子供時代に、児童文学を読んだ人ならわかると思うのですが、心の深くて柔らかいところに、いつまでも主人公たちは住み続けています。
私はもうアラフォーで、世間でおばさんと呼ばれる年齢になってしまいましたが、心の奥を覗いてみると今でも、100万回生きたねこや、パディントン、だるまちゃんとてんぐちゃんや、プーさん、ピーターラビット、あいうえおうさまや、長くつ下のピッピや、マックスとかいじゅう、がまくんとかえるくん、いろんな児童文学の登場人物たちが手を振っています。
そんな私の心の住人で、私にとっての永遠のお友達、星の王子さまをめぐる「 #銀座ソニーパークださい 」騒動について私の気持ちと私なりの意見をまとめます。
何に対して怒りを覚えているのかわからない人もいると思うので、知ってもらいたいです。
これは私の個人的な考えで、これが正解かどうかはわからないけれど、書きたいように書きます。
- 「 #銀座ソニーパークださい 」騒動とは?
- まず銀座ソニーパークとは?
- なんでみんなが怒ってるのか?
- なんで星の王子さまの隣に自分のイラスト書き足してるの?
- どうして王子さまの星にバオバブの木勝手に植えてるの(描き足してるの)?
- 星の王子さまに興味がなさそうな西畠清順さんに腹が立って仕方ない
- オリジナルストーリーを掲載!?ってもうすでに正気じゃないよ!!
- ところで、西畠清順(にしはたせいじゅん)って誰なの?
- この企画商品の問題点
- ワーナーにメールしてみた
- 最新情報はツイッターにて発信します
- 少しだけ星の王子さまのことにふれた記事です
「 #銀座ソニーパークださい 」騒動とは?
まず銀座ソニーパークとは?
銀座ソニーパークは、間も無く(2018年8月9日)オープンする、2020年のオリンピックイヤーまで限定のプロジェクトで、銀座ソニービル跡地に、公園をつくって、その地下が4階までありそこにお店があるという、なんかわくわくするプロジェクトです。
ソニー面白いことするなあって思ってたし、私は銀座ソニーパークまで徒歩15分くらいのとこに住んでるので初日から行ってレポしてブログ書くんだと楽しみにしていました。
「#銀座ソニーパークださい」騒動の主役は、植物の展示販売店「アヲ」
ここの銀座ソニーパークのテナントの1つである「アヲ」という植物の展示販売店が、「#銀座ソニーパークださい」騒動の主役です。
日本緑化企画株式会社が運営母体で、ホームページトップに記載されている内容は以下になります。
アヲは世界から特別な植物をお届けします。植物と人との関わりがもっと身近で、もっと大切なものになることを願っています。
プラントハンター西畠清順がプロデュースする「アヲ」は、多くの人に世界の植物をお届けしていきます。
プロジェクト第一弾として、銀座 ソニービル跡地に開園するGinza Sony Parkの地上フロアに、「アヲ GINZA TOKYO」を今夏8月9日にオープン予定です。「買える公園」をコンセプトに、世界中から集めた特別な植物でパーク地上フロアが彩られます。訪れた人は銀座の街で、植物を愉しみ、植物を感じ、そして植物を購入することができます。(出展:アヲホームページ)
日本緑化企画株式会社が「銀座ソニーパーク」オープンの目玉として企画した商品がこちら。
「星の王子さまバオバブの苗木」1000個限定発売
「星の王子さま」 バオバブの苗木は、日緑のブランド「アヲ」の商品企画第一弾であり、プラントハンターとして活躍する西畠清順が代表を務めるそら植物園株式会社(所在地:兵庫県川西市、代表取締役:西畠清順)とのタイアップにより生まれた商品です。(プレスリリースより引用)
この商品がプレスリリースされたのが8月3日。
8月5日にこちらのツイートが投下され徐々に拡散。
怒りを覚えた人たちがTwitterで「#銀座ソニーパークださい」とハッシュタグをつけて投稿をして、どんどん怒りの輪が広がってきています。
なんでみんなが怒ってるのか?
「星の王子さま」を知らない人からしたらわかりにくいかもしれないので説明しますね。
星の王子さまとは?
星の王子さまは1943年に発表された、サン=テグジュペリ作の児童文学で、アニメ化、映画化、マンガ化、舞台化などもされ、フランスの50フラン札にも描かれる、大ベストセラー作品です。
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: マスマーケット
- 購入: 24人 クリック: 119回
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砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
なんで星の王子さまの隣に自分のイラスト書き足してるの?
「星の王子さまバオバブの苗木」のパッケージイラストでは、星の王子さまの左となりに、西畠清順らしき人物が描き足されています。
これが、例えば星の王子さまが好きで、自分で描いたイラストを発表するファンアートとかなら誰も文句は言わないし、人気ミュージシャンのアルバムとかで、星の王子さまへのオマージュとして似た構図で写真を撮ったり、連想させるイラストを使用するとかなら許容範囲だと思う(それでも嫌悪感を覚える人はいるかもしれないけど)。
「星の王子さま」という作品を全面に押し出して、「星の王子さま」の知名度で商売してるくせに、何を知らんおっさんが調子こいて、横に並んでるねんと。
なんでおまえの自己顕示欲を「星の王子さま」で満たさなあかんねんと。
しかも原画を使用して、似せたタッチで自分のイラストを描き足してるとか、著作物を著しく改変、改悪したものを、堂々と「星の王子さま」名義でオフィシャルで販売するとか、どうかしてる。
いったい誰が許したのか?
今「星の王子さま」の商標権は誰が管理しているのか?
どうしてこの商品を公式が許可したのか?
Twitterを調べたところ、セラムさんにメールをしてくださった方がいて、どうやらワーナーっぽいんだけど…
※株式会社セラムは、「星の王子さま」の権利管理および関連事業を手がける会社で、星の王子さまミュージアムなどもセラム。ワーナーは映画「リトルプリンス 星の王子さまと私 」の権利会社。
著作権の保護期間は作者の死後70年で、サン=テグジュペリは1944年に没しているので、2014年に著作権は消滅していることになるので、法的にはセーフなのかもしれないけど、こんなもん世界中の「星の王子さま」のファンが怒らない訳がないし、オフィシャル商品としての発売が許されて良いわけがない。
原作を読んだ方ならわかると思うのですが、王子さまの星に人はいません。
王子さまの星には、3つの火山、バオバブの芽、1輪のバラの花しかないと作中に書いてあるのに、何を勝手に作品の設定まで変更しとんねん。
こんなもんオフィシャルで発売したら、ファンならもちろんだし、ファンでなくても、怒るに決まってるやん。
どうして王子さまの星にバオバブの木勝手に植えてるの(描き足してるの)?
これが「星の王子さま」に登場するバオバブの木です。
作中でバオバブの木は「バオバブの惨劇」と形容され、悪い植物として存在します。
なるほど他のすべての惑星と同じように、小さな王子さまの惑星にも良い草と悪い草がありました。だから、良い草の良い種と悪い草の悪い種があったのです。しかし、どちらの種も目には見えません。種のうちのひとつが気まぐれに目を覚ますまで、地中に隠れて眠っているのです。すると種は伸びて、最初は遠慮がちに、弱々しく素敵な小枝を太陽のほうへと向かって伸ばし始めます。これが赤カブや薔薇の小枝であれば、伸びるがままに放っておくことができます。でも、それが悪い植物であれば、見つけるや直ちに引っこ抜かなくてはなりません。そして、小さな王子さまの惑星には恐ろしい種があったのです。それはバオバブの種でした。惑星の土壌にバオバブの種がはびこっていたのです。ところが、バオバブは手遅れにならないうちに対処しなければ、もう決して取り除くことはできなくなってしまいます。惑星全体をふさいでしまい、根という根が惑星に穴を空けてしまうのです。そして、その惑星がとても小さい場合や、バオバブの数があまりにも多い場合には、バオバブが惑星を破裂させてしまうのです。(出展:翻訳書庫)
つまり、作中でバオバブは星に植えてはいけない害樹として登場するのです。
見つけたらただちにひっこぬかないと、惑星全体をふさぎ、地面に穴を開けて、惑星を爆発させてしまう。
原画の3本のバオバブの木は政治的な批判のあらわれで、「ナチズム」「ファシズム」「日本の帝国主義」(ドイツ、イタリア、日本)のメタファーだと言われています(出展:大人のための『星の王子さま』)。
なんでそんなもんイラストで描き足す?
これ、企画した人とか許諾した人たちは「星の王子さまたち」の原作を本当に読んでる?
星の王子さまと関連づけてバオバブを販売することは悪くない。
過去にもこういう商品がありました。(出展:星の王子さまファンクラブ)
王子さまの星を模した植木鉢に、育つバオバブを掘り起こそうとする王子さまのフィギュアがついてる!
きゃ、きゃわゆい…
これは遊び心が詰まった、原作のストーリーに基づいてバオバブを育てることで、物語の続きを描いていくことができる、リスペクトと物語性のある商品だとだと思います。
ここで、もう一度今回の「星の王子さまバオバブの苗木」のパッケージイラストを見てみましょう。
はらわたにえくりかえりますね。
原画に勝手に汚いおっさんを描き足しして、公式で販売するだけでも許すまじなのに、何をバオバブ勝手に描き足してくれとんじゃ〜!
王子さまの星破壊する気かわりゃ〜!
星の王子さまに興味がなさそうな西畠清順さんに腹が立って仕方ない
以下が西畠清順さんが、「星の王子さまバオバブの苗木」について本人のInstagramにて発信した文章です。
赤文字部分が星の王子さまについて触れてる部分で、黒文字が星の王子さまに無関係な文章です。
collaboration with #littleprince
the #baobab made in senegal !今日は、#ワールドカップ #セネガル戦 ですね 。なんとちょうどおととい、#セネガル の#バオバブ 農場から、この夏発売の#星の王子さま と#そら植物園 のコラボレーション、ミニバオバブ挿し木セットの出荷準備ができたと写真が送られてきました。まもなく日本に届きます。
それにしてもセネガルのバオバブを巡る旅が懐かしい…
今夜の試合も、楽しみやーなー
今年は、日本が調子悪いときに#長友佑都 さんが金髪になったときに、「もしかしたらこの人はとてつもなく優しい人なのでは」と思って、それからより一層応援してます。セネガル大好きだけど、日本頑張ってほしい
ちなみに、#ときわミュージアム #世界を旅する植物館 にあるセネガル産の巨大バオバブも見に来てね
あ、このタイアップ商品は、出版大手取次会社、日販さんと作った 新会社、日本緑化企画株式会社から発売しますよ。これから全国の本屋さんからも植物発信してゆきたいなと
looking forward to watching #fifaworldcup #senegal x japan tonight(出展:instagram)
投稿のメインはワールドカップについてで、「星の王子さま」という作品への敬意を一切感じない投稿に憤りを覚えます。
彼が興味があるのは、商売とワールドカップということしか伝わってこない文章だと思います。
本当に「星の王子さま」に興味がないんだな、知らないんだなと。
知らないからこそ、原画の王子さまの隣に自分のイラストを並んで描くなんていう暴挙に出られたんだなと。
星の王子さまは、バオバブを売るための手段かつ、自分の自己顕示欲のための生贄なんだなと。
コラボだかタイアップだか知らんけど、興味がない作品だからって世界観ぶっつぶしても良いことにはならんでしょうが。
オリジナルストーリーを掲載!?ってもうすでに正気じゃないよ!!
パッケージは全4種。通常の星お王子さまバージョンと、オリジナルストーリーを掲載した西畠清順イラスト入りのバージョンを限定発売。(出展:株式会社共同通信社)
イラストは描き足すだけではことたりず、挙句にオリジナルストーリーまで作ってるの?
どこまで踏みにじれば気がすむのかと。
著作物を改変できるのは、著作者だけが持つ権利です。
ただ、前述したように「星の王子さま」は2014年に著作権が消失しているので、違法性はないのでしょう。
が、 70年以上の長きにわたって世界中に愛されてきた文学作品に、バオバブを売るためだけにオリジナルストーリーを付け足すというのは、呆れ果てたエゴ、モラルの欠如としか言いようがありません。
そして、このような行為をオフィシャル商品として発売を許した、ライセンスを保持しているワーナーの神経も疑います。
何をもってして、この商品企画にゴーサインを出したのかが知りたいです。
「星の王子さま」は世界中の人たちに愛され続ける人気作品なので、映画化、舞台化、アニメ化にあたり、ストーリーや設定が原作に忠実ではなかったり、オリジナルストーリーとして描かれたものがあったりと、改変されてきていますが、そのどれもがオリジナルに敬意を払われているし、ファンからはある程度の批判が出ることを覚悟した上で、一人でも多くの原作ファンの理解を得ようとしていることが伝わります。
なんか、「星の王子さまバオバブの苗木」はノリが軽すぎて、商売っ気しか感じられない。
原作への敬意をいっさい感じることができないんです。
まあ、原作に敬意のある人はオリジナルの挿絵にバオバブのイラスト描き足したりしないし、汚いおっさんのイラスト書き足したりしないんだろうけど。
ところで、西畠清順(にしはたせいじゅん)って誰なの?
西畠清順って誰?って思っている人もいると思います。
彼は、「プラントハンター」という肩書きを名乗っています。
彼を時代の寵児にしたのは、2017年のクリスマスに神戸で「めざせ!世界一のクリスマスツリー」というイベント。
富山県氷見市で伐採した自称アスナロの木を神戸に運んでクリスマスツリーとして飾り付けて海沿いのメリケンパークに展示し、その後その木でブレスレットを作るというプロジェクトだったものの、利益目的なんがもろバレでネット上で叩かれ、彼の虚言なども露呈し、プロジェクト中止の嘆願署名が2万人を超えるなど、なんやかんやでネットを中心に大炎上し、新聞などにも掲載されるほど話題になり、企画に携わっていた糸井重里も一緒にメラメラと燃え、ブレスレットを商品化する予定だったフェリシモも撤退し、彼を「商魂そのもの」と称した田中康夫さんを西畠さんが訴えてみたりと、てんやわんやの大騒動となりました。
▼こちらに詳しい記述があります▼
ということで、西畠清順の名前を覚えていない人は多いですが、「しょうもないクリスマスツリーイベントで吊るし上げ喰らった人」「商売っ気露骨に出しすぎて失敗した人」「訴えた田中康夫に鼻で笑われてネタにされてる人」として日本中の人が彼を認知することになりました。
私はこの騒動を、みんなで袋叩きにしてるな〜〜と、対岸の火事のようにぼんやりと見守っていたのですが、火だるまのまま星の王子さまに突っ込んでこられたらたまったもんじゃないよ。
とてもじゃないけど黙ってられないよ。
なんでソニーはこんな人に銀座ソニーパークへの出店(とエクステリアデザイン)をさせたのか、なんでワーナーはこんな人に星の王子さまの公式グッズの認可を出したのか。
この企画商品の問題点
この商品を販売する、日本緑化企画株式会社の母体が「日本出版販売株式会社(通称日販)」という本の取次の最大手の大会社であること、銀座ソニーパークの母体が「SONY」であること、星の王子さまのライセンスを「ワーナー」が持っていること。
関連する会社がどれも超大手で、どこかの会社がこの商品企画に疑問を感じたり、不安を持っていたとしても言い出せなかったことなのではないでしょうか?
そしてネット上で「#銀座ソニーパークださい」が拡散され大炎上しても、見なかったふりをして商品を販売し、早々に切り上げてなかったことにするつもりなのではないかと予想されます。
日本の大企業の良心を見せて欲しい。
ここでどこかの企業が声をあげて商品の販売を中止したら英断として、企業の信頼を取り戻すことができると思うのです。
ワーナーにメールしてみた
ワーナーに問い合わせたところ返事がありました。
私が出したメールが以下になります。
長いですが全文掲載しますね。
星の王子さまの公式グッズ「星の王子さまバオバブの苗木」ライセンスご担当者様
お世話になります。
銀座ソニーパークのテナントの1つである「アヲ」という植物の展示販売店が8月9日より販売する、星の王子さまの公式グッズ「星の王子さまバオバブの苗木」についてお伺いさせてください。
こちらの商品は、原作の挿絵にイラストが描き足されているのですが、これをオフィシャルとして販売することをワーナーが許諾したと捉えても良いのでしょうか?
原作中で王子さまの星に生えてはいけないバオバブの木を、ストーリーに反して商品のパッケージイラストに描き足していることもワーナーが許諾したということなのでしょうか?
また、この商品の発売中止を求めるためにはどのような手続きが必要かを教えていただければと思います。
また、こちらは原作ファン(私)がなぜ憤りを感じているのかをまとめた記事です。
お読みいただければと思います。https://www.teinai.work/entry/thelittleprince
お忙しいとは思いますが、8月9日に銀座ソニーパークがオープンして、これが星の王子さまの名を冠したオフィシャル商品として販売されてしまうのを、どうしても阻止したいです。
何卒9日までのご返答をお願いいたします。
届いた返事がこちら。
8月7日の18時3分に送ったメールに対し、19時24分に返答をいただきました。
誠実な対応だなと思っていたのですが、
このような情報もあり、もし6月下旬に連絡があったものをワーナーサイドはこのような後日連絡しますというメールでやり過ごし、商品を発売してしまおうと考えていたのだとしたら、あまりにも不誠実な対応だなと思いました。
ワーナーが許諾している製品なのかどうかすら返事をしないというのが、ワーナーの対応なのか、この件に関して6月の時点で問い合わせた人を、クレーマーという判断で放置しているのではないかと疑わずにはいられません。
私は9日までの返答が欲しいことを書面で伝えています。
できる範囲での誠実な対応を望むばかりです。
ちなみに、私はメール内でブログにて公開する旨を記載しており、特にいただいた返信について公開を禁じるような記載がない限り全文を掲載しようと思っています。
<8月8日現在返信はありません>
Twitterでこのような連絡をいただきました。
最新情報はツイッターにて発信します
少しだけ星の王子さまのことにふれた記事です
リスペクトがあるってこういうことだなと思います。