現在販売されているVRヘッドセットは、VR空間内の遠近に応じて焦点を合わせることができません。焦点はおおむね2mの距離で固定されています。しかし現実の世界を目で見る際には、近くに物を近づければくっきりと見えるのが自然です。
これに対して「可変焦点」の機能を搭載し、遠近に応じて焦点を変えようとしているのが、Facebook社傘下のOculusが開発を進めている次世代VRヘッドセットのプロトタイプ「Half Dome」です。そして今月開催されるコンピューターグラフィックスの学会、SIGGRAPH 2018にて、別の企業から新しいデバイスが発表されることが明らかになりました。
鮮明なイメージ、VR酔いを軽減
シンガポールのテクノロジー企業Lemnis Technologiesは、SIGGRAPH 2018にて「Verifocal」という名の新たなソフトウェア、ハードウェアを発表すると明らかにしました。ヘッドセットに2つのアイトラッキングカメラを搭載し、リアルタイムで焦点を調節、より鮮明なイメージを実現するということです。
可変焦点が実現すれば、VRにとって多くのメリットがあります。Lemnis自身はこの技術を、目の疲れを和らげ、結果としてVR酔いを軽減するものだとしています。また個人に合わせることも可能なため、普段眼鏡をつけているユーザーも、眼鏡なしにヘッドセットを使用できるということです。
Half Domeよりも実現が近い?
OculusのHalf Domeが視点に合わせてディスプレイの位置を動かしているのに対して、「Verifocal」の仕組みははっきりしていません。しかしHalf Domeの実用化の計画が見えない一方、SIGGRAPHで予定する内容からは、Lemnisのデバイスはリリースが近いという印象を与えます。
Lemnisによると、SIGGRAPHで公開されるデバイスはマイクロソフトのWindows Mixed Reality(MR)ヘッドセットをベースにしたものだということ。セッションの参加者は、評価用キットをオーダーすることが可能です。
(参考)UploadVR