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2018-08-09

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・昨日、青森のねぶたの話を書いたのですが、
 地元の人たちにもよろこんでもらえて、よかったです。
 そして、「ねぶたが見たくなった」と
 読者の方々からメールで言われたりもして、
 なんだかぼくもうれしかったです。
 社内でも「行きたい」「行こう」の話題が出てました。
 「損だ得だ」ばかりが語られていく時代に、
 「やりたいからやっている」人たちの晴れた表情が、
 それぞれに、うらやましかったみたいです。
 ぼくは、ただの新参者ですが、どうせだったら、
 もうちょっと話しておきたいと思うことがありました。

 老若男女がいきいきと祭に参加していることについて、
 案内してくれた知人が、さらに解説を加えてくれました。
 「若い女性やらこどもが、あんなふうにたのしそうに
 安心して参加できるようになったのは、
 そんなに昔からじゃないんですよ」と。
 え、そうなんですか、そうは見えないけど。
 「お酒が許されていたから暴れたり喧嘩する人がいてね。
 さらに暴れるのを目的に集まるような集団もあったりで、
 ねぶたに参加するのを禁止する学校もあったんですよ。
 飲酒をやめさせるようにして、跳人の正装も整えて、
 それから、こういう賑わいになったんです」という話。

 そうかぁ、自由だとか、我を忘れるだとか、
 日常のルールをあえて踏み外すことこそが
 祭の本分なんだという考えもあるわけだから、
 お酒を禁止することには反対もあったでしょう。
 それでも、飲酒をきっぱりと禁じたことで、
 たくさんの人たちの盛り上がりが獲得できたわけです。
 そして、お酒をたのしみにしていた人たちも含めて、
 その「新しい決まり」を守って従ったからこそ、
 いまのような「みんなのねぶた」になったんですよね。
 つまり、それほどだれもが「ねぶた」を大事にしてた、
 ということでもあると思ったのです。
 祭好きな一般の人たち、ねぶたの技能に関わる人たち、
 行政に関わる人たち、応援したり参加する企業、
 そして、遠くからねぶたにやってくる観光客…。
 ほんとに「みんな」が協力しあっているんですよね。
 こんなことも、おぼえておこうと思った次第です。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
最先端の技術があっても促成栽培じゃできないことがある。


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