Tim Berners-Lee著, 高橋徹監訳
『Webの創成 World Wide Webはいかにして生まれどこに向かうのか』
毎日コミュニケーションズ, 2001. (ISBN4-8399-0287-9)
原著: Tim Berners-Lee, Weaving the Web: The Past, Present and Future of the World Wide Web
by its Inventor. London: Orion Business Books, 1999.
(ISBN0-75282-090-7)
Webは、その証券取引、調査、ネットサーフィンといった多様な側面のおかげで、 すでにかなりの程度まで私たちの生活の一部になりきってしまっている。 このように身近な存在であることが裏目に出て、皮肉なことに、Webとは何であるか がよくわからなくなってしまっているのである。最も幅広く、深い意味合いにおいて Webとは何かを理解しようとするなら、すなわち私や私の仲間たちが共有している ヴィジョンに参加しようとするなら、Webがどのようにしてこの世に現れたのかを 知る必要がある。(p.11)
私はすぐに、今生まれようとしているプロジェクトにつける名前について 考え始めた。... もうひとつの選択肢はThe Information Mine (情報鉱山) だったが、 ... 鉱山という考えは必ずしも的確ではなかった。... これは単に情報を掘り出す だけで、そこに情報を蓄積する意味を表現していなかった。 (p.36)
私が構想していたのは、自分の知識や考えを共有させることが、他人の知識を 学ぶのと同じくらいに容易であるようなシステムであった。... すべての文書を ある意味で「等価」にすることもまた不可欠である。システムはユーザーを制約しては ならない。どの文書についても、それがたまたまどこに保存されていようと、 同じようにたやすくリンクできるようになっていなければならない。(pp.49-50)
Webの背景をなす基本的な原理は次のようなものである。どこかの誰かが、 ひとたび文書、データベース、画像、音声、動画あるいはある程度まで インタラクティブな画面を準備したなら、もちろん使用許諾の範囲内のことだが、 いかなる国のどのようなコンピュータを使っている誰もが、この画面に対して アクセス可能でなければならない。そして、ほかの人たちが見つけることができる ように、リファレンスすなわちリンクをつくれるようにしなければいけない。(pp.53-54)
Webは技術的な創造物というよりは社会的な創造物である。私はWebを技術的な おもちゃではなく、人々の共同作業の手助けとなるような社会的効果を生むものとして 設計した。Webの最終目標は、世界中に散らばっている私たちが織りなしている 網の目のような存在を支援し、改善することである。(p.156)
文書や人などあらゆるものを参照できることこそが、言論の自由という 基本的人権そのものなのである。ハイパーテキスト・リンクを使った 参照は効率的ではあるが、参照以外の何ものでもない。(p.174)
いったん公開されてしまったら、世の中にその情報のアドレスが 出回ったことについて不満をいうことはできない。(p.175)
ウェブページは著作物の公表の一形態です(著作権法第四条 を参照)。ウェブページの作成は、著作物の作成一般と同じく、作成者の主体的な 表現行為であり、その中での他のウェブページへのリンク行為も 例外ではありません。したがって、表現行為一般が表現者の自由意志と良識と 責任とにおいて行われることであるのと同様に、リンク行為はリンクを張る側の 自由意志と良識と責任とにおいて行われるべきことであると、後藤は考えます。
他サイトへのリンクは一般に言及もしくは参照の一種です。リンクをたどる 際に読者はリンク先にあるリソース自体をアクセスするのですから、引用では ありません。したがって、リンク行為は一般に著作権法上の問題ではありません。 これは公刊された書籍を話題にして会話したり、感想文や書評を書いたり、 あるいは参考文献として挙げたりすることが著作権法上の問題ではないのと 同様です (参考文献7、 参考文献10の1997年5月22日参議院文教委員会における政府側答弁、 参考文献11の Ticketmaster Corp. v. Tickets.com訴訟の判決要旨、 参考文献12のWorld Wide Web Consortiumの見解 を参照)。
なお、「リンク」とはHTML文書中で<a>要素(ないし<link>要素や <area>要素)にhref属性を用いてURLを指定している場合のことです。 <img>要素等にsrc属性によってURLを指定している場合は リンクではありません。そもそも、『HTML 4.01仕様書』において前者は 12 Links (私的日本語訳: 12 リンク) で扱われるのに対して、後者は 13 Objects, Images, and Applets (私的日本語訳: 13 オブジェクト、画像、アプレット) で、つまり別々の章で扱われています。説明によれば、前者はあるHTMLファイル (始点)から別のリソース(終点)へ繋がり(connection)をつけるものであるのに 対して、後者はあるHTMLファイルに別のリソースを含める(include)ものです。 この違いは重要です。 後者の要素を使って、読者の意思の介在を待たずに他サイトのリソースを 自サイトのページの中に取り込む形で利用するとすれば、引用ないし転載を 構成する可能性があります。 また、<frame>要素や<iframe>要素 (仕様書: 16 Frames, 私的日本語訳: 16 フレーム) を用いることも、様態によっては読者に誤解を与える可能性があります。例えば、 他サイトの画像を自ページの中に表示させたり、フレーム内に他サイトのページを 表示させたりすれば、著作物全体を引用(あるいは転載)していることになっている ように思えます。しかし、このような場合と、単に「繋がり」をつけているだけの <a>要素等を用いた通常のリンクとを、考慮にあたって混同すべきでは ありません。
リンク行為を公衆送信権の代行と見做す考えを取る人もいますが、後藤は これも当たらないと考えます。リンク元はリンク先のURLを指示しているだけ であり、リンクをたどる際にはブラウザ側とリンク先との間に直接の接続が 確立されるからです。公衆送信権の代行と言うなら、むしろ技術的にはProxyの 機能こそそれに当たるでしょう。しかし、Proxyの利用はすでにWWW(あるいは インターネット)のしくみの一部として認知されており、これに異を唱える声は 聞かれません。したがってリンク行為を公衆送信権を根拠として制限しようと するのは、まったく不当です。
もちろん表現行為者の責任の中には、他者の人格権・財産権を侵害しない ように努めることも含まれます。しかし、これは表現行為一般についていえる ことであって、特にリンク行為のみにかかわることではありません。 あるウェブページがすでに公開されたものであれば、それに対してリンクを張ることは そのページを一層周知させることにほかならず、この行為自体によっては元の ページの著作者の人格を傷つけることにはなりません。被リンク側のページの 著作者の人格を傷つけるとすればそれはリンクの周辺の文脈が批判的で あるためでしょうが、それはかりにリンクが張っていずにURLが単にテキストとして 書かれていたとしても、あるいはURLなしで「××のホームページ」とのみ 言及されていたとしても、そしてまた、ネットワーク外の現実世界における その人の人格や言動が批評されていたとしても、事情は同じはずです。 ここに名誉毀損・侮辱等の違法または不法な行為が関わるとすればその行為自体が 非難されるべきであって、それはリンクの有無とは無関係です。
なお、「このページには自分の他のどのページからもリンクを張っていないから、 これは公開してはいない」と考えている人もいるようですが、それも間違いです。 そもそも、WWWサーバの所定のディレクトリに所定の形式のファイルを すべての人にread許可を与えたままで置くことは十分に能動的な 行為であって、WWWが定義によってworld-wideなwebである以上、当該の ファイルが世界中からアクセスされることを受け入れたと、すなわち、それを 世界に向けて公開することを宣言していると、解すべきです(著作権法第四条2および第二条九の五を参照)。たとえそのページの URLをだれにも知らせなかったとしても、偶然によってあるいはサーチエンジンの ロボットによって知られることになるのは時間の問題です (参考文献8を参照)。なお、当て推量のURLを 入力してみることは違法なクラッキング(いわゆる「ハッキング」)では ありません (参考文献5のエピソード、 不正アクセス禁止法を参照)。 もしあるページを本当に非公開にしたいのであれば、イントラネット内に 置くなり、アクセス制限やパスワード設定をするなりして、そのために必要な 技術的手段を講じるべきです。
被リンク側の著作者は、「下位のページに直接リンクを張られては自分の 意図と違った順番で読まれることになり、それでは困る」と言うかもしれません。 しかし、人は本を必ず1ページ目から読まなければならないものでしょうか。 実際、私は「あの本は第3章から読むのがいいよ」と言って人に本を薦めた ことがあります。これももしかすると、著者の人格を少し軽んじたことに なるのかもしれません。 しかし、かりにそうであるにしても、それを上回る自由が読者の側に 与えられているというべきではないでしょうか。現に、参考文献をあげる際に 特定のページまで指定するのは、ごく普通のことです。つまり、印刷・製本 された書籍でさえ、著作者が読者に読む順序を押しつけることはできないのです。 まして、Hypertextであるウェブページに一定の読む順序を押しつけようとするのは、 Hypertextの定義に反するのであり、著作者の側のエゴとさえ言えるのでは ないでしょうか (参考文献4を参照)。
ウェブのユーザビリティの観点からしても、必ずサイトのトップページを 経由しなければならないという主張こそ、読者に対してむしろ不親切であり、 したがって不合理です。 読者はトップページから必要な情報のあるページに簡単にたどり着くことが できるとは限りません。必要な情報のある下位のページに直接リンクを 張って誘導する方が読者に対して親切であることは明らかです。もし、直接 下位のページに誘導された読者が注意書きなどを読み落とす恐れがあって不都合だ、 と考えるのであれば、ウェブサイトの著作者は、各ページが当該サイト全体の 中でどういう位置づけにあるかを読者に明示すればいいのですし、 必要ならば積極的にそうすべきです (参考文献2、 参考文献9を参照)。
結局、閲覧に制限のないウェブページに対してリンクを張ることを 禁止あるいは制限することができるとする主張には、合理的な根拠はありません。 すなわち、公開されたウェブページへのリンク行為はリンク先のページの 著作者の権利をなんら侵害するものではありませんから、 リンクはリンクを張る側の自由意志と良識と責任とにおいて行われる べきことです。あるウェブページにかりに「リンク禁止」という表示があった場合、 それはリンクを張ろうとする側にとって自分の良識に基づいて判断するための 一つの材料にはなりますが、何ら強制力をもつものではありません。 むしろ、「リンク禁止」の表示は そこにリンクを張ろうとする人の表現の自由を侵す可能性があるとさえ言えます (参考文献4、参考文献6、 参考文献7、参考文献8を参照)。
このような考えが正しいことは、ファイル単位で全文検索する強力な サーチエンジンの出現 ( goo 1997年3月、 Google 1998年9月, 日本語版2000年9月) によって、確証されたと言うことができます。
自分のウェブページに勝手にリンクを張られることを好まない人はいます。 確かに個人が趣味で作るウェブページに対して本人の意思に反して批評を 加えることやリンクを張ることは、もしかすると、その場にいない人の噂話を するのと同程度にエチケットに反する行為であるのかもしれません。 しかし、著作物を公開する行為は責任を伴うことであって、一般の批評に さらされることもそのうちに含まれると考える方が、むしろ妥当性があります。 とりわけ、学術組織あるいはその一員が学術研究を主目的として作る公開の ウェブページは、学術情報一般がそうであるのと同様に、明らかに相互の自由な 批評の対象となるべきです。また、多少とも公的な性格を持つ団体のページも 同様であると思われます。
そのような性格を持つウェブページは、一旦公開した情報に関して一部の人には リンクを許すが他の人にはリンクを許さないなどということがあるとすれば、 むしろそのことこそ道義的に許されない、あるまじき行為であると思います。 また、リンクを張る際になんらかの行為を行うようにとの条件をつけることも 同様です。(もちろん、非公開情報はその限りでありません。 そのようなものは最初からウェブ上に載せるべきでないか、適切なアクセス制限・ パスワード設定などの技術的な手段によって、閲覧を制限して保護すべきです。 不正アクセス禁止法を参照)。
それゆえ、後藤は、公開されているウェブページへのリンクは 事前に包括的に許諾されているものとし、個別に被リンク側からの許諾や 了承が必要だとは考えません。他サイトの画像を自分のページに読み込むことや 他サイトのテキストをフレーム内に読み込むことであれば、それは著作物全体の 引用にあたり、著作権者の許諾を得る必要があるでしょうが、上述のように これはリンクとは別の行為であり、また、後藤はこのような行為は行いません (参考文献3を参照)。
同様に、後藤の各ウェブページに対するリンクも、公開された他の全ての ウェブページへのリンクと同様に、リンクを張る側の自由意思と良識と責任とに ゆだねられています。 なお、リンクを張る際には「東北大学の後藤斉による」と付記して頂ければ 幸いです。
ちなみに、後藤のホームページ、 「国内言語学関連研究機関WWWページリスト」、 「国内人文系研究機関WWWページリスト」、 その他後藤のウェブページのどれかには、 「リンクの世界―後藤のページにリンクを張っている(らしい)ページ」に 挙げた諸ページからリンクが張られているものと思われます。
リンクを張ったことを通知する行為は場合によって推奨されます。 ウェブページは相互に有機的に関連を結ぶことによって、単独で存在するときの 何倍もの価値をもつものであり、このような有機的な結びつきにつながる 行為は大いに望ましいことです。したがって、リンクを張った側がこのような ウェブサイト同士の結びつきを望む場合には、通知すればよいでしょう。 しかし、通知は義務ではありませんし、被リンク側がリンク元に要求できる性格の ものでもありません。また、リンク行為が表現行為の一種である以上、 リンクの維持はリンク側の責任で行うことであって、被リンク側には URLの変更があったとしてもそれを通知する義務はありません。
公開されたウェブページに対する言及・紹介は、口頭であれ、印刷物であれ、 ネットワーク上であれ、著作権侵害や名誉毀損、侮辱、プライバシーの侵害等を 伴わない限り、言及する側の表現の自由に属することがらであって、言及する側の 自由意思と良識と責任とにゆだねられており、言及される側の許可を必要としません (参考文献4、参考文献8を参照)。
後藤の各ウェブページに対する印刷媒体その他での言及・紹介も、好意的なものに せよそうでないものにせよ、公開された他の全ての著作物に対する言及と同様に、 言及する側の自由意思と良識と責任とにゆだねられています。ただし、できれば 「東北大学の後藤斉による」旨の表示をお願いします。 印刷媒体の場合は、事後で結構ですので、ご連絡いただければ幸いです。 なお、その際、印刷物のコピー(表紙、奥付等出版物の同定に必要な部分を含む)を お送りいただければなおありがたく存じます。
ちなみに、後藤のウェブページ ( URL:http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/ 以下のいずれかのページ) はこれまでに「後藤のページへの印刷物での言及・紹介」に挙げた印刷物において言及・紹介 されました。
言及・紹介に伴って引用することも、著作権法第三十二条で 認められているとおり、引用する側の自由意志と良識と責任とにゆだねられて います。ただし、同条の規定により、公正な慣行に従うことが求められます。 「公正な慣行」とは、おおむね、(1)必要最小限の量を、(2)全体に対して 引用部分が従になるように利用し、(3)出所を明示し(著作権法第四十八条を参照。著作者名の表示を含むことに注意)、(4)引用部分が他の部分と はっきり区別できるようにする、が要件になるでしょう。
WWWの利用に伴い通常必要になると了解されている範囲(cacheなど)を越えて 著作権者に無断で複製を作成すること(電子的なファイルのコピー、プリントアウトを 含む)は、著作権法第三十条以下の条項で認められた場合を 除いては、著作権法第二十一条において著作者に専有が 認められている複製権を侵害する違法な行為です。なお、「複製」とは、 著作物の一部(正当な引用を逸脱する場合)である場合も含まれます。 ウェブページ、特にリンク集の著作権についてはKristina Pfaff-Harris氏による Copyright Issues on the Webもお読みください。
リンクを張ったからと言って、リンク先のデータ自体をコピーするわけでは ないし、リンク先にジャンプした利用者は、リンク先のホームページを見て いるだけなのですから、リンクを張ること自体が著作権侵害になるとは 考えがたいと言わざるを得ません。
インターネット上のWWWは、リンクを張り巡らすことによって、世界中の 情報を有機的に関連付けようという思想に根ざすものであって、リンクを 張ること、張られることは、もともとインターネットの特性として折り込み 済みであるように思われます。
Linking to context
A major difference between writing part of a serial text, and an online
document, is that your readers may have jumped in from anywhere. Even
though you have only made links to it from one place, any other person
may want to refer to that particular point, and will so make a link to
that particular part of your work from their own. So you can't rely
on your reader having followed your path through your work.
Of course if you are writing a tutorial, it will be important to keep the
flow from one document to the next in the order you intended for its
primary audience. You may not wish to cater specially for those who
jump in out of the blue, but it is wise to leave them with enough clues
so as not to be hopelessly lost.
Normal hypertext links do not of themselves imply that the document
linked to is part of, is endorsed by, or endorses, or has related
ownership or distribution terms as the document linked from. However,
embedding material by reference (sometimes called an embedding
form of hypertext link) causes the embedded material to become
a part of the embedding document.
The intention in the design of the web was that normal links should
simply be references, with no implied meaning.
Images, embedded objects, and background sounds and images are by
default to be considered part of the document.
リンク先が当該ホームページのトップ・ページでなければならないというような ルールは、合理性がありません。仮にこのようなルールに合理性があるとすれば、 新聞、雑誌、学術論文を含めたすべての媒体上のすべての引用・参照や編集等が 不可能となってしまう危険性があります。
このような意味での編集や参照・引用等がインターネット上でなされる場合、 伝統的な紙文化と同様の意味でのテキスト表示の形式をとることもあるでしょうが、 インターネット文化に特有のリンクという形式をとることもあるでしょう。 しかし、そのいずれもが自由でなければなりません。これは、世界の大半の国で 承認されている基本的人権としての自由な言論、報道、著述、編集、評論、 学術研究等を守るために、必要不可欠なことです。
その部下は、その日バークシャーのサイトに行ってみた。もちろん、土曜日に 公開されるとのアナウンスがあるだけで「会長からの手紙」はなかった。しかし、 彼はそれで諦めずに、インデックスページを示すURLの末尾を「/annual.html」と 変更してリターンキーを押してみた。
大当たり! 「会長からの手紙」はリンクこそ張っていなかったが、すでにウェブ サーバーにアップロードされていたのだ。リッチ副編集長は「まず、これがコンピュータ ハッキングかどうか自問した」という。
本紙の編集長も驚くとともに「これはハッキングではないのか」との疑問が出たと いう。しかし2人はそれぞれ検討し、「公開されたサーバー上にあるデータであり、 その入手方法は、ハッキングというにはあまりに幼稚すぎる」ということで一致した。
また社内の弁護士にも「何かコメントはないか」と連絡を入れた。ところが、 法務担当者は「おれにコメントを求める暇があれば、さっさとウェブに載せることだ」と 即答してきたという。…
Q1.「リンク禁止」や「引用厳禁」と明記してあるサイトに無断でリンク したり、引用した場合、何か法的な問題が起こるか。
A1.セミナーでお話ししましたように、著作権法で引用とか転載が認められる べき要件さえ満たしておれば、「引用禁止」と書いてあっても、それに反してする ことができると考えています。
「リンク禁止」は「引用禁止」とはちょっとタイプの問題が違いまして、 リンクを張ることには同意はそもそも要らないわけなので、「禁止」と書いて あろうが、それは勝手にすることができるというのが原則です。
結論を先にいえば、リンクを張ることは、単に別のホームページに行けること、 そしてそのホームページの中にある情報にたどり着けることを指示するに止まり、 その情報をみずから複製したり送信したりするわけではないので、著作権侵害とは ならないというべきでしょう。
「リンクを張る際には当方に申し出てください」とか、「リンクを張るには当方の 許諾が必要です」などの文言が付されている場合がありますが、このような文言は 法律的には意味のないものと考えて差し支えありません。
第一に、ハイパーリンクは場所の指定以外の何者でもなく、口頭で「どこそこに 何がある」と伝えるのと変わりがない。そうすると、ハイパーリンクに倫理的問題が あるとするなら、口頭で「どこそこに何がある」と伝えた場合とそれほど変わらない ことになるだろう。
第二に、サーチエンジンの事例から明らかなように、場所の指定さえしなくても ハイパーリンクが自動的に生成されてしまう場合がある。この場合、ハイパーリンク 先のHTML文書の内容を知っている者は誰もいない。そのハイパーリンク先の文書 そのものがもはや存在しない場合さえある。誰かの責任を問うと言うことはできない だろう。将来的には、相手先のサーバーへの負荷が無視できるほどに一般の サーバー性能があがれば、サーチエンジンのように自動的にハイパーリンクを 生成する個人向けのツール類が登場することも考えられる。
第三に、ハイパーリンクをあるHTML文書に張りたい場合、その管理者に許可を 求める必要は必ずしもない。ハイパーリンクは場所の指定にしかすぎないので、 ハイパーリンクを張る場合に許可が必要なら、口頭でURLを伝える場合も許可が 必要になる。これはいかにも不合理である。また、口頭でURLを伝えることも 規制するということは、閲覧者を規制しようとすることであって、適当な アクセス制限を設けないでハイパーリンクを無断で行うことを禁止するのは 無理がある。
第四に、間接的なハイパーリンクの内容を確認する義務を課すような法や規制は 不合理である。というのは、ハイパーリンク先の内容を常に確認することを文書の 管理者に強いることになるし、ハイパーリンクによってインターネット上のリソースを 簡単に渡り合えると言うインターネットの利点を否定することになるからだ。 インターネットの十分な利用を阻害しかねない。
もちろん、ハイパーリンク先のHTML文書やリソースによって、閲覧者が不快に 感じたり、何らかの被害を受けないよう配慮することは、推奨されるべきことだろう。 また、未成年者の閲覧者を配慮することも推奨されるべきことだと考えられる。 しかし、こうした配慮を怠ったとしても、すでに見たように、これはせいぜい 倫理的非難の対象となるだけであって、法的処罰の対象となると考えるのは 不合理な面がある。
そして、あくまでもハイパーリンクを張ることそのものには、口頭でなにか 情報や物の所在を伝える以上の倫理的問題は含まれないし、間接的なハイパーリンクに 関してまで何らかの義務を負わせようと言う法律・規則は不合理である。 閲覧者に対する配慮を議論する場合にも、この認識が前提となるだろう。
Links that go directly to a site's interior pages enhance usability because, unlike generic links, they specifically relate to users' goals. Websites should encourage deep linking and follow three guidelines to support its users.
A website is like a house with a million entrances: the front door is simply one among many ways to get in. A good website will accommodate visitors who choose alternate routes.
サイト内部のページに直接誘導するリンクによって、ユーザビリティは向上する。 一般的なリンクと違って、ユーザの目的に特別な関係を持っているからである。 ウェブサイトは直リンクを推奨すべきであり、ユーザをサポートする上では 3つのガイドラインに従うべきだ。
ウェブサイトとは、入り口が100万個ある家のようなものである。 表玄関は、たくさんある入り口のひとつに過ぎない。優れたウェブサイトなら、 別ルートを選択した訪問客にも対応できるはずだ。
それぞれのリンク先のサーバーにおきまして、今回の改正にございますような 自動公衆送信し得る状態にあるわけでございます。それはですから、AからBに 飛んでいくことについても、Bの方も既にサーバーにアップロードされている 情報でございますし、Aの方もアップロードされている情報でございます。 逆に、BからAに飛ぶことももちろんできるわけでございます。これはたまたま ホームページの表示をするためのデータの中に他のホームページの情報も 入れておくということにすぎないわけでございまして、この段階で例えば 複製権が働くとか、そういった形での著作権法上の利用行為には該当しない のでございます。
したがいまして、リンクを張る行為自体は現行の著作権法上も、この改正を もしお認めいただいた新しい著作権法の上におきましても自由に行われるもので ございまして、リンク先のホームページ作成者の許諾というのは不要だというふうに 私どもは考えておるところでございます。
In his ruling, Hupp concluded "hypertext linking does not itself involve a violation of the Copyright Act.... since no copying is involved."
Hupp went on to describe the process of hypertext linking: "The customer is automatically transferred to the particular genuine Web page of the original author. There is no deception in what is happening. This is analogous to using a library's card index to get reference to particular items, albeit faster and more efficiently."
Such hypertext linking, therefore, does not involve the reproduction, distribution or preparation of copies or derivative works. Nor does such linking constitute a "...display [of] the copyrighted work publicly...," as the web page called up by the user is the original web page created by the author.
The conclusion is that any attempt to forbid the practice of deep linking is based on a misunderstanding of the technology, and threatens to undermine the functioning of the Web as a whole. The two chief reasons for this are:
- A Web Address ("URI," or "URL") is just an identifier. There is a clear distinction between identifying a resource on the Web and accessing it; suppressing the use of identifiers is not logically consistent.
- It is entirely reasonable for owners of Web resources to control access to them. The Web provides several mechanisms for doing this, none of which rely on hiding or suppressing identifiers for those resources.
参考文献に挙げたもののほかに参考になるウェブページ。
第十九条 すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。 この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由 並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、 情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第十九条 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、 口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法に より、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、 受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、 この権利の行使については、一定の制限を課することができる。 ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために 必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第一章 総則
第一節 通則
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著 作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用 に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与するこ とを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めると ころによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術 又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
三~七 [略]
七の二 公衆送信 公衆によって直接受信されることを目的として無線通 信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置 の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の 占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるも のによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行う ことをいう。
八 放送 公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることを目的 として行う無線通信の送信をいう。
九 放送事業者 放送を業として行なう者をいう。。
九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によって同一の内容の送信が同 時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。
九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。
九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に 行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により 自動公衆送信しうるようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信 装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記 録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において 「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力 される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。) の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を 当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情 報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒 体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信 装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に 供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、 送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合に は、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
十~十の二 [略]
十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、 それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的 に構成したものをいう。
十一~十四 [略]
十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製す ることをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものと する。
イ~ロ [略]
十六~十八 [略]
十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、 又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている 著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の 著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。
二十以下 [略]
2~4 [略]
5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。
6~9 [略]
(著作物の発行)
第三条 著作物は、その性質に応じ公衆の要求を満たすことができる相当程度の 部数の複製物が、第二十一条に規定する権利を有する者又はその許諾(第六十三条 第一項の規定による利用の許諾をいう。第四条の二及び第六十三条を除き、以下 この章及び次章において同じ。)を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を 受けた者によつて作成され、頒布された場合(第二十六条、第二十六条の二 第一項又は第二十六条の三に規定する権利を有する者の権利を害しない場合に 限る。)において、発行されたものとする。
2~3 [略]
(著作物の公表)
第四条 著作物は、発行され、又は第二十二条から第二十五条までに規定 する権利を有する者若しくはその許諾を得た者によって上演、演奏、上映、公衆 送信、口述、若しくは展示の方法で公衆に提示された場合(建築の著 作物にあっては、第二十一条に規定する権利を有する者又はその許諾を得 た者によって建設された場合を含む。)において、公表されたものとする。
2 著作物は、第二十三条第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を 得た者によって送信可能化された場合には、公表されたものとみなす。
3 二次的著作物である翻訳物が、第二十八条の規定により第二十二条から 第二十四条まで若しくは第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する 者若しくはその許諾を得た者によって上演、演奏、上映、公衆送信若しく は口述の方法で公衆に提示され、又は第二十八条の規定により第二十三条 第一項に規定する権利と同一の権利を有する者若しくはその許諾を得た者 によって送信可能化された場合には、その原著作物は、公表されたもの とみなす。
4 美術の著作物又は写真の著作物は、第四十五条第一項に規定する者によ って同項の展示が行なわれた場合には、公表されたものとみなす。
5 著作物がこの法律による保護を受けるとしたならば第一項から第三項ま での権利を有すべき者又はその者からその著作物の利用の承諾を得た者は、 それぞれ第一項から第三項までの権利を有する者又はその許諾を得た者と みなして、これらの規定を適用する。
第二章 著作者の権利
第一節 著作物
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 [略}
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 [略]
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該 当しない。
3 [略]
(編集著作物)
第十二条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材 の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を 及ぼさない。
(データベースの著作物)
第十二条の二 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって 創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の 権利に影響を及ぼさない。
第三節 権利の内容
第一款 総則
(著作者の権利)
第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する 権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規 定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
第二款 著作者人格権
(公表権)
第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで 公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、 又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても 同様とする。
(氏名表示権)
第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若し くは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を 表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の 公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とす る。
2 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物 につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができ る。
3 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であ ることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反 しない限り、省略することができる。
4 [略]
(同一性保持権)
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、そ の意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)又は第三十 四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他 の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
二 [略]
三 [略]
四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に 照らしやむを得ないと認められる改変
第三款 著作権に含まれる権利の種類
(複製権)
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場 合にあっては、送信可能化を含む)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する 権利を専有する。
第五款 著作権の制限
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」 という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使 用すること(以下「私的使用」という。)を目的とする時は、次に掲げる場合を 除き、その使用する者が複製することができる。
一~二 [略]
(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合に おいて、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、 研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならな い。
2 国又は地方公共団体の機関が一般に周知させることを目的として作成し、そ の著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに 類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載するこ とができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでな い。
(学校その他の教育機関における複製)
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。) において教育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的と する場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製すること ができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照 らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
(翻訳、翻案等による利用)
第四十三条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、 当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用す ることができる。
一 第三十条第一項又は第三十三条から第三十五条まで 翻訳、編曲、変形又は 翻案
二 第三十一条第一号、第三十二条、第三十六条、第三十七条、第三十九条第一 項、第四十条第二項第四十一条又は第四十二条 翻訳
三 [略]
(出所の明示)
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、そ の複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなけ ればならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、 第三十七条第一項若しくは第三項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を 複製する場合
二 [略]
三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第 三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条 の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。
2 前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び 当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作 者名を示さなければならない。
3 第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して利用 する場合には、前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなければなら ない。
(複製物の目的外使用等)
第四十九条 次に掲げる者は、第二十一条の複製を行ったものとみなす。
一 第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条、第三十七条第三項、 第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める 目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作 物の複製物を頒布し、又は当該複製物によって当該著作物を公衆に提示 した者
二 第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存し た放送事業者又は有線放送事業者
三 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された著作物の複製 物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を頒布し、又は当該 複製物によって当該著作物を公衆に提示した者
四 第四十七条の二第二項の規定に違反して同項の複製物(次項第二号の 複製物に該当するものを除く。)を保存した者
2 次に掲げる者は、当該二次的著作物の原著作物につき第二十七条の翻訳、 編曲、変形又は翻案を行ったものとみなす。
一 第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条、第三十七条第三項、 第四十一条又は第四十二条に定める目的以外の目的のために、第四十三 条の規定の適用を受けて同条第一号若しくは第二号に掲げるこれらの規定に従い 作成された二次的著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によって当該二次的 著作物を公衆に提示した者
二 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された二次的著作物 の複製物を頒布し、又は当該複製物によって当該二次的著作物を公衆に 提示した者
三 第四十七条の二第二項の規定に違反して前号の複製物を保存した者
(著作者人格権との関係)
第五十条 この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈しては ならない。
第七節 権利の行使
(著作物の利用の許諾)
第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、 その許諾に係る著作物を利用することができる。
3 第一項の許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、 譲渡することができない。
4 [略]
5 著作物の送信可能化について第一項の許諾を得た者が、その許諾に係る 利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送 信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆 送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、第二十三条第 一項の規定は、適用しない。
(目的)
第一条 この法律は、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則 及びその再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定めることに より、電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止及び アクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、 もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「アクセス管理者」とは、電気通信回線に接続している 電子計算機(以下「特定電子計算機」という。)の利用(当該電気通信回線を通じて 行うものに限る。以下「特定利用」という。)につき当該特定電子計算機の動作を 管理する者をいう。
2 この法律において「識別符号」とは、特定電子計算機の特定利用をすることに ついて当該特定利用に係るアクセス管理者の許諾を得た者(以下「利用権者」 という。)及び当該アクセス管理者(以下この項において「利用権者等」という。) に、当該アクセス管理者において当該利用権者等を他の利用権者等と区別して識別する ことができるように付される符号であって、次のいずれかに該当するもの又は次の いずれかに該当する符号とその他の符号を組み合わせたものをいう。
一 当該アクセス管理者によってその内容をみだりに第三者に知らせてはならない ものとされている符号
二 当該利用権者等の身体の全部若しくは一部の影像又は音声を用いて当該 アクセス管理者が定める方法により作成される符号
三 当該利用権者等の署名を用いて当該アクセス管理者が定める方法により 作成される符号
3 この法律において「アクセス制御機能」とは、特定電子計算機の特定利用を 自動的に制御するために当該特定利用に係るアクセス管理者によって当該 特定電子計算機又は当該特定電子計算機に電気通信回線を介して接続された 他の特定電子計算機に付加されている機能であって、当該特定利用をしようとする者に より当該機能を有する特定電子計算機に入力された符号が当該特定利用に係る 識別符号(識別符号を用いて当該アクセス管理者の定める方法により作成される 符号と当該識別符号の一部を組み合わせた符号を含む。次条第二項第一号及び第二号に おいて同じ。)であることを確認して、当該特定利用の制限の全部又は一部を 解除するものをいう。
(不正アクセス行為の禁止)
第三条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
2 前項に規定する不正アクセス行為とは、次の各号の一に該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該 アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、 当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為 (当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス 管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該 アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号である ものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されて いる特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス 管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において 同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御 機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じて その制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を 作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
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東北大学大学院文学研究科言語学研究室
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