第3節 神託は下った
天才的執筆スピード。
俺が産まれてから11年の時が流れた。
この11年でこの世界のことは大体分かった。
どうやらこの世界は科学ではなく魔法が発展した世界らしい。
前世にあったものは大体が魔法で代用されているので、それほど不自由ではない。逆に前世より技術が進んでいるくらいだ。
まあこんなに語っているものの、未だに1度も家から出たことがないのだが。
過保護すぎるぜ、俺の両親。
そしてさらに重要なことがある。
俺の前世で得た数多の能力が使えなくなったことだ。
どうやら能力は肉体に宿っていたらしい。
もっとも天才の頭脳は引き継いでいるのであまり問題視はしていない。
明日は俺の12歳の誕生日。そしてステータスが分かる日だ。
この世界の人間は12歳になると教会に行き、神託を受けるらしい。それで能力が分かるのだと。
まあ天才的天才スキルを持っているのは確定的に明らかなワケだが。
天才の俺も少々楽しみだ。
「フォルテ様、お食事の用意ができました。」
「ありがとうミリエ。すぐに行くわ。」
見たか俺の天才的淑女パワー。
そんじょそこらの凡人美少女とは比べものにならんよ。
だって私、天才で美少女ですので。
さて、飯を食いにいくとしようか。
俺が住んでいるこの屋敷はかなり広く、そして部屋が多い。おかげで天才の俺も5年くらいは迷子になったものだ。
しかし、今となっては迷わずに食堂に行くなど容易いことよ。
「あら、ようやくフォルテも来たようね。」
「遅くなりました、お母様。少し勉強をしていたもので。」
「勉強熱心関心安心!それじゃあ、」
「「いただきます。」」
トムは仕事で単身赴任中なのでいない。俺は天才がゆえに男より女の方が好きなので、ありがたいことこの上ない。
「ミリエ、今日のメニューは?」
「はい、今朝仕入れてきたばかりの鶏肉を使った『若鶏のハニースープ煮』、お屋敷の畑で採れた新鮮な野菜を使った『シーザーサラダ』、そして旬の果物を使った『フレッシュフルーツバスケット』、以上でございます。」
「ふーん、美味しそうじゃない。」
「そうねぇ!じゃあ早速いただきましょうか。」
まずはサラダから頂こう。
パクッ…!シャキシャキとした食感とこの瑞々しさを活かすドレッシング、それらが互いに主張し合い口の中に表現し難いハーモニーを生み出しているッ…!
まさに味のラグナロクッ…!美味いッ!
次は肉だ。肉は良い。肉は人の心を温める。
それが我が家のメイドの手によってどうなるのか、お手並み拝見といこうじゃないか。
…………待っていたのは楽園だ。肉本来の味が蜂蜜によって溢れ出している。これを楽園と言わずして何というか。
最後は勿論デザートを頂く。…ん?これは…幸せ?幸運?ハッピーでラッキー?俺は今フルーツが彩るオーロラの夢の中にいるッッッッッ!
なんてこった、これじゃあまるでミーの負けじゃないか。
「あらあら、いつ見てもフォルテは幸せそうに食べるわねぇ。見てるこっちまで幸せになっちゃうわぁ。」
「はい、ファンネ様。私もこんなにも美味しそうに食べて頂けると作った甲斐があるってものですよ。」
しょうがないじゃないか。美味しいんだもの。
「「ごちそうさまでした。」」
「お粗末様でした、ファンネ様、フォルテ様。」
「じゃあ、私はこれで。」
「ええ、明日は神託の日なんだから早く寝なさい。」
「はい、分かっています。それでは。」
そう言って俺は自室へと戻る。
「ワクワクが止まらないぜ。天才的に考えて。」
寝て起きたら神託なのだ。ワクワクしないほうがおかしいのだ。
というわけでファンネに言われた通り、今日は早く寝ることにした。
「……………♪」
寝た。
「んー…んっ…はっ!朝か……朝か!」
朝だ!さっさと身支度すませて教会に行くぜ!
テキパキと天才的な指テクで服を着ていく。
ちなみに男物と女物ではボタンを掛ける位置が逆らしい。
この服にボタンはないが。天才豆知識だ。
「お母様、それでは教会に行ってまいります。」
「ええ、気をつけて。それと、初めての外だからってあまりはしゃがないこと!分かった?」
「勿論です!」
天才がはしゃくわけねーだろ。
「じゃあ、行ってらっしゃい!」
「はい!」
教会までは馬車で行く。この天才ボディにかかれば走って2分くらいで着くのだが、真の天才はその力を隠すものだ。なろう小説で見た。
「天才的に眠いな…。」
何を隠そうこの天才は昨日はなぜか中々寝られなかったのである!
なんでやろうなぁ…。
あ、ぼーとしてるとだんだん意識が…。
「フォルテ様、フォルテ様!起きてくださーい!」
この声は…ミリエか。ミリエには初めての外出なので付いてきてもらっている。
「ごめんなさいミリエ、つい…。」
「ははーん、やはり昨日は楽しみすぎて寝られませんでしたか〜!分かりますよ、その気持ち!私も神託の日は全く寝られませんでしたから!」
凡人と一緒するなよ。俺、天才だよ?
「まあ、そんな感じ。」
「いっつもクールなのにキュートな一面もあって…やっぱりフォルテ様は可愛いです!」
「やめてよ、ミリエ。恥ずかしいじゃない。早く中に入りましょ。」
確かに俺がクールでカッコよくて天才なのは認めるが断じて可愛くなどない。なぜなら俺は天才だから、さ。
「早く神託を受けたくて堪らないんですね〜。それじゃあ行きましょうか。」
そう言ってミリエは教会の扉を開けた。
「ようこそ、教会へ。話は聞いているよ、フォルテちゃん。神託の間はこっちだ。」
えらく準備がいいな。俺の天才オーラに当てられたか。なかなか気の利くやつじゃないか。
神父の案内に従って一番奥にある部屋に入って行く。
「ここが神託の間。女神マギエル様によって神託が下される場所だ。さあ、真ん中へ。」
立派な場所じゃないか。俺の天才っぷりには敵わないが。
場所に対する評価はその程度に真ん中へと行く。
「では、目を閉じよ。さすれば神託が下るだろう。」
目を閉じる。すると、頭の中にある情報が浮かんだ。
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フォルテ・レイン 女 12歳 ランク:G
レベル:100000000000000
体力:100/100
魔力:0/0
攻撃:1
防御:1
敏捷:1
ー所持スキルー
レベル上限解放
経験値100000000000000倍UP
天才魔法
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!!!???!!!???
訳がわからんぞ!?レベルは100000000000000もあるのにステータスが最低値!?魔力にいたっては0!?しかもランクGってなんだよ生まれたての赤ん坊でもFだぞ!?Gってなんだよジーニアスか!?
スキルは天才の俺にふさわしいスキルだってのに、このステータスはないだろぉ!?
こんなステータスじゃ世界救うどころか俺が勇者に救われるわ!!!
前世の俺へ
転生したらレベル100000000000000でした。
ステータスは最低値でした。
サインは先着100名までです。