冷静で、信じられないほどいい人ですね。たとえば、姉ちゃん(鈴愛・永野芽郁)とお母ちゃん(晴・松雪泰子)がもめると、その場では静かに見守って、あとで両方のフォローをしに行く。アフターケアがしっかりしているんですよね(笑)。姉ちゃんが漫画家になると決めたときも、お母ちゃんが寂しがらないように、草太は名古屋の大学に行くことを決めました。心配になるくらい、本当にいい人です。
年齢を重ねて余裕ができ、宇太郎に似てきた
高校生からアラフォーまでの草太を演じてみて、改めて、どんな人だと感じますか?
ただ、気を遣うことが、無意識に負担になっていた部分もあったはず。姉ちゃんが近くにいない大学時代の草太は、これまでの反動でチャラくなったんだと思います。そのあと就職して落ち着きましたが、アラサーになると、今度はテンションがお父ちゃん(宇太郎・滝藤賢一)に似てきました。姉ちゃんから漫画家を辞めたと聞いたときに、「キャバクラで働いているのか!?」と言った、あの感じです(笑)。年齢を重ねて余裕ができ、オープンになったのかもしれません。
いまでは草太もアラフォーになり、姉ちゃんが岐阜に出戻ってきても、ぜんぜん動揺していません。姉ちゃんの突拍子のなさにも慣れているので、ちょっとは心配しながらも、「やれやれ」という感じだと思います(笑)。
楡野家の一部ともいえる“つくし食堂”を絶やしたくなかった
草太は30代半ばでつくし食堂の店長になりました。店を継ぐことは、いつから考えていたと思いますか?
漠然と昔から考えていたんじゃないでしょうか。思えば草太って、多感な高校時代も含めて、家ではほとんど居間で過ごしていましたよね。漫画を読むときや、宿題をするときでさえ、居間(笑)。本人が意識していたか分かりませんが、家族が大好きなんでしょう。そんな草太なら、楡野家の一部ともいえる“つくし食堂”も、絶やしたくないだろうと思いました。
でも、当時の草太は、夢に向かって突っ走る鈴愛をうらやましく思いながらも、自分のやりたいことは分からない状態だった。つくし食堂を継ぐ義務はないけれど、自分としては嫌ではないし、継ぐ日が来るんだろうなぁ、という感覚でいたと思います。そして実際に店長になり、この店を守ることが自分のやりたいことだ、と思ったのかもしれません。
それで潰れかけの店を行列のできる人気店に変えたんだから、すごいですよねぇ。姉と比べたら無難な人生に見えますが、草太は偉業を成し遂げたと思います(笑)。あの「特製カツ丼」も本当においしいので、ぜひ作ってみてください。
草太には順調に穏やかに歳を重ねてほしい
里子さん(咲坂実杏)と結婚して、息子の大地(田中レイ)も生まれて、草太はプライベートも順風満帆ですね。
里子さんは、優しく話を聞いてくれるのに加えて、言うべきことは言ってくれる人。同じ目線で一緒に前を向ける人だと感じて、草太は好きになったんだと思います。楡野家のハジけた感じとは全然違う、やわらかな雰囲気にも惹(ひ)かれたでしょうね(笑)。
大ちゃん(大地)も本当にかわいいですよ! レイくんは楡野家セットの庭にある砂場がお気に入りで、一緒に遊んでいます。自分の家族同然に思えて、クランクアップがいまから寂しいです。
草太には、このまま里子さんと別れず、大ちゃんを無事に育て、順調に穏やかに歳を重ねていってほしいですね。最終的には、仙吉さん(中村雅俊)みたいな優しいおじいちゃんになってほしいです。……姉ちゃんに落ち着ける日が来るのかは、分かりません(笑)。