第6節 いざ出発
待たせたな。
おはよう、凡人の諸君。
天才の俺は今、最高に気分が良い。
なぜかって?
そりゃあ勇者召喚の儀の日だからさ。
天才パワーで勇者をメロメロにしさえすれば俺の今世の安全は確保され、天才美少女の平和な異世界生活が始まってしまっちゃうんだよな。
よっしゃ!なんかめっちゃハッピーになってきた!
首を洗って待っていろ、凡人の勇者くん。
「とりあえず、着替えないとな…。」
俺は着ていた黒いネグリジェを脱ぐ。
すると、なんということでしょう。
下着が見えてきたではありませんか。
何色だ…?一体何色なんだ…?
ピンク!ピンクだ!
可愛い色の代名詞とも言えるピンクだが、12歳とは思えないほど発達したフォルテ・レインの妖艶な身体付きによって「可愛い」ではなく「美しい」を醸し出しているッッッ!!!
12歳でこんなにも色気を出すなんて、なかなかできることじゃないよ。
さらに驚くべきことに、この下着にはフリルが付いているのだ!
フリル、それは尊いもの。
フリル、それは女性との付き合いが苦手な男性を殺すもの。
フリル、それは…愛すべきもの。
こんなもの、下着に付けたらどうなる?
そんなの…めっちゃエロいに決まってますやん…。
ッ!?フォルテ・レイン、ここで衣服を着た!
これは…ワンピース、ワンピースだ!
トップスは黒、ボトムスは白、相反するはずの2つの色がただ1つの存在をさらなる高みに昇らせるがために協力している…!
その姿はさながら黒の英雄か、はたまた白の英雄か。
おっと、ここで着替え終了です。
以上、実況は天才がお送り致しました。
「よし、準備OK!ふっ、我ながら天才的な着替え実況術だったな…。前世で極めた甲斐があるってもんだ。」
「フォルテ様。お着替えは終わりましたか?」
コンコン、という音とともにドアの向こう側からミリエの声が聞こえてきた。
「ええ、終わったわ。入って来ていいわよ。」
ぜひとも天才的に美しい俺の姿を見てひれ伏すが良い。
「それじゃあ失礼して…まあ!今日は一段とおめかしされてますね!」
「だって、勇者様に見られるかもしれないのよ?見られても恥ずかしくない格好をしなきゃ。」
まあ素材が良すぎるのでどんな格好をしてもめちゃくちゃ美しい訳だが?
しかし、俺は天才だ。
万が一、いや百兆が一にも失敗することはあり得ない訳だが?
より成功率を上げるための努力を惜しまないのが、俺なりの天才流儀だ。
凡人のお前らには分からんだろうがな!
異世界に転移してくるやつなんて女性経験に乏しいと相場が決まっている。なろうで読んだ。
こ〜んなカッコで誘惑してやればイチコロってね。
「それもそうですね。あ、馬車の準備が出来ましたよ。」
「分かったわ。それじゃあ行きましょ。」
優雅にに華麗に大胆にミリエに返事をした後、俺たちは馬車を駐めている屋敷の玄関前に出た。
「気を付けてねぇ、フォルテ。ミリエが付いてるから魔族でも出てこない限りは大丈夫だと思うのだけれど…。」
「大丈夫です、ファンネ様。たとえ魔族が出てこようが、 フォルテ様の『
「私もミリエと一緒だと安心よ。」
おっぱい大きいしな。
「そう、ね…うん、行ってらっしゃい!」
「行ってきます、お母様!」
挨拶を済ますと、いよいよ馬車が走り出した。
フォルテ・レインはクールに去るぜ…。
童貞殺し(ヴァージンブレイカー)