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提供元不明アプリとして提供されるトレンドマイクロのアプリ

 ところが、一部のメディアが7月に報じた記事では、「提供元不明アプリのインストールを許可しない」という対策を挙げていなかった。そうした複数の記事で、取材先として共通で登場していたのがトレンドマイクロだった。

 トレンドマイクロがサイバー攻撃に関する情報を公開する公式ブログでは、6月26日に更新した記事で、佐川急便の不正アプリを画面写真付きで紹介している。その中で、被害に遭わないための対策として挙げているのは「クリックする前によく考えること」「公式アプリストアからのみアプリをダウンロードすること」「認証情報を定期的に変更すること」「端末のOSおよびアプリを定期的に更新すること」の四つだ。さらに、偽サイトに誘導するSMSやメールを見抜くポイントとして、「文法の誤り」「見間違いやすい文字を利用した正規URLへの偽装」「行動を急かすような内容」を挙げている。「提供元不明アプリのインストールを許可しない」を紹介していない。

トレンドマイクロが2018年6月に公開した記事にある不正アプリ対策
出所:トレンドマイクロ
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 この件をとらえて、一部のセキュリティ専門家などが「トレンドマイクロがウイルスバスターを、Android向けに提供元不明アプリとして提供しているからではないか」と指摘した。

 ウイルスバスターはGoogle Play経由でもインストールできる。しかし購入経路によっては、トレンドマイクロのWebサイトからダウンロードしたapkファイルを使ってインストールしなければならない。apkファイルでインストールするときは、提供元不明アプリのインストールを許可する必要がある。

ウイルスバスターのGoogle Play以外からのインストール方法。提供元不明アプリのインストールを許可する必要があると書かれている
出所:トレンドマイクロ
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 トレンドマイクロはこうした事情から「提供元不明アプリのインストールを許可しない」という対策を意図的に挙げなかった、という疑惑がSNSで指摘され、拡散されたようだ。