学校乱射のため訓練か 米砂漠地帯で飢えた子供たち救出

Amalia suspects Siraj Wahhaj and Lucas Morton Image copyright AFP
Image caption シラジ・ワハジ容疑者(左)とルーカス・モーテン容疑者。ワハジ容疑者は自分の3歳息子を誘拐した疑いもある

米ニューメキシコ州の砂漠に作られた施設で栄養失調状態の子供11人が発見された事件で、逮捕された男が数人の子供に武器の使い方を教えていたことが8日、明らかになった。捜査資料をもとに、米メディアが伝えた。

検察官事務所が8日に裁判所に提出した捜査資料によると、シラジ・イブン・ワハジ容疑者は砂漠の施設にいた1歳から15歳の子供たちに、武器の使い方を教えていた。

AP通信によると、ティモシー・ハッソン検察官は資料にワハジ容疑者は「火器を暴力的かつ違法な方法で使用する意図」を抱いていたため、発見された子供たちだけでなく地域社会全体にとって「脅威」となると書き、保釈を認めず勾留を継続するべきだと裁判官に対して主張した。

さらにCNNの報道によると、検察官は「もし釈放されれば、学校乱射事件を計画・準備していただけに、容疑者たちは新たな事件を起こす可能性が高い」と警告した。捜査資料には、ワハジ容疑者が「将来的な学校乱射事件に向けた準備として、子供たちにアサルトライフルの使い方を訓練していた」という、見つかった子供の里親の発言も含まれていたと米メディアは報じている。

ワハジ容疑者は、ルーカス・モーテン容疑者と共に3日に米ニューメキシコ州の施設で逮捕された。逮捕当時、両容疑者は武装していた。他に女性3人が逮捕された。

収容施設には水道が通っておらず、子供たちは不潔な環境で生活していた Image copyright Taos County Sheriff's Office
Image caption 収容施設には水道が通っておらず、子供たちは不潔な環境で生活していた

また警察は、収容施設で少年の遺体も発見されたと発表した。

地元メディアのタオスニュースによると、遺体は行方不明になっていたワハジ容疑者の3歳の息子、アブドゥラガニ・ワハジ君のもの。ワハジ容疑者には昨年12月にジョージア州の自宅からアブドゥラガニ君を誘拐した疑いもあり、アブドゥラガニ君の捜索が今回の逮捕につながった。

母親による行方不明届によると、アブドゥラガニ君は発作性の疾患を抱えていた。

しかし裁判資料によると、ワハジ容疑者はアブドゥラガニ君に必要なのは悪魔祓い(はらい)だと信じていた。

先週逮捕された成人5人は全員、児童を虐待したとして訴追されている。

保護された子供たちの母親と見られる3人の女性。左からジェニー・ルベイユ容疑者、フジュラー・ワハジ容疑者、スバナー・ワハジ容疑者 Image copyright Taos County Sheriff's Office
Image caption 保護された子供たちの母親と見られる3人の女性。左からジェニー・ルベイユ容疑者、フジュラー・ワハジ容疑者、スバナー・ワハジ容疑者

保安官事務所によると、発見された子供たちの母親とみられる女性3人は「おとなしく逮捕され」、タオス成人収容所に送られた。

ジェニー・ルベイユ容疑者(35)、スバナー・ワハジ容疑者(35)とフジュラー・ワハジ容疑者の関係について、警察は説明していない。

子供を発見した保安官は、子供たちを「食料もしくは飲料水がないばかりか靴も履いておらず、衛生状態は悪く、着ているのは基本的に汚れたぼろきれで、第三世界の国からの難民のよう」に見えたと述べた。

当局は「私たちは飢えている、食料と水が必要」というメッセージを受け取り、現場を捜索していた。

警察は、以前から施設の存在には気づいていたが、占拠者が「重武装しているように見え、イスラム教原理主義者のように思えた」ため、踏み込むには捜査令状を待たなければならなかったと説明した。

警察がワハジ容疑者に出くわした時、容疑者はAR-15ライフルと銃4丁で武装していたという。

米メディアによると、ワハジ容疑者の父親シラジ・ワハジ氏はニューヨークで活動する有名なイスラム教指導者(イマーム)で、米国で「最も称賛されているイスラム教指導者の1人」と呼ばれてきた。

シラジ・ワハジ師は、後に1993年の世界貿易センター爆破事件で有罪判決を受けた故オマル・アブデルラフマン元受刑者の性格証人として裁判で証言したという。

またワハジ師は1991年、米下院で開会前の祈祷(きとう)をした初のイスラム教聖職者となった。

(英語記事 US suspect was 'training children to commit school shootings'

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