西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町(まびちょう)では、“プラモの聖地”と呼ばれる店も、閉店を余儀なくされた。全て含めると、店内に並ぶプラモデルや模型などは数十万点。希少価値のある商品を求めて俳優の石坂浩二さんも来店したという名店だが、再建を断念した。開催中の閉店セールには多くのファンが訪れ、別れを惜しんでいる。(尾崎豪一)
「いらっしゃい。いっぱい買って帰って」。玩具店「エラヤ」の店長、団迫(だんさこ)敬郎(けいろう)さん(62)は店頭に立って、訪れた常連客らに気さくに呼びかけていた。
店内に入ると、床はまだ一面の水たまり。戦艦模型やガンダムのプラモデル、戦車のラジコンなどの箱が天井近くまで所狭しと積み上げられているが、全てが泥まみれだ。あまりの光景にファンらは「限定モデルが…」とため息をつきながら品定めを続けていた。
同店は昭和63年にオープン。当初は子供向けの玩具店だったが、団迫さんの趣味や常連客の要望もあり、徐々に玄人向けの品を集め始めた。スズキの人気バイク「カタナ」の西部警察バージョンの完成プラモ(12万8千円相当)や、「陸上自衛隊10式戦車」(4万6千円相当)も。そして2年前、テレビ番組のロケで石坂さんが訪れたことで、プラモの聖地として知る人ぞ知る店となったという。
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