スーパーで涼しい眠りを 猛暑の欧州で客に提供
シェリー・ライダー BBCユーザー生成コンテンツおよびソーシャルニュース
あなたが猛暑を愛していようが憎んでいようが、べたべたと暑い夜はなかなかぐっすり眠りにくいという人はかなりいる。
欧州全土を記録的な猛暑が襲っている。しかし、たとえばフィンランドでは、冷房設備のないアパートがほとんどだ。住民はお互い助け合うことで、異例の暑さをしのぐことにした。
フィンランドの首都ヘルシンキにあるスーパーマーケットの店長、マリカ・リンドフォースさんはある時、店内の涼しい場所で一晩を過ごせたらいいのにと、買い物客が冗談を言い合っているのを耳にした。そこでリンドフォースさんは考えた。
リンドフォースさんは3日、ヘルシンキのポフヨイスハーガ地区にある「K-スーパーマーケット」の幸運な顧客100人に店内を開放した。客が自分で寝袋やマットレスを持ち込んで、一晩を過ごすことを許したのだ。
同スーパーのフェイスブックページでは、顧客の家族がスナック菓子コーナーに身を落ち着けて一晩を過ごす動画が公開され、10日時点で50万回以上再生された。
スナック菓子とビールはこの日、午後9時まで買えるようになっていた。
参加した常連客の1人、リイッカ・マンニネンさんは、この体験を「キャンプに来たみたい」だと説明した。
K-グループの小売部門が運営する公式ツイッターアカウントに英語字幕付きで投稿された宿泊の動画も、ツイッター利用者の興味を引き始めている。
定員の100人を超える人が宿泊を希望したため、選ばれない人はがっかりだったが、店長のリンドフォースさんは利用客に泊まってもらえて良かったと喜んでいる。
リンドフォースさんはフィンランドのテレビ局YLEに対し、フィンランド食品安全局(EVIRA)がこのイベントの実施を認めたため、安全と衛生面の問題は調整できたと話した。
K-スーパーマーケットの運営会社は、素晴らしいアイディアはだいたい利用客から出てくるものだと強調した。
芸術活動家のデイビッド・ヨーケンさんは、「#ILoveFinland(フィンランド愛してる)」とだけツイートした。
同じことが他国でもできないかと憶測も生まれている。
チェコ共和国のインターネット利用者「Liunekira」さんは、掲示板サイト「Reddit」に、この企画は素晴らしいアイデアで、もし近くであるならすぐに行くと書き込んだ。
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小売店で眠る企画は、実は新しいものではない。英国のデパート、ジョン・ルイスは、いくつかの店舗限定だが、販売商品で完璧に内装を整えた「ザ・レジデンス」というスペースを設け、顧客に宿泊機会を提供している。
スウェーデンの家具小売店イケアは2016年、未成年が店に忍び込むのを止めるよう警告し、宿泊を禁止した。
書店ウォーターストーンズのロンドンにある支店では2014年、閉店後に残っていた米国人観光客が店内に閉じ込められ、宿泊することとなった。
ただし欧州の一部では、幸いなことに暑さは収まりつつある。冷房がない普段通りの部屋で、いつものように寝られるようになりそうだ。