今注目の原付二種(~125cc)クラス! 各社ラインナップを拡大してきていますが、本当におすすめのバイクはどれなのか? 原付二種クラスのほとんどを試乗インプレッションで乗りつくしたガイドがご紹介します。

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今買うなら原付より「原付二種」スクーター!

庶民の足として人気だった50cc原付スクーターですが、最近では軽自動車や電動アシスト付自転車などに人気を奪われています。50cc原付スクーターの販売は苦戦していますが、逆に人気を伸ばしているクラスがあります。それが原付二種スクーターです。

原付二種とは、50cc超~125ccまでの排気量のモデルのバイク・スクーターを運転できる免許区分です。

街中でピンク色のナンバープレートをつけているバイクを見かけたら、それが原付二種スクーターです(稀に黄色のナンバーの場合もあります)。50cc のスクーターに比べて125cc のスクーターは、二段階右折や30km/h規制がなく、保険はファミリーバイク特約に入ることができるので維持費が安いのが人気のポイントです。

ここでは、今新車で買えるおすすめの車種をみていきましょう。

灯火類は全部LED アイドリングストップやUSB電源も備える ホンダ「PCX」


ここ数年で一番販売台数を伸ばした原付二種スクーターといえば、ホンダのPCXです。

パワー・燃費・環境性能に優れたeSPエンジンを採用しており、灯火類は全てLED。アイドリングストップや携帯電話などの充電ができるUSB電源など装備も充実しており、売れる理由が満載!

タイやベトナムなどでも販売されるグローバルモデルのため、悪路にも対応できる前後14インチタイヤを使用。通勤ライダーの多くが使うリアボックスを乗せるリアキャリアを、簡単に装着できる設計にするなど配慮が行き届いています。

PCXは初期型、eSPエンジンを採用した2型、灯火類を全てLEDにした3型、そして現行の4型が存在します。3型以降は燃料タンク容量が8Lになり驚異的な連続航行距離となりましたので、おすすめは3型以降です。現行のPCXは34万2360円(税込み)です。

原付二種スクーター初のABSを標準装備 ヤマハ「NMAX」


ヤマハが誇る、フラッグシップ・スポーツスクーターT-MAX530を頭としたMAXシリーズの末弟がNMAXです。

最大のセールスポイントは、原付二種スクーターとしては初のABSを標準装備としている点です。ABSはアンチロックブレーキシステムの略で、読んで字の如く急ブレーキなどを掛けた際にタイヤがロックしてしまうのを緩和します。

バイクはタイヤがロックしてしまうとバランスを崩して転倒してしまう可能性があるので、ABSは歓迎したい装備の1つです。さらにエンジンは高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減の3つにフォーカスして設計されたブルーコアエンジンが採用されています。

走りもさすがMAXシリーズだけあって本格派。価格はホンダPCXと比べると若干高い35万1000円(税込み)ですがABS付は魅力的です。

カスタムパーツが豊富で自分流にカスタムできる!ヤマハ「シグナスX」


排気量の大きいバイクに比べるとカスタムパーツが安価で豊富に揃っている125ccスクーターですが、その中でも圧倒的にカスタムパーツが豊富なのがシグナスXです。

スクーターレース界で圧倒的な存在感の有限会社KN企画が採用したマシンがシグナスXだったこともあり、カスタムを楽しむユーザーが多いのが特徴です。

シグナスXは初期型~4型まで存在しますが、カスタムしないと走り出しの加速がややマイルドすぎる印象があり、リアブレーキもディスク化が望まれていました。

4型のシグナスXは待望のディスクブレーキが採用され、出だしの加速もかなり良くなっています。カスタムしないで乗るなら4型シグナスXがおすすめです。価格は31万8600円(税込み)です。

ベースはシグナスX。車で言えばSUVモデルのヤマハ「BW’S125」


BW’S125はエンジン・フレームなどをシグナスXと共用。さらにオフロードのテイストが加えられた原付二種スクーターです。

シグナスXと比べて最低地上高が30mm引き上げられ、タイヤも前後共にワンサイズ幅広のブロックタイヤを採用。フロントフェンダーやナックルガードなどの装備もオフロードバイクを彷彿させます。

中身は共通の部分が多い2台ですが、加速性能を左右するファイナルギアのセッティングが異なり、BW’S125はシグナスXに比べて加速性能重視のセッティングとなっています。初めからリアキャリアが装着されているなど街中での使い勝手は悪くありません。価格は32万9400円(税込み)です。

使い勝手が熟成された大人の1台 ホンダ「リード125」


2013年にリードEXの後継機としてリリースされたのがリード125です。リードシリーズの歴史は古く、初代は1982年に発売。以降は様々な排気量のモデルがリリースされてきました。

リードEXは110ccでしたが、シート下スペースやステップが広く、ノーマルの状態でリアキャリアを備えるなど使い勝手の良いバイクでした。

しかし、走行性能という点では125ccエンジンを備えるほかのバイクと比べると非力な印象がありました。2013年にリリースされたリード125に搭載されていたのはPCXと同じeSPエンジンだったのです。もともとの使い勝手の良さに最高のエンジンを手に入れたリード125。車体の大きさも大人が二人乗りしても窮屈じゃないちょうど良い大きさです。

PCXと比べると装備の派手さはありませんが、質実剛健という言葉がピッタリな大人の原付二種スクーターと言えます。価格は単色が30万9900円(税込み)で、二色のツートンカラーが31万3200円(税込み)です。

原付二種クラス唯一の三輪スクーター ヤマハ「トリシティ125」


フロントが二輪、リア一輪の三輪バイクトリシティは発売時にバイク関係者を驚かせた原付二種スクーターです。

フロント二輪は左右のサスペンションが独立して動作し、車体を倒して旋回することができる機構を採用しています。フロント二輪のインパクトのある見た目もそうですが、発売時には元AKB48の大島優子さんを採用してプロモーションを展開。テレビCMも放映されました。

三輪がもたらす安定感は多くの新しいユーザーの会得に成功しました。価格はABS付が43万2000円(税込み)、ABS無しが39万4200円(税込み)と若干お高めですが、フロント二輪の複雑な機構を備えつつ、この価格に抑えてきたのは驚きです。

この価格でアイドリングストップまで備えた ホンダ「ディオ110」


原付二種クラスは海外でも人気のカテゴリですが、海外の一部の地域では排気量が125ccモデルは高級車。110ccモデルは大衆車として扱われることが多いようです。こういった海外の事情に合わせて価格を抑えてリリースされたのがディオ110です。

ディオ110は現在2代目ですが、2代目から110cc空冷のeSPエンジンを採用しています。初代に比べて走行性能が格段に改善されているのでおすすめとしては2代目。海外の悪路を走行できるようにPCXと同じく14インチタイヤを採用していますが、横幅はワンサイズずつ細いタイヤを採用しています。

インチ数の大きいタイヤを採用すると足を置くステップが狭くなってしまうのがネガティブな要素ですが、走りは安定しています。

価格は23万1120円(税込み)で、特別色は23万4360円(税込み)です。価格はかなり抑えられていますが、荷物を積載するためのリアキャリアを標準装備していたり、アイドリングストップを備えるなど価格のわりに装備は豪華な印象です。

スズキはSEPエンジンだ! スズキ「アドレス110」


原付二種クラスのエンジン開発は各社それぞれ力を入れており、前述したようにホンダはeSPエンジンを開発し、ヤマハはブルーコアエンジンを開発しました。

スズキだって黙ってはいません。スズキが開発したのがSEPエンジンです。燃焼効率を上げ、摩擦などによるロスを低減することで低燃費を実現しているエンジンのことを指しています。

こちらも海外でも販売するグローバルモデルなので、前後共に14インチタイヤを採用しています。足を置くステップボードが狭いのはディオ110と同じですが、ライダーが足をおろしやすいようにステップの左右足元付近を絞り込んだデザインを採用しています。

コンビニフックやリアキャリア、サイドスタンドなど日常の使い勝手はバツグンです。価格はこのクラスでは破格の21万3840円(税込み)です。

空冷125ccのブルーコアエンジン搭載 ヤマハ「アクシスZ」


アクシストリートの後継機としてリリースされたのがアクシスZです。125ccモデルながらシンプルな装備にまとめて価格を抑えており、エンジンには空冷のブルーコアエンジンを搭載。

出力は8.2PS/6500r/minと控えめながら燃費性能に優れており、街乗りならパワー不足を感じることもありません。

タイヤサイズは前後共に10インチを採用し、車両重量は100kgと小柄で軽いのも街中では扱いやすい要因です。それでいてシート下のトランクスペースは37.5Lとしっかりと容量を確保している点も見逃せません。

価格は24万3000円(税込み)と125ccモデルとしてはお得なお値段です。

発売時125cc版モンキーと評された ホンダ「GROM」


楽なスクーターも良いけれど、ギア付でバイクらしい操作を楽しみたいならGROMがおすすめ! 125cc空冷単気筒エンジンに4速マニュアルミッションを組み合わせ、足回りには倒立サスペンションとモノショックを採用するなど走りを意識した本格派です。

エンジンは元々タイで販売されているWAVE125、いわゆるタイカブの物をベースにチューンされたエンジンなのですが、日本で販売されていたモンキーとカブが基本的に共通のエンジンを採用していたことなどから、リリース時には125cc版モンキーとも評されました。

現在は2代目となりヘッドライト回りを中心にデザインを一新。マフラーの取り付け位置なども変更されたことで最近人気のストリートファイター系デザインに近くなっています。価格は35万1000円(税込み)です。

2017年はカブ生誕60周年! ホンダ「クロスカブ」


2017年はなんとホンダのスーパーカブ60周年のメモリアルイヤーでした。様々な形でスーパーカブのメモリアルイヤーを盛り上げるイベントが行われていました。現在、原付二種カテゴリにはスーパーカブ110とスーパーカブ110プロ、そしてクロスカブの3台が併売されています。

スーパーカブ110とスーパーカブ110プロはモデルチェンジしたばかり。以前のモデルが中国生産だったのに対して日本の熊本工場での生産に切り替わり、ヘッドライトが四角いデザインから丸いデザインになり、LED化されました。

実はクロスカブもモデルチェンジの噂があり、2017年10月のモーターショーでは新型のクロスカブが発表されていました。正直クロスカブは今「買い」ではないかもしれません。ただし、クロスカブも中国生産から国内生産になると言われており、値上げは必至。上げ幅は3万から5万円ぐらいになるのでは?と言われています。安く手に入れたいなら今ですが、モデルチェンジを待つのも手です。

お洒落な125ccスクーターならこれ!プジョー「ジャンゴ125」


プジョーといえば車のイメージはありますが、125ccスクーターを製造、販売しているのをご存知でしょうか? モータージャーナリストとして恥ずかしい限りですが私は知りませんでした。しかしプジョーはスクーターを作り始めて120年の歴史があるメーカーなんです。

125ccスクーターというとあまり女性受けしそうなデザインの車種はありませんが、プジョーのジャンゴ125はデザイン的には女性に最もおすすめしたい1台となります。ジャンゴ125には5つのバリエーションモデルが存在しますが、おすすめはスクリーンとフロントキャリアを備え、ツートンカラーが可愛らしいジャンゴ125エバージョンABSです。

名前の通りABS付のモデルで価格は37万440円(税込み)と輸入車にしては抑えているイメージです。

フルサイズネイキッドバイク、ホンダ「CB125R」


見た目は全く125ccクラスには見えないCB125R。それもそのはず。兄弟モデルのCB250Rと共通のフレームを採用しており、タイヤサイズも前後共に17インチの幅広タイヤを採用しています。装備を見てみても、LEDのヘッドライトやラジアルマウントされたブレーキシステムなど、125ccバイクとは思えないほどに豪華な装備となっています。

タンク容量も10Lもあり燃費も決して悪くないので、驚異的な連続航行距離を誇ります。車両重量も見た目ほど重くないので取り回しもラクラク。

ただ、お値段は44万8200円(税込み)と少々お高め。装備を考えると理解できますが、125ccバイクとして考えると高いと言わざるを得ません。

125ccになって帰ってきた!ホンダ「モンキー125」


1967年にデビューしてから2017年まで製造され続けたモンキーは、ホンダを代表する1台と言えます。しかし、厳しくなった排気ガス規制や低迷する50cc市場の影響もありついにカタログ落ち。ファンを大いに落胆させました。

一方、50cc市場とは逆に人気カテゴリとなっている125cc市場にリリースされたのがモンキー125です。大きさが一回り以上大きくなったのでモンキーファンの間では賛否両論ありましたが、個人的には街中のお散歩バイクとしては最高の1台といえると思います。

価格はABS付のモデルで43万2000円(税込み)。50ccのモンキー最終モデルが43万2000円(税込み)だったことを考えると、お値段は据え置き。お値打ちと言っても良いかも?

125ccのスーパースポーツ!スズキ「GSX-R125」


スズキのGSX-Rは、スーパースポーツシリーズとして多くのファンを抱えています。そのGSX-Rシリーズの末弟が125ccスーパースポーツバイクGSX-R125です。その名前に恥じない水冷単気筒DOHC4バルブエンジンは、125ccクラスでは最強クラスの出力を誇ります。

車両重量も軽いので加速性能は文句なし。しかも燃費に優れタンク容量は11L。サイズ的にも意外と横幅が狭いので、原付二種専用の駐輪場にも駐輪が可能です。

お値段も他の125ccバイクと比べると若干高めの38万6640円ですが、装備を考えればかなり抑えた価格設定と言えます。

原付二種は用途にあわせて選びたい放題!

2018年も新型の原付二種リリースの噂は絶えません。特に東京モーターショーで発表されたPCXのハイブリッドモデルは楽しみな1台です。人気のカテゴリだけにメーカーも開発に力を入れているので通勤や通学、ツーリングなど用途にあわせて最適な車種を選ぶことができます。

個人的には通勤用途がおすすめ! 私の場合は電車だと2時間かかる通勤が原付二種スクーターだと1時間かかりません。帰りにちょこっと寄り道するのも楽しめます。

世界が広がる原付二種ライフ。是非はじめてみてください。
(文:相京 雅行(バイクガイド))