休日が3日もあれば何か作りたくなるのがエンジニアの性。その素材として今夏の新顔と言えるのが、手のひらサイズのPCボード「Raspberry Pi 3 B+(ラズパイ3 B+)」だ。基本性能が強化され、これまで苦手としていた用途も工夫次第でこなせるようになった。
ラズパイ3 B+は、4000円台ながらLinux OSを動かせるArmコアのSoCを搭載するラズパイシリーズ。2018年6月に国内で入手可能になったばかりの最新モデルだ。ネットワークは、有線LANが100BASE-TXから1000BASE-Tのギガビット・イーサネット(GbE)対応に、無線LANがIEEE 802.11nからIEEE 802.11acに、それぞれ強化された。CPU性能は、動作周波数が1.2GHzから1.4GHzに上がった。これにUSB接続の外付けストレージと、ファイルサーバー専用OSを組み合わせると、いわゆるNAS(Network Attached Storage)に仕立てられる。
専用OS「NextCloudPi」で実力を検証
ネットワークとCPUの強化で、従来は手を出しにくかったNASの自作用部品としての魅力が高まった。100Mビット/秒の従来ラズパイでは、Gバイト単位のファイルを扱う際の力不足は否めない。とはいえラズパイ3 B+は、SoCとイーサネットコントローラー間のインタフェースが最大480Mビット/秒のUSB 2.0で、公称で有線LANの実効速度は300Mビット/秒程度としてある。1Gビット/秒のGbEの3割でしかない。実際に、Dropbox風のNASを構築できるLinux OS「NextCloudPi」をインストールして実力を試した。
NextCloudPiは、公式Linux OSの「Raspbian」をベースにしたNAS用OSだ。Webブラウザーからファイルを管理できるGUIを備える。もちろん素のLinuxとしてカスタマイズを加えることも可能で、設定でリモート管理用のSSHサーバーやWindowsのファイル共有プロトコルである「SMB」を簡単に有効化できる。