福島県楢葉町に本社を置く新電力の福島電力が破産したことが分かった。
7月19日に債権者から破産を申し立てられ、福島地裁いわき支部より保全管理命令を受けていた。福島地裁いわき支部は8月8日、破産手続きの開始を決定した。
福島電力は5月18日に正式に新電力事業からの撤退を発表。7月10日をもって、全エリアでの電力の供給を終了している(「福島電力が6月末から順次供給停止、残る契約者の行方」)。
同社の宮川真一社長は本誌の取材に対し、「システムの不備などにより未請求や誤請求が起きてしまい、やむなく新電力事業から撤退することを決め、今後は取次として電気事業に携わることにした」と説明していた。だが、取次としての事業継続は叶わなそうだ。
撤退を決めた時点で、福島電力には約8万の需要家がいた。電力・ガス取引等監視委員会によると、「既に大半の需要家が大手電力や新電力など、他の小売事業者に契約を切り替えた」(取引監視課)という。
既に電力供給を終了していることから、契約切り替え手続きをしていない顧客については無契約の状態となっており、救済措置として一般送配電事業者が電力を供給している。こうした場合は、一般送配電事業者からも小売事業者と新たに契約する必要があることを連絡している模様だ。
今回の破産による需要家への影響は、さほど大きくなさそうだ。しかし、数十社の中小新電力の経営を揺るがす別の問題が発生している。
数十社の中小新電力に届いた「通知書」
7月中旬、複数の中小新電力に「通知書」が届いた。その内容は、「福島電力が未払いのインバランス料金を支払うように」というものだ。
差出人は、新電力支援サービスを手がける日本新電力総合研究所(JEPCO、東京都千代田区)。通知書に記載されている負担金額は、1社当たり数百万円から、多いところでは数千万円に上る模様だ。
福島電力はJEPCOの「バランシンググループ(BG)」と呼ばれるサービスを利用していた。JEPCOからの通知書が届いた中小新電力は、いずれも福島電力と同じく、JEPCOのBGを利用していた。
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