、疲れ果てて帰宅してもシンクの中に突っ込みっぱなしの汚れた食器を洗うところから始めなければならなかった日々は、正直辛かった!

 

けれどこの「大変だった」こそがヒントである。定形発達サイドの僕が「困っちゃったなー」となるポイントは、翻訳すれば「こんなこともできないお妻様で困っちゃったなー」であり、すなわちそれこそが「お妻様のやりたくてもやれない」=不定形発達故に不自由なことそのものなのだ。

僕らみたいな定形発達な人間は、たとえパートナーに何らかの障害があると知っても、「それゆえに彼らは何ができないのか」に思いを馳せることが結構難しい。パートナーに、お子さんに、注意欠陥がありますと聞いて、そうだったんだと知ることはできても、具体的に当事者がその注意欠陥ゆえにどんな不自由を抱えて苦しんでいるのかを理解にまで一息に至れるケースは稀に感じる。

そこでこの逆転の発想なのだ。答えは目の前にある。

障害名から考えるんじゃなく、定形サイドのお困りごとそのものが不定形サイドの障害(ゆえの不自由)だと考える。

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ここに辿り着くまでスゲー苦しい思いしたけど、ほんと、こんなヒントは中学校の授業ぐらいの段階で教えて欲しかったよ……。

さて、では僕は同棲から数えてそろそろ20年近く一緒にいるお妻様の何に「困っちゃったなー」してきただろう? 出会いのころから思い出そう。

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