芸術祭からLGBT活動家の写真撤去、マレーシア政府に非難の声
このニュースをシェア
【8月10日 AFP】マレーシア北部ペナン(Penang)州で開催されているアートフェスティバルでLGBT(性的少数者)の権利向上を訴える活動家2人の肖像写真が同国政府の命令で撤去され、非難の声が高まっている。
撤去されたのは毎年恒例の芸術祭「ジョージタウン・フェスティバル(George Town Festival)」に展示されていた2人のLGBT活動家、ニシャ・アユブ(Nisha Ayub)さんとパン・キー・テイク(Pang Khee Teik)さんのポートレート。
トランスジェンダー(性別越境者)のニシャさんはマレーシア国旗を手にし、ゲイのパンさんは肩に国旗をかけ、LGBTを象徴する虹色の旗「レインボーフラッグ」を持って写っていた。
フェスティバルの主催者側は、政府の命令で2人の写真を撤去したことを認めた。イスラム教関連担当のムジャヒド・ユソフ・ラワ(Mujahid Yusof Rawa)首相府相は現地紙スター(Star)に対し、肖像写真がLGBTの活動促進を目的とするものだったため撤去を命じたと語った。
これに対し、活動家たちからはLGBTコミュニティーの「尊厳」に対する攻撃だと非難の声が上がっている。自身の写真が撤去されたニシャさんはAFPに対し、「暴力にさらされているコミュニティーはたくさんある。特にトランスジェンダーの女性たちが狙われる」と語り、今回の撤去がきっかけでレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々への攻撃が増えないか心配だと述べた。
イスラム教徒が多数を占めるマレーシアの当局は同性愛に対して懐疑的な態度を取ることが多く、植民地時代に制定された同性愛禁止法は今も残っている。(c)AFP