サマータイムは不可能である

2018年08月10日 14:30

サマータイムについて賛成論はほとんどないが、反対論は山ほどある。特に問題は情報システムの時刻設定で、深刻な事故が発生するおそれがある。これについて立命館大学の上原哲太郎氏のスライドが技術的な問題をまとめているので、紹介しておこう。

大きな見積もり:国・自治体や重要インフラ企業の 業務を支える情報システムの修正は 必要性の調査・予算見積と確保・ 設計・修正作業・テスト・実施まで 含めて4~5年は必要と思われる。民間企業においても最低3年程度は必要。個人家庭においては対応不可能な機器が 相当数発見されると思われるが この買い換えを強制することは困難。

インフラと民間企業での費用負担:重要インフラの調査と対応は少なくとも 3000億円程度は必要と思われる。民間企業における負担も同程度から倍とみるが B2Bはおそらく受託事業者の保守費の中で対応を求められるケースが多々出るため、見かけの負担額以上の経済被害が出る。

家庭におけるサマータイム対応:時刻補正の方法が判らず問い合わせが メーカーや役所・消費者センターに 殺到してその対応コストが大変。時刻補正せず放置すると問題がある場合。夜間電力を利用する前提のエコキュートは 放置しておくと夜間電力時間帯以外の 電力を使用するため電気代が上昇。

「海外は出来ているではないか」:多くの国はこれほど情報機器が普及する前から夏時間に対応しており、多くの機器が夏時間を考慮している。ワンボタンで夏時間に切り替わるなど、そもそも夏時間が習慣として 定着している。先進国で最近夏時間に移行した国はない。

セキュリティ専門家としても 断固として反対:サマータイム対応のために 多数の機器やソフトウェアの 修正プログラムが配布される。これに紛れて 「あなたのXXは修正が必要です」という 偽の修正プログラムが大量に出回る恐れ。

お知らせ:アゴラ編集部では、サマータイムに関するご意見を募集中です。詳しくはこちら。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)
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